ひととび 〜人と美の表現活動研究室

観ることの記録。作品が社会に与える影響、観ることが個人の人生に与える影響について考えています。

人の場に参加して学ぶ!6/23場づくりゼミパート練習会のお誘い

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明日の場づくりゼミ最終回は、ゼミ生によるパート練習会です。

 

パート練習とは、ゼミ生が自分で催す予定の模擬的な場を合計20分で進行し、参加者役の方々は「その場に来た人」の体(てい)でいていただき、20分の時間が終わったのちに、フィードバックしたり、質問していただくものです。

 

この参加者役として【あと2名】来ていただけたらなぁと思っています。

 

見ていただきたいのは、練習役が「なぜこの場をひらいているのか」が語れているか、、安心安全な場を進行できているか、時間の管理はできているか、手順がわかりやすいか、などの態度やふるまいや流れやご自分の居心地のよさなどです。

 

練習を行うゼミ生に対しての貢献になるのはもちろんですが、参加される方にも場で起こるやり取りから学べることがたくさんあります。わたしも講評し、解説も適宜入れていきますし、全体でディスカッションする時間も持ちます。人の場に参加して学ぶといいのはわかるけれども、どういうことに意識を向けて参加すればよいのか?そのフラグが立つところではないかなと思います。

 

そして、場に参加した感想を、催している人と率直に話す、、特に意図を聞くとか、要望を伝えるなどはあまり機会がないかもしれません。参加する立場でもこんなふうに場にかかわれるのかもしれない、という参加の練習にもなるかも、という気もしてきました。

 

つまり、何かしらお持ち帰りいただけるものがあります!

 

練習役にとっても、全員を含む場としても、なるべく多様な視点、背景、経験からの発言が出るほうがよいので、定員の5名まで来てくださるといいなぁと思ってのお誘いです。

 

ご自分の場づくりのお悩み相談などもお持ち込みOKです。場づくりの経験の有無や多寡は重要ではなく、素朴な疑問や感想などが助けになり、全体の学びになります。少しでも「場」に関心のある方ならどなたでも大歓迎です!

 

今予定している場は、以下の3つです。場合によって2つになるかもしれません。
・自己紹介のZINEをつくろう
・韓国料理をつくろう
・チームの今後についてミーティングしよう

 

もしご都合とお気持ちが合えば(もちろん必要性と!)、ぜひご参加お待ちしております。
参加者役の受講料は通常より1,000円引の4,000円となっております。


詳細、お申し込みはこちら ↓ です。

bazukuri.peatix.com

 

お聞きになりたいことなどありましたら、こちらまでお気軽にお問い合わせください。

 

第2期 ↓ の下見としてもぜひ。

bazukuri-2nd.peatix.com

 

KLASS第2期「積読本をひらく読書会」お申し込み受付中です

まちの教室KLASSの第2期でも、「積読本をひらく読書会」をひらきます。

 

ご参加の方には「積読本をひらく読書会のレシピ」がお土産でつきます。

「自分でも読書会やってみてくださいね」とよく場の終わりに話しますが、言うだけじゃなくて、こういうレシピがあったらいいかもな、とふと思いついて作ってみました。

今せっせと組み立てています。

 

読書会への参加をちょっとためらうという人も、積読本の読書会なら読んでいなくて当たり前なので、気軽にご参加いただけるかなぁと思います。

 

気になる積読本がある方、本にまつわるおしゃべりしたい方、積読行動の秘密に迫りたい方、場づくりゼミの下見に、などなど、最後の2つはマニアックですが笑、お待ちしておりまーす!

 

 

dokushokai-2nd.peatix.com

 

《募集中のKLASSの講座》

▼また行きたい!と思える場をつくるゼミ(単発参加OK!) 7/14(土), 7/28(土), 8/11(土), 8/25(土), 9/1(土)
http://bazukuri-2nd.peatix.com

▼節目につくる、自分の今とこれからを見つけるコラージュの会《秋分編》 9/23(日)
http://collage-2nd.peatix.com

 

 

《読書会をひらいてみたい方、ふりかえりたい方へのサポート》

▼個人セッション
企画、設計、案内文添削、現場にオブザーバー参加&フィードバックなど、場をつくるにあたって直面する様々なフェーズのコンサルティングやアドバイスを対面およびZoomでお受けしています。
http://hitotobi.strikingly.com/ (フォームよりお問い合わせください)

 

▼読書会のつくり方講座
ミニ読書会体験→解説→企画→講評で3時間。読書会ならではの場づくりに集中して取り組みます。「これだけ考えれば、とりあえず告知はできる」という状態でお帰りいただけます。対象、人数に応じカスタマイズ可能です。
http://hitotobi.strikingly.com/(フォームよりお問い合わせください)

 

 

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はじめての競技かるた@アカシデカフェ、ひらきました

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6/17、池尻大橋のアカシデカフェさんでの「はじめての競技かるた」の講座でした。カフェがあるのは、なんと知っている人は知っている、競技かるたの強豪校、駒場高校の隣!個人的に萌えるロケーションです。

 

店主さんと、とあるイベントでお会いしたときに、どこからその話になったのか、「わたし競技かるたをやっています」と言ったら、「ぜひ教えにきてほしい!」とお声がけくださったのです。

 

子どもが学校の授業や行事で百人一首を習って、漫画を読んだり映画を観たり、教本を買ってみたりしたけれど、なかなかその次の一歩、正式な競技かるたを教わる機会や場がない。かるた会を調べてみたけれど、近隣の会は定員いっぱいで新規入会を受け付けていない。大人も興味がある人は混じれて、もう少し気軽にはじめられて、ゆくゆくはここで定期的に部活のような場をひらけたら...とのことでした。

そこからかるた会へ入りたい子は入り、かるた会に入るほどじゃないけどやりたい子は来られる、なんて場になればなぁ...!などなど、打ち合わせで、「この先どうしていきたいか、という中での今回の場の位置付けをどうするか」のお話もきかせていただきました。

 

確かに百人一首の歌は知っていても、坊主めくりや散らし取りはやったことがあっても、競技かるたをほんとうに習ったことがある、という人はなかなかいません。華やかでカッコいいイメージはあるんだけど、でも競技かるたとは何なのか、何をしているのか、どういう世界なのかということは、実はあまり知らないという方がほとんどかと思います。

未経験者が知ることができる場がないんだよなぁ、この道でやっていくと決めないと知ることができないのはもったいないよなぁ...ということは、かるたCafeを定期開催しているときから思っていました。間のつなぎ、橋をかける場がない。もっともっと場ができるといいなぁ。わたしもこのような単発の講座をお届けすることで貢献できたらと思い、所属会の会長にもお話し、今回のお話をお受けしました。

 

 

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当日は親子で来られた方も含め8人満席でわいわいと行いました。

競技かるたを経験したことがない方が、自分の知っていることから少しずつ入れるように、見ている風景を想像しながら設計しました。前回の中央区の講座とは目的もテーマも対象者も違うのと、3月から今までに新たに勉強したことなどを加え、一から考えてみました。

 

前半は、「競技かるたと『百人一首』ってどう違うの?どこでできるの?級や大会とは?」という話からはじめ、「和歌の歴史、百人一首の成り立ちや構成、歌人百人一首が競技かるたに至るまでの歴史的変遷」のお話をしました。千年前の人々と今の自分たちとが歌を通してつながっていること、これからやる競技かるたもそのつながりの延長上にある、ということを感じてもらいました。

後半は、1時間ちょっと使って実技をしました。並べ方からはじまり、ルール、マナーなどを少しずつ説明しながら、決まり字の仕組みを説明し、短い方から枚数を限定し、暗記して狙って取る、暗記して狙って取る、を繰り返し、「相手より速く取れると楽しい!」を体感してもらうことを心がけました。

 

 

youtu.be

 

やってみてはじめて、

・狙っていた札が取れるとうれしい!・取れないと悔しい!
ちはやふるの太一のすごさがわかった
・畳は叩くんじゃなくて札を払っていたのか
・これを袴でやるのは大変
・本当にスポーツなんですね!
・人に対する礼儀や敬う心がある

などがわかったり、最後のほうには、

・決まり字の短い札は自分に近いところに置いたほうが有利では?
・そうか、同じ音の札は二枚並べたら速く取れるのか!

などに皆さんがどんどん気づいていく様子に、こちらもわくわくしました。

 

最後のふりかえりの時間では、

・負けて悔しかったので、かるた会のことなど調べてみて、競技かるたをやれる方法を考えてみたい
・歌の意味も知って、決まり字も覚えて、もっとかるたのことを知りたい
・最近家で百人一首をするのは飽きていたけれど、競技かるたを知ってまたやってみたいなと思った
・楽しかった!家に帰って子どもとやります!

などの感想が出ました。

 

かるたにはじめてふれた人が、みんなほんとうに楽しそうでキラキラしている様子は、いつ見てもぐっときます。そこに立ち合わせてもらっているのだなぁ。

 

自分で発見したほうがより喜びが深いし、体験として強く残ります。決まっていることと、大事なことだけ説明して、あとは展開していく中で、発見する喜びを持ってもらえるように願っていたのですが、やはり枠が信頼に足るものなら、自然と出てくるし、そしてさらにその発見の喜びに寄り添っていくと人は伸びていくのだなぁと実感しました。「講師」にできるのは、信頼に足る枠をつくるということなのかもしれない、ということも考えました。

 

今回のお仕事は、わたしにとって大切な存在である競技かるたをシェアできたこともうれしかったし、ひとつの世界への分け入り方を見せる、教える、講師としての場づくりが鍛えられたという側面も非常に大きかったです。

 

人間、身は一つで有限なので全部の道には分け入れない。分け入るかもしれない人のきっかけになれたらとてもうれしいけど、たとえ分け入らなくても、ちょっとその世界をのぞけて、自分の持つ何かと接続して対象をとらえられたら楽しいんじゃないか。そんなふうにこの日の競技かるたの体験を受け取っていただけたらうれしいです。

 

ご参加くださった皆さま、アカシデカフェさん、貴重な機会をありがとうございました。

 

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【KLASSの講座】また行きたい!と思える場をつくるゼミ(第3回)、ひらきました

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人が集まる場をつくりたい人や、運営している場をふりかえりたい人が、自分らしい場づくりをレクチャー、ワーク、参加者同士の対話を通じて考え、学び合うゼミ形式の講座です。

 

6月9日(土)に第3回を開講しました。
テーマは、「運営と事前事後の抑えどころ」。

今回もゼミ生の皆さんのおかげでとても充実した時間となりました。

 

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わたしが一番シェアしたかったこと、みんなで考えたかったことは、「場に集う人と人との間にどう信頼関係を生み育むか、安心・安全・健やかな場を何をして・何をしないことでつくるか」ということでした。

問いを立てて、具体的な行動やツールをみんなで出し合いました。

また、安心、安全、健やかさは、参加する人にとってだけでなく、場をつくる人にとっても非常に大切だということもお伝えしました。タフラブ(tough love)を持つ勇気、ファイアウォールを守人自身がつくる、人を人として扱う、子どもの同伴についての場のポリシーを定めるなど。

 

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人が集まれば起こることを想定して対策を立て仕組みにすることが、「準備7割」の中に含まれます。事後には、事前に計画し仮説を立てたこと、想定したことが実際にどのようであったか点検し、評価し、次につなげるふりかえりが大切です。一つひとつに裏付けや根拠があってはじめて、タスクリストを作成したり、スケジュールを組むことが意味を持ちます。

 

第1回から参加しているゼミ生は、回を重ねるごとにその人とつくる場が立体的になってきました。今回初めて参加するゼミ生にも「宿題」に取り組んでもらい、どんな場をつくりたいかを語ってもらいました。申し込み時点ではまだ具体性が薄くても、「場」という言葉にたどり着いている時点で、場づくりははじまっています。聴かれ問われ、様々な視点にふれることで形を取っていきます。その様子を目の当たりにすることで、他のゼミ生にも気づきが生まれます。

 

わたしのふりかえりとしては、ゼミは3割レクチャー+7割ディスカッションを目指して設計してきましたが、3回目にしてようやく相互的なよい形がつくれてきたように思います。また今回は、場づくりの本丸とも言える、今までで一番濃い時間となりました。今後の自分の仕事としても、「これだけ切り出した出張講座もできる!」という感触を得られたのはうれしかったです。

 

わたしだからシェアできる場づくりのあれこれがあるのかもしれないと、この仕事にますますやりがいを感じています。

 

次回のパート練習会も楽しみです!

 

\【参加者役募集】6/23(土)パート練習会/
ゼミ生が模擬的にひらく場の参加者役になり、フィードバックや質問をしてみませんか。これからつくる方、運営中でふりかえりたい方にとって、つくりの観察やディスカッションを通じて得るものは多いです。http://klass.hagiso.jp/class/bazukuri/

 

 

 

KLASSの第2期の受付もはじまっています。気になる方ぜひ!

5回のいずれも単発参加ウェルカムです。
7/14、7/28、8/11、8/25、9/1 (いずれも土曜日10:00-12:30)

bazukuri-2nd.peatix.com

 

 

 

おまけ。講座では毎回お菓子をお出ししています。こちらは谷中にある和菓子屋「荻野」さんのもの。あじさいをイメージしたお菓子です。美味しかった!

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KLASSで開催していてありがたいところは、たくさんたくさんあるんですが、今回つくづく感じたのは、写真を撮ってくださる方がいることだなぁ!

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明るくて開放的なKLASSの空間。ゼミ生が自分の場をKLASSでやりたいという動きもあって、こういうつながりや拡がりはとてもうれしいです。

レンタルについては>KLASS | スペースマーケット

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家族のごはんをつくる人の食と農の話

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日本農業経営大学校小野ゼミによるグループインタビューに参加してきた。

小野ゼミの講師・小野さんとわたしは、直接つるんだことはないのだけど、共通の友人が多かったり、界隈でチラチラお会いしたり、わたしがひらく場づくり系の勉強会などに以前からちょいちょい来てくださっている。しゃべっても書いても、独特の視点、独特の味わいをお持ちで、気になる方だ。いつもはオノフミさんと呼んでいるので、以下オノフミさんと書く。

オノフミさんが専任講師を務める学校の、担当ゼミの活動の一環としてのグループインタビューだった。テーマは、「子育て中の女性に聞く〜ふだんの食と農」。

 

参加した学生さん8人はそれぞれ、「実家の農家を継ぎます」とか、「『非農家』だけれど農業に関心があり『就農』します」とか、そういう学校だから当たり前なのだが、農業に関係ある自己紹介をしてくださって、世界を農業フィルターで見ている人たちが集まっていることとか、聞き慣れない業界用語が交わされることに、わたしは冒頭から密かに(萌え.....)となっていた。

 

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「都会の主婦のお話を聞くのは貴重な機会」との言葉に、そんな大げさな…と思っていたけど、いざインタビューに答えて話しはじめると、わぁ確かにあたし都会の主婦だわって思ってきた。食材の入手経路から選択基準から優先順位から…、もうそのものやん…。

 

朝昼晩三食食べたものの写真を撮って事前に送るところからまず、これはライフログだ!すごくおもしろい!と思った。リアル「きのう何食べた?」だ。わたしは仕事以外ではあまり食べ物の写真を撮らないし、たまに撮ってもあまり人に見せないので、それも新鮮だった。しかも、たまたま大量にいただいたソーセージが皿に盛ってあったりして、特に何も考えずに食卓に並べている「いつも」と「偶然」が、撮るとはっきりと写り込んでいるのがおもしろかった。

 

これは朝ごはん。

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他の方の写真や話も、聴いていくとその人ならではの背景があり、興味深かった。

日本のどこのどういう歴史と文化のある地方で、原家族とのどんな食生活の中で育ってきて、ライフイベントと共にどう変化があって、どんな人や地域や食べ物との出会いがあって、どんな調理法や道具を知って、今どういう仕事や時間の使い方をしていて、誰とどんな関係性や分担の中で暮らしていて、何人何歳の子どもがいて、何が好き・食べられて、何が嫌い・食べられないか…などなど、同じ「子育て中の女性」で切っても、全然違う。比較や評価なんてまったく意味がない。すべてがその人による、その子によるので、「普通はこう」とか「何が一番優れてるか」って話ではない。食べる人の行動とその背景を聞きたいというのが主目的だから、場がそこからブレてなくてよかった。料理の上手/下手とか丁寧/雑みたいな話になったら、とてもじゃないけど場にいられなかったと思う。

 

なるほどそれは便利だから参考にしたいと思うこともあったり。

うちは数量的にはわたしとわたしの3/4くらいしか食べない息子のごはんだけ考えればいいけど、家族4人とか5人とかのごはんを考える人はほんといろんなことを考えてつくらないといけないんだなぁ!と尊敬したり。

 

自分ではあんまり食にこだわりはないと思っていたのだが、話してみたらむちゃくちゃこだわり強いやん!てことにも気づいた。4月から5月にかけて取り組んでいた大片付けのあとに性別役割分業からの真の解放があったのだが、さらにこの客観視できたインタビューのおかげで、今、気分はとっても晴れやか。

 

インタビューのテーマのうち、「レタス」と「しいたけ」は、ひとつの食材について、こんなに一生懸命考えたり、人と話したことがなかったので非常におもしろかった。わたしはどちらもあまり買わない。そこから、「なぜか?」を掘っていく。日常会話では、好き嫌いまでは話しても、「なぜ?」まで行かないから、その先に行けるのは楽しい。種類や特徴や用途について聞いたり話したりするのも楽しい。

 

今年の後半は食のほうへ「旅」をするつもりなので、自分自身の食の場づくりのヒントもいただき、大満足だった。

 

オノフミさん、学生さん、日々家族のごはんをつくってる皆様、ありがとうございました!

リサイクル本コーナーで掘り出し物

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公立図書館に行くと、「きょうかえってきた本」と同じぐらい、「リサイクル本」のブックトラックを物色するのが好きだ。たまに、ここでしか会えへんかったわ〜というような本が見つかったりする。

 

先日、リサイクル本の山の中から見つけたこの本、「めぐろシティカレッジ叢書8 川からひろがる世界」。

川のほとりで生まれ育ったわたし、川好きとしては、ぐっとくるタイトル、表紙だ。

 

川に支えられた日本の物資流動、河川の地形学入門、日本の灌漑システムと稲作、川と電気事業、川の癒しと地域の観光(ドイツを例として)、セーヌの流れに育まれたパリ(世界都市の文化はいかに生まれてきたか)、世界文明の礎をつくったティグリス川とユーフラテス川...などなど、川をテーマに、小学校の学習科目で言えば、「社会」にあたるような話がいろんな著者によって書かれていて、はじめて知ることも多くて楽しい。知っていたつもりのことも、その隣(影響しあうもの)やその奥(背景や要因)がわかって、へー!と思ったり、じゃああれももしかして関係あるのかも?と自分の体系とつなぎたい欲求が出てくるとわくわくする。

 

内容としては、論文と社会の副読本の間のような難易度で、でも「川のことでこれは言いたい!」という熱が持ち寄られて編んであるところが、専門家同士がつくっているZINEのような楽しさや賑わいも感じる。

 

そう思ってあとがきを読んでみると、この編者の方自身が、大学在学中に受けた「川の流れ」という講義が忘れがたく、それが叢書の構想の土台にあった、というエピソードが出てくる。

“この講義はオムニバス形式で行われ、「川の流れ」が文系や理系の切り口に限らず、さまざまな先生によって毎回異なる切り口で説明された。すべての講義内容を記憶しているわけではないが、地理学では河川地形の発達史や水文学水収支論が、歴史学では水運や河岸の経済史が、哲学では川向こうや彼岸の思想が、物理学では流体力学が講義され、それら以外にも民俗学や生物学、あるいは政治学社会学などからの説明があり、どの授業も興味深いものであった。” (おわりに/菊地俊夫)

 

...そ、その講義ものすごくおもしろそう......。わたしも受けたい!

 

そして偶然だけれど、ちょうどことほぎ研究室で、7月からまちの教室KLASSで講座「ことほぎクッキングレポート」をひらくことになり、そこでめざしていることとも重なるような気がする。

kotohogicooking.peatix.com

 

 

もう一度表紙を眺めてみて、そういえば「めぐろシティカレッジ」ってなんだろうと思い、本をパラパラめくってみたが、まったく情報がない。ネットで検索してみたところ、目黒区で開講されていた(いる?)区民講座らしい。発足のきっかけが、都立大学が目黒区から八王子市へ移転したこととあったりして、なんだかおもしろい。

 

わたしは人が集って本を紹介しあう場(読書会)を日頃ひらいている。だからこそ余計にそう感じるのかもしれないが、こういうおすすめする意図で置かれているわけではない本に、自分だけの掘り出し物を発見するのはとても楽しい。

 

映画『レディ・バード』鑑賞記録


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*鑑賞行動に影響のある内容(いわゆるネタバレ)が含まれています。未見の方はご注意ください*

 

 

 

6/1公開の映画「レディ・バード」を観てきた。

 

よかった。登場人物たちがみんな、設定ではない人生を生きていて。

赤い髪の女の子が主人公といえば、「ラン・ローラ・ラン」がわたしの中で一等キュートだけど、レディ・バードはまた違うキュートさ。嘘もつくんだけど、誠実さとか愛情豊かな人で、彼女なりの思春期の切実さからであって、気まぐれに大声でわめいたり、ただはちゃめちゃなわけじゃない。気持ちを、意思を言葉で伝えている。応援したくなる感じ。ポーッとなったりもするけれど、基本自分を大事にしていて、ちゃんと境界も守れるから安心して見ていられる。

 

英語の気持ちを伝える言葉ってシンプルでストレートでいいなぁってあらためて思った。日本語だとバリエーションが星の数ほどあって、そこが分厚さや奥行きを伝えることもあるけど、まるで意味が通じてないときもある気がして。人が違っても「そのフレーズ」は一緒なところが、ちょっと羨ましくなった。

 

監督・脚本のグレタ・ガーウィグの「フランシス・ハ」は去年DVDで観て、なんだかぐったりしちゃって、たぶん20年前だったらどハマリしてそうだけど、今のわたしはそうではなかった。「あー、あたし人の親でもあるんだなぁ、いったん親になったら一生親なんだなぁ」と思った、そのとき。

 

リチャード・リンクレーターの「6歳のボクが大人になるまで」もめっちゃ好きだけど、その大部分はパトリシア・アークエットの母親役に共感していたりする。(パトリシアの俳優人生と自分の映画人生とがリンクするっていうのもあるけど)

だからきょうもやっぱりまずは母親が気になった。

そして次に、思春期バンザイ!!ってきた感じ。

 

その他、「プロムには恋人と行く」に代表されるこの「カップル文化」って辛いなぁとか、銃乱射事件、鬱、離婚、ステップファミリー、セクシャル・マイノリティ、カトリック性教育、学費、就職、養子縁組、人種、都会と田舎...などなど、たくさんの小さな筋が集まって本流の物語を支えているので、あーだこーだ話していたら、2時間ぐらいあっという間に経ってしまいそうだ。

 

 

 

自分の聴くを点検する60分

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相変わらず多岐にわたっているわたしの仕事や活動だが、「片付け」が進み、軸がどんどん定まってきている。これから場づくりの個人セッションや団体へのコンサルティングも増やしていきたい。そうしていくには、自分の「聴く」も再点検する必要を感じていた。だいたい年に一度は「聴く」の大きな見直しをするようにしているが、そのタイミングが今来た、という感じだった。

 

そんなときに、こんな場を見かけたのですぐに飛びついた。

「聴くプロのための公開カウンセリング研究会」

ameblo.jp

 

わたしはオブザーバーとして場にいて、20分の話を同じように聴きながらメモをとる。終わってから、20分の道程をみんなで辿りながら、質問やディスカッションを通して、講師との聴き方の違いを探り、気づき、全体の構造をとらえなおす。

20分の時間制限がある聴き方なので、いずれは本流に戻るかもしれない話も、一番の近道を通っていく必要がある。わたしは登場人物の多さや状況整理、自分の関心事にとらわれてしまい、話し手の主訴を正確に把握できていなかった。重要なことは、「話し手がどうしたいか」ということだ。

また、事実の確認(何は起きていて、何は起きていないか)も非常に大きなポイントになっていたことがわかった。整理、確認、具体化。

 

聴き手としてそこにいる責任は持たずにいられて、客観的でありながらも、自分だったらどう聴くか同時に考えながら聴ける。こういうことは自分が聴き手のときにはなかなかできないことなので、ありがたい。自分の聴き方を録音して聴くのもいい勉強になるが、しょせんは自分を超えられないので、優秀なお手本をトレースするのも大事なのだ。

 

上のブログ記事の中にも競技かるたの話が出ていたが、わたしが今年の名人戦・クイーン戦を観戦する前に、A級選手からもらったアドバイスで非常に役に立ったのも、そのトレースと分析だった。自分も同じように50枚を暗記して、並べ方、どういう取り方で取ったか、どのタイミングで何の札を送ったかをつぶさに観察していって、自分の予想や選択とのずれを見るとよいとのことだった。確かにやってみて、上級、超一流の選手の対戦を見て学ぶというのはこういうことか!と興奮した。

 

講師のライチさんによれば、何かを教える/教わるときに大切なのは以下の3つ。

  • 知識を学ぶ
  • 技術を学ぶ
  • 態度を学ぶ

今回のトレースは最後の「態度」のところ。やってもらって先生からフィードバックを受けるのも大切なのだが、やっている人を見て学ぶということも忘れず入れる。

 

今回の学びを自分の現場にどう活かすか、少しずつ見えてきている。

まずは、翌日の場づくりゼミで、「わたしも今ゼミという場をつくっている。ここで話していること、態度やふるまいは、今わたしがゼミの中で述べていることと一貫している。それも見ても学んでもらうつもりでやっています」と、宣言してみた。

「聴く」に関しては、聴けてると思ったらダメで、自分を尽くして聴きながらも、「聴けていないかもしれない」とも一緒にいつづけなくては、と思う。

常に学び続ける。背筋が伸びる思い。

年に一回は少なくともこのような機会はやはり必要だ。

 

それにしても、晩ごはんを食べて風呂に入って寝る準備をしてから参加できるので、Zoomはほんとうに大変ありがたいツールだ。わたしもこれから大いに活用したい。

 

 

・・・

《募集中の講座@KLASS》
▼また行きたい!と思える場をつくるゼミ(単発参加OK!)

第1期:6/23(土)参加者役募集中
第2期:7/14(土) , 7/28(土) , 8/11(土) , 8/25(土) , 9/1(土)
http://bazukuri-2nd.peatix.com

▼自分の今とこれからを見つける夏至のコラージュの会 6/21(木)
http://klass.hagiso.jp/class/collage-2/

積読本をひらく読書会
7/7(土) , 8/4(土), 9/6(木)
http://dokushokai-2nd.peatix.com


《個人セッション》
企画や設計のサポート、案内文添削、こんなときどうする?など場づくりにかかわることならなんでもご相談ください。
進捗やご希望に応じ、期間や回数はヒアリングの上、ご提案します。
1回1h ¥10,000(税別)〜 
http://hitotobi.strikingly.com/#service

 

片付け祭りのあとに

片付け祭りのあとに、最近ぷかんぷかんとあぶくのように上がってくる感情。

本当に大事にしたいものを大事にできなくて辛かったのだなぁという痛みと悼み。

 

暮らしのこと。

片付け、掃除、洗濯、料理。

育児にまつわることも一部そうかもな。

 

それを丁寧にすればするほど、自ら性別役割分業を強化することになるのではと怖れて、それが苦手、嫌い、関心がないとする態度をとったり、強化してくるように思える存在に対して、戦闘態勢を敷いてこなければいけなかった。

 

祖母や母や叔母などの身内の女たちをずっと見てきて、ああいうふうにジェンダーと結びつけられ、家庭内権力が上の者のやりたがらない雑事として、押し付けるようにやらされ、できないと責め上げられるのはたまらないと、子どもの頃から感じていた。

 

行動を制限されるのも納得がいかなかったし、大切にすることが優しさ、弱さのようにとらえられることも悔しかった。

 

 

わたしはほんとうは、自分の生に直結する衣食住のことを丁寧にやりたかったんだなぁ。

 


「丁寧にする」っていうのは、手順を増やすとか、いい材料を使うってことじゃなくて(それも一部含むけど)、自分の中心から外さない・自分から切り出さないってことを言っている。



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どうしても手がまわらなくて家事を外注したときに、楽にはなったけどあまり幸せになれなかった。

ほんとうは家事や育児の「めんどうな部分」を省いたり、コストカットしたいわけじゃなかった。

 

身の回りのことを自分の扱える範囲にし続けておきたい。

衣食住を自分の身体の延長として真摯に考えていたい。

 

もちろんそれをまずは切り分けて、安心して暮らしたり、集中して伸びたり挑戦したい時期もあるから、ずっとずっと毎日こうでないと!と考えているわけじゃないけれども。

 

 

 

そしてこういうことはたぶんわたし個人の話じゃないと思っている。世界中にあると思う。

 

 

ほんとうにジェンダーと家事、炊事、育児を結びつけるとロクなことないので、そういう土俵からはわたしはもう完全に降りたいし、かかわりたくない。

 

そう思っていても、巻き込まれる面倒臭さはまだまだあるのだけれど、なるべく距離を置くことにする。

 

役割や属性に人を閉じ込めたらほんとだめ。

 

 

片付けの副産物はこれからもたくさん出てくるだろう。

 

映画「スリー・ビルボード」がよかった話

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*鑑賞行動に影響のある内容です。未見の方はご注意ください*

 

ちょっと前、3月。まだ寒い時期の話。

開業して初のお仕事でいただいたお金をにぎりしめ、郊外の映画館にモーニングショウを観に行った。友だちとあーだこーだ話そうねと約束していて、観終わった後に90分、映画の感想だけをガッツリと話した。

こんな幸せな循環があるだろうか(いやない)。

 

感想を徒然と。

・・・

  • フランシス・マクドーマンド、「ブラッド・シンプル/ザ・スリラー」「ファーゴ」を思い出すね、やっぱり。彼女がいてくれてほんとよかったもん、あの映画。今回の監督がこの二作を意識していないはずがなく、そこかしこにオマージュを感じる映画だった。
  • 他に「フライドグリーントマト」とか「エリン・ブロコヴィッチ」を思い出したりもした。でもあれらの映画とは違って、主人公の心中はあまり語られなくて、むしろ彼女の周辺にいる男性たちのほうに共感してしまうような描かれ方だった。主人公は狂言回しのような存在なのがおもしろい。
  • ディクソンの悼みと自立の物語なのかも。署長が父親がわりだったのかな。その点ではミルドレッドの息子の話でもあるようにも思う。他の登場人物に視点を移していくと、それぞれが見ている世界の唯一さが光って見えるようだ。違いの差分というより、ほんとうに違う世界を生きている。キャラクター一人ひとりに丁寧な設定があるのがわかる。
  • 山あいの小さなまちの、すべてがまちの中で完結してしまうあのどこへも行けない息苦しさ。あっという間に噂の回る、どいつもこいつもろくでもない、常識が通じなくてイカれてると頭をかきむしりたくなるような鬱屈とした感じ、あーこういうのよく知ってるわとうなずいていくうちに、いろんなものがどんどんぶっ壊されていく。時に軽妙。
  • 主人公は、いろんなろくでもないものと闘っていて常にファイティングポーズでいるのだけど、マイノリティ的な立場の人といるときはフラットに接していられているよう。看板を設営するメキシコ人の男性、セクシュアルマイノリティの警察官の男性、身体に障害のある男性、お店のスタッフの黒人女性。
  • それからどうしてもキーになってくるのは、銃の問題。
  • 不思議と食事のシーンが少なく、あっても食べ物が映らない。ゆっくりコーヒーを飲んだりもなく、ボーッと考え事をするちょっとしたカットさえも短く、すぐに次の出来事が起こって転回/展開していく。なんとなく、今の時代のスピード感なんだろうなと思う。

 

・・・

 

そんな感じ。

 

この日の前後に、アカデミー賞の授賞式があり、フランシス・マクドーマンド主演女優賞、サム・ロックウェル助演男優賞とのこと。おめでとうございます。

 

一緒に観た友だちが、映画を観ながらメモをとっていて、それに沿って感想が話せたのですごくよかった。傍目には書きながら映画を観る?集中できないのでは?と思ったけれど、「ちはやふる-結び-」で真似してメモをとってみたら、わりといけた。というかむしろ味わいが深い。そんなことも教えてもらえてよかった映画でした。

 

 

▼ブラッドシンプル/ザ・スリラー公開当時(1999年)のチラシ。
 この映画、すごく好きなんだけど、好きすぎてもう観られない気がしている。
 チラシだけ大事にとってある。


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映画「ちはやふる-結び」の感想をあーだこーだ語る会、ひらきました!


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映画「ちはやふる-結び」の感想をあーだこーだ語る会をひらきました。

chihayafurumusubiadacoda.peatix.com

 

今回一緒に場をひらいてくれたゆきこさんは、かるたがきっかけで知り合った人。「物事をたいこ目線で語りがち」という子どもの頃から打楽器を愛し、今も市民オケで鳴らしている(まさに!)アマチュア打楽器奏者。

ちはやふる」は漫画も映画もかなりディープなお付き合いのようで、彼女の世界観の中で、魅力をどう語ってくれるのかとっても楽しみでした。

わたしは競技かるた、和歌、映画などをキーワードに語ろうかなと思っていた。

当日の会場は、これまた店主がかるたつながりのご縁のある茗荷谷カフェバーtotoruさん

 

そしてその時間になって...。

とても楽しくエネルギッシュな場で、来てくれた人ととにかく楽しく話して、熱中して...。

ほんとうに夢の中にいたみたいでした。

 

いろいろ、いろいろと、ほんとうに表現したいことはあって、何度も書きかけました。でも、なかなか書けず。まずは周辺から書いてみようと3本ブログ記事を書きました。

「ちはやふる-結び-」を語る前に考えたこと① - ひととび〜人と美の表現活動研究室

「ちはやふる-結び-」を語る前に考えたこと② - ひととび〜人と美の表現活動研究室

「ちはやふる-結び-」を語る前に考えたこと③ - ひととび〜人と美の表現活動研究室

 

 

でも、当日の話はなかなか書けない...。「どうしてなのかなぁと思っている」ということをある場で話したら、どうも個人的すぎて大切すぎて、わたしは大事にしまっておきたいんだとわかりました。そのへんのことをポッドキャストのこの回で話しました。

doremium.seesaa.net

 

 

こんなんして...こんなことがあって...というのは、物に語ってもらうことにして、この映画と場のことはしばらく大切にとっておこうと思います。

 

ふわー、ほんとうにこの1ヵ月はいい時間を過ごしていたのです!

きっと先々の人生で何度もあたためてもらうことがあると思うなぁ。

 

 
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草花の名前

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母や祖母は、草花や木の名前をよく知っていた。庭や田畑で作業をするとき、よそのお宅の庭先を通りかかるとき、山歩きをするときに教えてくれたり、独り言のように名前を呼んだりしていた。子どもの頃は興味がなくて、ろくに聞いてなかったはずなのに、今見ればパッと口をついて出て、自分でビックリすることがある。

 

父もよく知っているけど、こちらは文学や雑学と結びつけての知識自慢がメインか。それはそれで面白かったけど、「お前そんなんも知らんのか、アホか」となるので、むかついて終わる。

 

大人になって母と、「立葵の根っこが、路肩の隙間からあんなに高く自分を支えて立っているのはすごい」という話を15分もすることになるとは、思ってもみなかった。

 

立葵の名は、神楽坂を歩いているときに、空き地からぐーんと高く生えていたのを立ち止まってぼーっと見ていたら、通りすがりの着物姿のご婦人が「立葵って言うんですよ」と教えてくださって、それで憶えている。

 

今暮らしているまちでは、軒先の鉢植えや小さな庭が四季折々、丹精されていて、色とりどりの花が目を楽しませてくれる。手入れ中の方に自分から、「これはなんという花ですか?」と尋ねることもよくある。


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【KLASSの講座】また行きたい!と思える場をつくるゼミ(第2回)、ひらきました

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人が集まる場をつくりたい人や、運営している場をふりかえりたい人が、自分らしい場づくりをレクチャー、ワーク、参加者同士の対話を通じて考え、学び合うゼミ形式の講座です。

 

第二回のこの日は「設計と進行の抑えどころ」がテーマ。「なぜわたしが/誰と/何を分かち合いたくて/何をする場をひらくか」のコンセプトを抱きつつ、さらに具体的に、場を現実に存在させるために図面を引く作業をしました。

まずは、前回からこの日までにあったことで印象に残っているエピソードをシェアしました。ある場にいって考えた違和感のこと、自分の場への辛口コメントについて考えたこと、ゼミでの体験をもとに今の自分の課題を考察してみた…など、「場をつくる」というテーマと共に日常を過ごされていたようです。発見したことを聴いてもらえる仲間がいるのもまたうれしいものですね!

 

 
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ワークでは、いつ、どこで、誰向けに、何人、いくら、タイトルは…?など13の項目について考えたり、その場の風景を絵に描いてみたり、時間の使い方(プログラム、タイムライン)などを紙に落としてもらいました。場をつくる人は、このような事前に行う時間と体験のデザインが大きな役割としてあります。

 


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ワークのあとは一人ずつ発表をして、フィードバックをもらう時間。この時間がやはり貴重です。口にしてみることや問われることで明らかになってくる自分の思い、思いが言葉になっていく過程をお互いに見ることそのものが刺激になります。お互いの場の発表を聞いて、「すごく興味ある!参加してみたい!」とゼミ生同士で盛り上がる姿も見られました。

 

場をつくる人は、場を守る人でもあります。実際に場が守られているために大切な、ルールを敷くことと守ること、一人ひとりに対する目配り、時間の管理、ふりかえりなどについても話しました。(第4回6/23(土)で実際に自分の場の進行を試してみることができます。)

ここまで考えるとあとは「場へのお誘い」ができます。不完全なように思えても、まずはできているところまで出してみて、いろんな人に持ち寄ってもらいながら進めよう!という勇気も大切です。場をひらいてみようと決めて、引き受けていこうとしている皆さんの勇気はすばらしいもの。引き続き今後の展開を応援しています!

 


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自分では場をひらく予定がない方も、わたしたちは日々暮らしたり、遊んだり、働いたり、学んだりする中で、たくさんの場にかかわりながら生きています。そこは誰が守っている、誰にとっての、何が行われている場なのか。そしてそこで人がどのように動いているか、を観察してみるとおもしろい発見がありますよ。

 

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今後の予定です。ご参加お待ちしております!

また行きたい!と思える場をつくるゼミ
https://bazukuri.peatix.com/

6/9(土) 第3回 運営と事前事後の抑えどころ
・申し込み方/参加の仕方⁄受け付け方
・参加者とのコミュニケーション
・準備する物、事
・活動スケジュール
・ふりかえりの仕方
・運営体制
実務面の抑えと、参加者や運営メンバーとの関係づくりにフォーカスします。既に運営している場があるが、何かうまくいっていないかも…と感じる方にもぜひ参加いただきたい回です。はじめてゼミに参加する方にはキャッチアップのための宿題を事前にお送りします。

6/23(土) 第4回 パート練習
1人15分〜30分の持ち時間の中で、自分の場で実施予定の進行練習ができます。練習ができるのは、第1〜第3回のいずれかを受講された方に限ります。未受講の方は参加者役となりますが、参加しフィードバックすることでも学びは得られます。まだテーマが決まっていない方にもぜひ参加していただきたい回です。

 

▼6/21(木) 自分の今とこれからを見つける夏至のコラージュの会 
https://collage2.peatix.com/

自分のやりたいことが場なのか、場で何をやりたいのか、なぜやりたいのか、などを見つめていくこともできる時間です。ぜひご活用ください。

 

チャペック展がよかった話

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松濤美術館にチャペック展を観に行きました。

チャペック兄弟と子どもの世界
~20世紀はじめ、チェコのマルチアーティスト

 

やってるのは知っていたけれど、子どもの本の絵なら庭園美術館に行ったしな(フランス絵本展よかったです)……とスルーしかけてたら、前日に見た友人の激推し投稿に心が動いて思わず行ってきました。

 

この日は荻窪のTitleで今日マチ子さんの展示があり、在廊されているというので、どうにかはしごしようとして、結局体力不足で無理でした…残念。お会いしたかった。

 

チャペック展は、想像以上によかったです。

 

かわいい〜☆だけじゃない。チェコ、スロヴァキアって。そのあたりのことはたぶん3月の「積読本をひらく読書会」で持ち寄られた、『不自由な自由 自由な不自由 チェコとスロヴァキアのグラフィック・デザイン』を読んできたら、きっともっと受け取れただろうなーと思います。でも今からでも読もうと思います。

人の積読本なのにすごく影響を受けてるのはおもしろい。

 

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スケッチがどれもすごく小さいのが興味深いです。5cm*5cmぐらいの枠をとった中に鉛筆で描いてる。これきっと意味があると思う。

 

絵がかけてあるのがわたしの目線の高さで見やすい。たぶん通常の展覧会より低い。キャプションにもたくさんふりがなふってあるから、こどもの鑑賞者を意識してかな?

 

「長い長いお医者さんの話」はすごい懐かしかった!岩波少年文庫の青だったか黄色だったかのざらざらした表紙の手触りを覚えている。特に「郵便屋さんの話」は子どもの頃好きだったので原画が見られて、こんなところで会えるなんて!とたまらない気持ちになりました。

 

いつもの模写メモとってたら「デッサンは禁止ですよ」って注意されたんだけど、張り紙もなかったので、ほんとうにダメだったのかやや疑問…。物販もちゃんと買ったから勘弁してください。

 

線で捉える、グラフィカルに理解する、表現する、共有する、にここのところ関心があるので、わたしは行ってほんとうによかったです。ほんのちょっとだけ、なにかつかめた気がしました。

 

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なんで気になったのかと思ったら、ポスターの色と同じ!

 

 

 

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なんとなくこういうイラストが目に入る帰り道。

 

 

 

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久田工芸製のとびだし坊や。なぜこんなところに?

 

 

 

 

「ちはやふる-結び-」を語る前に考えたこと③

「ちはやふる-結び-」を語る前に考えたこと①

「ちはやふる-結び-」を語る前に考えたこと② 

の続きです。

あーだこーだの会で語る前に3回観ました。それぞれで考えたことのメモです。

 

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★鑑賞2回目

あーだこーだの会をひらくと決めてから、こんな感想が浮かんできました。

 

「結び」は「青春映画の金字塔」か…。「青春映画」に詳しくないけど、そう言いたくなる感じはわかる。その年齢にしかないもののすべてがあって、それが創られたものなのだけど、驚くほどわざとらしさがなくて一つひとつが覚えのあるリアルな感触を持っている。

 

映像の美麗さと演劇的約束と漫画のリズムがリアルな音と共に体感できる。個人戦から団体戦へ、その意味するところが深く。競技部分には特に丁寧なリサーチと監修と指導が入っていると思われ、そこまで描くのかという、思い切った踏み込み方をしていて驚く。娯楽性と本物さが両立している。

 

演じる人たちとスタッフとの前2作を経ての関係があるんだろう。作り手の彼ら自身が今を生きていて、優れる、強い、美しい、賢い、勝つにシビアにさらされ、問われ、逃げずに生きているのかもしれない。「こんなところでは終われない」と腹を括ることもおそらく。どうもこの結びは全く違う…。

 

わたしの状況や状態の変化もあるけれど、なにが違うのか?もう一度、確かめたくて2回目の「ちはやふる-結び-」を観てきました。

 

今回はストーリーがわかっているので、1回目で見落としてるところをだいぶ拾えました。メモを取りながら観てたら無印良品のらくがき帳100枚使い切ってました。

 

でも誰かがあーだこーだの会で発言した時に、「ああ、あのシーンのあれね!」ってわたしが確実に思い当たれるようになるには、あと1回は観たほうが良さそうな気がしました。

調べたいこともまた出てきたり。

 

ほんと何があったんだろう?てぐらい、上の句、下の句と結びの出来が全く違うんですよ。ただのおまけで撮ったわけじゃない。映画としても、競技かるたとしても、すごくいいのです。

もちろん実際の大会や試合でこんなのないよっていうのもあるけど、大事なのはそこじゃないというか。

 

一緒にあーだこーだの会をひらくゆきこさんによれば、漫画へのリスペクトも半端ないということで、映画だけ観てる人も、漫画から好きな人にもどちらも楽しめるように、本当にちゃんとなってるとこがすごいとのことでした。

 

そういう話も聞くとますます、「青春かるた漫画の実写化映画」の形をとりながら、すごく普遍的なことを伝えているように思えてきます。

 

そんなこんなで余韻に浸っているうちにあーだこーだの会はおかげさまで満席になりました。ご関心をお寄せいただいたのもうれしい。参加してくれる人がいるから場がひらける。「語る場があるから、映画観ようと思えた」と言ってくださる方もいて、すごくうれしい。そんな営みがぽこぽこできたらきっと楽しい。

 

パンフレットは3冊買ってみたけれど、濃度もやはり「結び」が最高に深まってて凄い。これも「ふつうあるもんだからとりあえず作った」て感じじゃなくて、愛があふれてました。わたしも読んでて付箋がべたべたに。やはり競技かるたへのリスペクトが半端なくて涙しちゃう。

いやー、あーだこーだの会ほんま楽しみ。

 

 

 で、結局もう一回ダメ押しで観たくなって前日に

★鑑賞3回目

同じ映画を2回以上映画館に観に行ったことがないわたしとしては、3回も足を運ぶとは異例で自分でもびっくりでした。中学生以来じゃないか。

繰り返すとき、今はまだ自分でもわかっていないことも含め、自分の人生にすごく関係があることが起こっているのだと思います。たぶん後になるとわかる。

 

競技かるた選手なら、あーそういうことかって思うような定位置。劇中でキーになってピックアップされた札(歌)はもちろん、それ以外の札もただ読まれているだけでなく、タイミングや順番も競技と歌の意味がわかると鳥肌もので、そのあたりの手抜きのなさが伝わってきました。

 

3回観て毎回同じところで自動的に涙が出るというのは…話には聞いていたけれど、そーかこういう感じなのか。うん、悪くない!

 

ピント外の人の表情や声に注目したり、札の流れを感じたり、何字決まりで取ったか。セリフも掛詞になってるのかとか。堪能しました!

 

翌日の語る会に向けて、いい調整ができた日でした。

 

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