ひととび 〜人と美の表現活動研究室

観ることの記録。作品が社会に与える影響、観ることが個人の人生に与える影響について考えています。

「読みたい本がもっと積んじゃう」、積読本をひらく読書会ひらきました。

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7/7「積読本をひらく読書会」をひらきました。

 

積読していることに罪悪感があって、どうにかしたいと思っていたところこの会を見つけて『これだー!』と思った」「読みたい気持ちはあり、読めそうな兆しも感じているので、話すことでもう一歩踏み出してみたい」
...などなど、読書への熱い思いを胸に抱いた方々がご参加くださいました。

 

今回ひらいてみた積読本は、よくよく聞いて話し合ってみると、どうやらこんな理由のよう。


・気になるテーマだけれど、自分事すぎて重いから
・読みづらい組み方で通勤電車内で気軽に読めないから
・こんな本を書ける人への嫉妬から
・これ一冊の文章を全部読みたいというよりは、好きなところや惹かれるところが部分的

 

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毎回毎回、その人その本によって積読の理由が違っていて、新しい理由を知るのがおもしろいのです。時間がないわけじゃない、読む力がないわけじゃない、なのに読めない。その奥にはその人が大切にしていること、物語があるんですね。

 

聞きあうことでその人となりが見えてきて、ほんの少し、その人と自分の人生が交差する瞬間が訪れます。

 

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◎ご感想をいただきました。

積読本をこれから開くきっかけを見つけられたのはもちろんでしたが、行きたいカフェや家族について考える時間などプラスアルファに得られたことが多すぎて、逆に積むような素敵な時間でした(笑)。また、人によって積読理由が違っていたり、人の本の読み方が覗けてとてもワクワクしました! 次、本屋に立ち寄ったら、「あの人(他の参加者)の目線で」本を探してみようかなと思います。



ご参加ありがとうございました!

 


次回は8/4(土) 10:00〜

この読書会にくると、本を読むことはもちろん、積んでおくこともますます楽しくなります。ほんとにほんとにです!

暑い盛りですが、きーんと涼しいお部屋で本の話をするのもまた愉し。冷たいおやつご用意してお待ちしてます^^

ご参加の方には「積読本をひらく読書会のレシピ」を差し上げます。自分でもひらいてみてくださいね!

dokushokai-2nd.peatix.com

 

【KLASSの講座】また行きたい!と思える場をつくるゼミ(第4回)、ひらきました

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千駄木のまちの教室KLASSで開講している「また行きたい!と思える場をつくるゼミ(通称「場づくりゼミ」)」。第1期はこの第4回が最終回。

 

こちらでお知らせもしたパート練習をしました。

 

ゼミ生にはそれぞれ予定している模擬的な場(ワークショップ、講座、ミーティングetc)の冒頭の20分を進行してもらい、参加者役の方々には「その場に関心があり参加した人」の体(てい)でいていただき、20分の時間が終わったのちに、フィードバックや質問やアイディアをもらうやり方で進めました。

 

この日は、「自己紹介のZINEをつくろう」「韓国料理講座」の2つの場を練習してもらいました。

 

「場をひらいているのは何者なのか」「なぜこの場をひらいているのか」が語れているか、安心安全な場を進行できているか、時間の管理はできているか、手順がわかりやすいか・無理や無駄がないか、などの態度やふるまいや流れや居心地のよさ。

 

フィードバックを受けることで、実は伝わっていないと気づいたり、自分では大したことがないと思っていたことが強みだったことががわかったり、人の場にコメントすることで「自分だったらどうするか」をふりかえる機会になったようです。

 

皆さんからの応援や期待や祝福で、場がほわほわとあたたかい空気に包まれました。

 

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プロダクトを作る際にプロトタイピングという工程がありますが、今回の練習はまさにそれ。いきなり完成品をリリースするのではなく、不完全な状態で、設計したモデルが実際にどのように動くのか検証し、フィードバックを得ながら改善・改良していくことは、場づくりにも非常に有用です。そして、自分のほんとうにやりたいことがなんなのかが見えてくることは、場をひらいていく上での原動力になります。

 

「また行きたい!」という気持ちはどこから出てくるか、どのようにデザインできるか、を考えてきた4回のゼミ。これからも皆さんの自分らしい場づくりを応援しています!

 

ご参加ありがとうございました!

 

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★第2期の場づくりゼミは7/14(土)から!単発参加OKですが、第1回「棚卸しや企画の抑えどころ」は、場の構造の話なので、やりたいことを「企画」にまとめていきたい方や、今の場に不足感があってブラッシュアップしたい方には特におすすめです。

http://klass.hagiso.jp/class/bazukuri-2nd/

 

★場づくり個人セッション -人が集まる場をつくりたい方、人を集めてやりたいことがある方に-

あなたらしい場があなた自身の手でつくれるように、企画・設計・運営をカウンセリング&アドバイスします。 立ち上げ〜ふりかえり〜クローズ、場で起こるさまざまなフェーズ、テーマに伴走します。対面またはZoom/Skypeオンライン通話にて。相談内容や状況や経験に合わせてスケジュールをお見積もり。初回15分Zoom無料ガイダンス有。
20分 ¥3,340〜110分 ¥16,700(税別)の間で10分刻みで承ります。

http://hitotobi.strikingly.com/

 

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ことほぎクッキングレポート・ゆっくりつくるこねないパンをひらくにあたり

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週刊ことほぎラジオをやっている、ことほぎ研究室で、ことほぎクッキングレポートという講座をひらくことになりました。

わたしが場づくりゼミなどでお世話になっている、千駄木にある「まちの教室KLASS」にて。

 

KLASSは、hagi studioという設計事務所が運営しています。KLASSの半分はhagi studioの事務所。

hagi studioは、谷中・千駄木エリアでhagisoという複合施設の中にカフェや、tayoriというお惣菜屋さんや、来週リニューアルオープンするRainbow Kitchenというハンバーガー屋さんなどを手がけていて、食や暮らしを大切にしている建築の人びとが営んでいる会社です。

 

そしてKLASSは、このまちにある暮らしをちょっと豊かにする知恵や文化を、教える人も教わる人も学びあえる場所として生まれました。

 

なんだかいい感じのするこの場所で、またラジオの収録でたびたびお世話になったりもしてきたこのエリアで、ラジオをする中で探求してきた、ちょっと楽しいことを、皆さんとシェアできたらなぁという気持ちでやります。

 

くわしくはこちら>

kotohogicooking.peatix.com

 

 

KLASSには広くて明るいキッチンがあります。読書会をやっていても、コラージュの会をやっていても、場づくりゼミをやっていても、同じ空間にキッチンがあるのがいい。

すぐに温かい/冷たいお茶を淹れられるし、キッチンとテーブルを行ったり来たりしている間に、メンバー同士が自然なおしゃべりをしたり、洗い物をしながらキッチンの向こう側と話したりと、ただテーブルに座って話しているだけではない、いろんな動きや線が生まれるのがすごくいいです。

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これまで番組内ではいろいろなことほぎ方について扱ってきたのですが、クッキングレポートは、「料理を通してこの世のことほぎ方を知る」がテーマになっています。

 (「ことほぎ」とは、漢字では「寿」や「言祝ぎ」と書き、お祝いやお祝いの言葉やお祝いする品々のことをいいます。)

 

最初にこれから作るパンを試食、パンの材料を混ぜるところを見る、発酵させたパン種で実際に焼くところを見る。パンがいい匂いをさせて焼けている間に、歴史や地理や材料にまつわるひみつのレポートを聞いて、みなさんでおしゃべりしながら、さらに展開させてみます。パンが焼けたら各自が持ち寄った塗るもん、のせるもんで、焼きたてパンのオープンサンドを楽しみます。

 

というのがおおまかな流れ。

 

美味しいという喜びがまずことほぎであるし、料理という作業、食べ物について知る、人と食べる行為......。

この場で起こる、することの一つひとつが、ことほぎになるだろうなぁと思っています。

 

こうやってあまたある食べ物の中からひとつを取り出して拡大鏡で見てみることで、もしかすると普段何気なくやっていることも、大切な作業だったのかもって思い出したりするかもしれない。何が出てくるかわかんないけど、楽しみです!

 

 

ラジオでも講座の話をしています。よかったら聞いてみてください。

doremium.seesaa.net

 

 

レシピをこちらで公開しています。ぜひつくってみてほしいです!

scrapbox.io

村上春樹の作品について

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先日参加した持ち寄り型の読書会であったこと。

 

村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」が場に示されたことから、「村上春樹」の話題になった。

持って来られた方は、「彼の作品は何冊か読んだことがある。正直苦手なのだが、古本屋で見つけて、有名な作品だし手頃な値段でもあったので、もう一度トライしてみるか、と軽い気持ちで購入した。しかし目次をひらいただけでもう嫌になってしまって、積ん読になっている」とおっしゃっていた。

 

場にいたのは4人で、そのうち苦手もしくは嫌いという方が3人。

わたしは好き......好きというか、彼の作品に一定の思い入れを持つ、場で唯一の人間だった。

 

「もしかして気を悪くされるかもしれないが...」とわたしに丁寧に断った上で、「できればまずは苦手な理由を説明させてほしい。そして好きで読んでいる人の話もぜひ聞きたいと思っている」と言ってくださったので、ちょっとホッとしながらその場にいた。

 

わたしがその作品を書いたわけではなくても、やはりめちゃめちゃに貶されるのは胸がぎしぎしする。自分がひらいたり参加した読書会で彼の作品を取り上げたときに、物語としての感想を語る前に、嫌悪の感情でいっぱいになってしまう方がかなりいたので、それ以来、わたしも持ち出すことも語ることも慎重にしてきた。そのぐらいいつも両極端な反応が生まれる彼の作品て、一体なんなんだろうなぁ、といつも不思議ではある。

 

村上春樹」が苦手や嫌いの理由は生理的な問題でありそうだった。言葉の使い方や言い回し、多用されるメタファー、生々しい暴力や性の表現。主人公だけが特別な存在で、現実離れした、主人公のために都合よく登場人物が存在しているかのような身勝手な世界観と閉塞感...などなど。そういう感じも一つひとつ、うんうん、あーそうかぁと共感しながら聞いていた。「わたしとは違う見方」という立場と「なんのために今それを話すか」をお互いに明らかにしていると、感情も必要以上に波立たない。場のおかげだ。

 

 

そのとき話したことの内容は正確には覚えていないので、今の自分として再話するとこんな感じになる。

 

・・・・・・・

 

わたしにとって「同時代を生きている」という実感が強くある作家は、村上春樹よしもとばななの2人。4つ歳上の姉が「風の歌を聴け」や羊シリーズを買ってきて、わたしも一緒に読むようになった。それが小学生のとき。よしもとばななが「キッチン」でデビューして、これまた姉と読んだのもその頃。

 

それ以来、出る本出る本すべて読んできて、時にその暴力と性の表現に嫌悪感をおぼえた時期もあったのだが、それでも作品を途切れずに読み、時期に偏りはあるものの、読むことを必要としてきた。

それは今にして思えば、自分の生きている現実世界との折り合いがつきにくくなったとき、起こっている出来事の理不尽さを強く感じたとき、歪みや揺れを感じるときに、もうひとつの世界の可能性...暗い地下鉄やホテルなど、時間や空間や次元を超えたところにある何かを物語の形で読むことによって捉え方が変わったり、理解できることがあったりして、結果、正気を保ちながら今日も生きられる、、ということが実感としてあったからだと思う。あるいは、暴力は暴力的な顔をしていないということを物語から理解することができた。実際に「海辺のカフカ」は個人的にもっとも救われたという実感のある物語だ。

 

村上春樹の作品はとても人気があるし、わたしの周りでもよく読むという人も多い。でも他の人がどういうふうにそれを特別に思っているのかは、知らない。ハルキストの集いにも行ったことがない。行けるほど詳しくない。

書かれた物語には、読む人一人ひとりに個人的な物語が付随してくる。だからわたしのこの「思い入れ」もわたし個人のもので、「村上春樹が好きな人」の代表はしていない。

 

「閉塞感をおぼえる」は、同じことを指しているのかはわからないけれども、あえてわたしの側から見るとすると、「孤独の確認」とも表現できる。ときどき人間は孤独の確認が必要なのではないかと思う。「夜の時間」に入ること。夜の時間には暴力と性もある。それらを真っ向から描いているのが、前述した同時代を生きている2人の作家で、村上春樹に関しては、もしかすると男性的な立場からが強いのかもしれない。

 

悪い物語を見分けるための良い物語の話、長い物語を書き続けるために鍛える話、徹底的な時間管理や人間関係の調整について、インタビューで語ってきたことも、わたしに強い影響を与えてきたと思う。

 

作家も変化しているが、書くテーマはそうそう変わらないのかもしれない。なんのために小説を書かざるをえなくしているのか、というようなことは。

 

 

いずれにせよ、嫌悪するほどならば、いくらその作家や作品が有名だろうが売れていようが、読まなくてもいいのでは、とわたしは思う。

 

「もう大人なんだから、〜ぐらい読みこなせたほうがいいのでは」という言い訳めいたとっかかりも、おもしろいところに連れて行ってくれる可能性はあるけれども、やはり人生は短い。

 

実際、物語ならいくらでもある。

たくさんの書き手や語り部がいる。

「自分の人生でどの物語を必要とするか」だけではないかなぁ。

 

・・・・・・・

 

村上作品に対する自分の思い入れについて、その日はじめて会った人にこんなに丁寧にフラットに聴いてもらえたこともなかったので、とてもありがたかった。しかもその作品も人も苦手や嫌いという人たちに。

場としての設定があるからこその体験なんだろう。

 

 

▼今家に残っている村上春樹作品。共通項はよくわからない。特におすすめというわけではない。あと「雑文集」もある。
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村上春樹作品の分析本には興味がなかったが、これはとてもおもしろかった。
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映画「6才のボクが、大人になるまで。」がよかった話

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何年か前の夏休みの夜に見て、そのとき感想がずっと下書きしたままになっていたので、どさくさに紛れて(なんの)投稿してしまおう。

 

・・・

 

今すぐの感想(第一感想)は、とにかくわぁーーーーと叫びたいような、なんて言ったらいいのか…とにかくもう言葉になんないきもち!!

 

映画の中のこと、現実世界のこと。過去のこと、今のこと、未来のこと。
俳優さんのこと、わたしのこと、わたしの家族のこと…。

たくさんのレベルのことが自分の中で多重のらせんになり、入れ子になり、層になり、複雑に関係し合っているものだから、途中で思考の処理能力がストップして、ただただ夢中で観て、聴いて、感じていた。

 

こんな映画があったんだ。すごい。

2時間46分があっという間で、こんなに終わらないでほしいと思った映画はなかったかもしれない。もう少し、この人たちといたい、という気持ちで。

ずっと気になっていて、でもこの長さに及び腰だった。観てよかった。

 

ファミリーヒストリーを淡々と綴っているだけの、「やっぱ家族っていいよね」的なアメリカっぽい映画で、成り立ちの特殊さのみで話題になっていたのかと思ったのだけど、全然そうじゃなかった。

テーマは家族、だけじゃない、たくさんすぎる、山盛り。味わいきる暇もなく、次から次へとやってくる。一人ひとりの人間の生の瞬間。その連続。それを抱えた人間同士の交差。絶え間ない運動。偶然の事象。人間の歴史。天の計らい…。

 

私的で、贅沢で、壮大で、奇跡の映画!

今のわたしの年齢や状況で、息子のいない夏休みのこの時期と嵐の夜に一人で観られてよかった。

 

ほかの人がどんなふうに観たのか、聴いてみたいなぁ。

 

・・・

 

という熱い感想が書き残してあった。わたしよかったネ。

 

このあと友だちと話したら、イーサン・ホーク好きだけど邦題がなぁ...と思っていた「恋人までの距離(ディスタンス)」がめっちゃいいよっていう話だったので観てみたらほんとうにとってもよくて、続編の「ビフォア・サンセット」、「ビフォア・ミッドナイト」も一気に観てしまった。

いまいちだった邦題(っていう言い方も旧いのか...?)も「ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)」に改題されていた。

心のベストテンに間違いなく入る三部作。

 

他にも「スクール・オブ・ロック」とか「ウェイキング・ライフ」とかもおすすめされていたのを思い出したので、観たい。

 

バイアスについて

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友だちと待ち合わせしたカフェで。

わたしはもうこういうものを見たときの反応が鈍くなったのだなぁ、とふいに思った。

 

テーブルのガラスの天板。

目の高さにくるぐらいの身長の子どもが、角でぶつける可能性...。

 

ほんの5、6年前までは、幼い息子とはこういうおしゃれなお店には来られないなぁと思っていたのに。

 

個人の状況や関心は移る。当事者性の変遷。でもその渦中にいる人もいる。暮らしや仕事の中で出会う人を通じて、渦中にいないからこそ、そのテーマに触れ考え続けられるのはありがたいことだ。

 

当事者性でいえば、過去にこんなこともつぶやいていた。

 

 

バイアスの話で言えば、先日、これまたふと気づいたのが、わたしは夜の時間の外の世界にふれなくなってずいぶん経つ、ということだった。

 

 

 

そうしたらそのツイートを読んだ友だちが、共感をくれた。「人に嫉妬するとき、あり得たかもしれないけど選ばなかった自分が疼く」「でも理由はどうであれ、今の自分は選んで選んで選び抜いた上で、ここにいるのよね」と。

ほんとそうだなって。


今もこれからも、生きている間にまた選べるものもある。

同じものでなくても、底のほうでほしかったのはいつも「自由」「本物であること」だとしたら、きっと何度も満たされて幸せを味わうことはできる。

 

 

自分のバイアスを自覚しながら、聴く、話す。

そしてときには自分のバイアスから思いっきり語る。

 

そういうことをあれこれやってみている日々。

ひらきました!【KLASS】自分の今とこれからを見つけるコラージュの会《夏至編》

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まちの教室KLASSの定例講座、暦に合わせ、節目につくるコラージュの会。

今回もとても思い出深い旅でした!

 

みんなで、ふたりで、ひとりで、そしてみんなで。今から過去へ未来へ、そして再び今へ。行ったり来たりしながらの3時間半でした。書いたり、話したり、切ったり、貼ったり。どの時間も集中して取り組んでくださいました。

 

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最後に、ひとりずつ作品について発表し、みんなで鑑賞し、感想を交わし合う時間がいつもほんとうに宝物のような時間です。作品と語りに圧倒されます。「節目につくる、今とこれからの自分」の大テーマに沿って、集った人たちが少しずつ関係し合ってつくった作品は、どれも作った人そのもので、美しいのです。「そうやって生きている、生きていくあなたを知っているよ」とたまたまその日に場を共にした人たちを祝福し合うひとときです。

 

お引越しが近い方が毛糸やシールなどを持ち込んでくださったり、その日お出ししたティバーッグのタグを使ってくださったりもうれしかったです。

 

この日わたしが大切にしていたのは、「選べる」ということ。

進行のシートにも忘れないよう、付箋で選べると大きく書いて貼っておきました。

 

わたしにも、あなたにも、選ぶ力がある。

そのことから配慮したり、信頼したり、応援したりして、一緒に過ごせたらと思いました。

 

「集約するコラージュははじめて」と言われて気づいたのですが、確かにコラージュは発散やアイディア出しにも使われる手法ですね。コラージュの会でも以前は、最初から製作していたのですが、壁に貼りたい、手帳に挟みたいというお話を聞いて、ならばもっと願いが込められて、愛着をもって作ったほうがいいなぁと考え、今のスタイルになりました。

はじめに表面的な気になっていることを言葉で全部出して聞いてもらう時間をとっているので、コラージュにはほんとうに願っていることだけが載り、表面的にはいろんなことが移ろっていって、迷うこともあっても、見ればいつでも自分の深層につながれるという効果があるようです。

 

わたしがつくったコラージュは、前回春分のときの片鱗も残しつつ、今の自分にぴったりなものができました。満足です!

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*ご感想をいただきました*

作業の始めの頃は、どの雑誌を見ても何も思いつかなくて、「どうなるんだこれ?」て感じだったのですが。とにかくページを破っていく間に、自分で思っていたのと違う方向にす〜と収斂していって。まさにミラクル。不思議な時間でした。

 


色々変わるタイミングで参加しました。コラージュしなかったら、うつうつぐるぐるしてたままだったとおもいます。やる前は言語化できてなかったのですが、コラージュが完成して語ったときに、すっ、てきた感じがしました。また節目に参加したいです。

 

イメージや言葉を集めて、それを出し入れする時はじめて「自分」がそこに発生する。自分の感覚や経験と照らし合わせて何かを解釈するとき、その一言、一貼り毎に、新しくなる。いつも更新しながら、わたしがわたしを「作って」いるんだなぁと思いました。そして、そんな「コラージュ=わたし」が眼前に現れた今日、みなさんのを見て、自分のを見て、気持ちを言葉にして話しあったことを思い出していると、ああこれって「美しい」なあと、つまり今日はじめて、自分が生きていることを「美しい」と思えた気が、するのです。

 

壁に張ってみたのですが、その後もいろいろ発見があって、とてもよい感じです!

 

コラージュは作ってみると、言語化されないモヤモヤが霧が晴れたように表現される面白さがあるなぁ!って思いました。表現されたがって隠れているものが映し出される、というような。季節ごとに見直せるタイミングがあるのも、すごくよいです。

 

 

 

ご参加くださった方、ご関心をお寄せくださった方、ありがとうございました!

 

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▼次回のKLASSでのコラージュの講座は、9/23秋分の日です。

http://klass.hagiso.jp/class/collage-2nd/

 

▼コラージュの出張講座やコラージュの製作を通じて実現したい場づくりのご相談も承ります。お問い合わせはこちらまで。

http://hitotobi.strikingly.com/

 

 

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人の場に参加して学ぶ!6/23場づくりゼミパート練習会のお誘い

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明日の場づくりゼミ最終回は、ゼミ生によるパート練習会です。

 

パート練習とは、ゼミ生が自分で催す予定の模擬的な場を合計20分で進行し、参加者役の方々は「その場に来た人」の体(てい)でいていただき、20分の時間が終わったのちに、フィードバックしたり、質問していただくものです。

 

この参加者役として【あと2名】来ていただけたらなぁと思っています。

 

見ていただきたいのは、練習役が「なぜこの場をひらいているのか」が語れているか、、安心安全な場を進行できているか、時間の管理はできているか、手順がわかりやすいか、などの態度やふるまいや流れやご自分の居心地のよさなどです。

 

練習を行うゼミ生に対しての貢献になるのはもちろんですが、参加される方にも場で起こるやり取りから学べることがたくさんあります。わたしも講評し、解説も適宜入れていきますし、全体でディスカッションする時間も持ちます。人の場に参加して学ぶといいのはわかるけれども、どういうことに意識を向けて参加すればよいのか?そのフラグが立つところではないかなと思います。

 

そして、場に参加した感想を、催している人と率直に話す、、特に意図を聞くとか、要望を伝えるなどはあまり機会がないかもしれません。参加する立場でもこんなふうに場にかかわれるのかもしれない、という参加の練習にもなるかも、という気もしてきました。

 

つまり、何かしらお持ち帰りいただけるものがあります!

 

練習役にとっても、全員を含む場としても、なるべく多様な視点、背景、経験からの発言が出るほうがよいので、定員の5名まで来てくださるといいなぁと思ってのお誘いです。

 

ご自分の場づくりのお悩み相談などもお持ち込みOKです。場づくりの経験の有無や多寡は重要ではなく、素朴な疑問や感想などが助けになり、全体の学びになります。少しでも「場」に関心のある方ならどなたでも大歓迎です!

 

今予定している場は、以下の3つです。場合によって2つになるかもしれません。
・自己紹介のZINEをつくろう
・韓国料理をつくろう
・チームの今後についてミーティングしよう

 

もしご都合とお気持ちが合えば(もちろん必要性と!)、ぜひご参加お待ちしております。
参加者役の受講料は通常より1,000円引の4,000円となっております。


詳細、お申し込みはこちら ↓ です。

bazukuri.peatix.com

 

お聞きになりたいことなどありましたら、こちらまでお気軽にお問い合わせください。

 

第2期 ↓ の下見としてもぜひ。

bazukuri-2nd.peatix.com

 

KLASS第2期「積読本をひらく読書会」お申し込み受付中です

まちの教室KLASSの第2期でも、「積読本をひらく読書会」をひらきます。

 

ご参加の方には「積読本をひらく読書会のレシピ」がお土産でつきます。

「自分でも読書会やってみてくださいね」とよく場の終わりに話しますが、言うだけじゃなくて、こういうレシピがあったらいいかもな、とふと思いついて作ってみました。

今せっせと組み立てています。

 

読書会への参加をちょっとためらうという人も、積読本の読書会なら読んでいなくて当たり前なので、気軽にご参加いただけるかなぁと思います。

 

気になる積読本がある方、本にまつわるおしゃべりしたい方、積読行動の秘密に迫りたい方、場づくりゼミの下見に、などなど、最後の2つはマニアックですが笑、お待ちしておりまーす!

 

 

dokushokai-2nd.peatix.com

 

《募集中のKLASSの講座》

▼また行きたい!と思える場をつくるゼミ(単発参加OK!) 7/14(土), 7/28(土), 8/11(土), 8/25(土), 9/1(土)
http://bazukuri-2nd.peatix.com

▼節目につくる、自分の今とこれからを見つけるコラージュの会《秋分編》 9/23(日)
http://collage-2nd.peatix.com

 

 

《読書会をひらいてみたい方、ふりかえりたい方へのサポート》

▼個人セッション
企画、設計、案内文添削、現場にオブザーバー参加&フィードバックなど、場をつくるにあたって直面する様々なフェーズのコンサルティングやアドバイスを対面およびZoomでお受けしています。
http://hitotobi.strikingly.com/ (フォームよりお問い合わせください)

 

▼読書会のつくり方講座
ミニ読書会体験→解説→企画→講評で3時間。読書会ならではの場づくりに集中して取り組みます。「これだけ考えれば、とりあえず告知はできる」という状態でお帰りいただけます。対象、人数に応じカスタマイズ可能です。
http://hitotobi.strikingly.com/(フォームよりお問い合わせください)

 

 

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はじめての競技かるた@アカシデカフェ、ひらきました

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6/17、池尻大橋のアカシデカフェさんでの「はじめての競技かるた」の講座でした。カフェがあるのは、なんと知っている人は知っている、競技かるたの強豪校、駒場高校の隣!個人的に萌えるロケーションです。

 

店主さんと、とあるイベントでお会いしたときに、どこからその話になったのか、「わたし競技かるたをやっています」と言ったら、「ぜひ教えにきてほしい!」とお声がけくださったのです。

 

子どもが学校の授業や行事で百人一首を習って、漫画を読んだり映画を観たり、教本を買ってみたりしたけれど、なかなかその次の一歩、正式な競技かるたを教わる機会や場がない。かるた会を調べてみたけれど、近隣の会は定員いっぱいで新規入会を受け付けていない。大人も興味がある人は混じれて、もう少し気軽にはじめられて、ゆくゆくはここで定期的に部活のような場をひらけたら...とのことでした。

そこからかるた会へ入りたい子は入り、かるた会に入るほどじゃないけどやりたい子は来られる、なんて場になればなぁ...!などなど、打ち合わせで、「この先どうしていきたいか、という中での今回の場の位置付けをどうするか」のお話もきかせていただきました。

 

確かに百人一首の歌は知っていても、坊主めくりや散らし取りはやったことがあっても、競技かるたをほんとうに習ったことがある、という人はなかなかいません。華やかでカッコいいイメージはあるんだけど、でも競技かるたとは何なのか、何をしているのか、どういう世界なのかということは、実はあまり知らないという方がほとんどかと思います。

未経験者が知ることができる場がないんだよなぁ、この道でやっていくと決めないと知ることができないのはもったいないよなぁ...ということは、かるたCafeを定期開催しているときから思っていました。間のつなぎ、橋をかける場がない。もっともっと場ができるといいなぁ。わたしもこのような単発の講座をお届けすることで貢献できたらと思い、所属会の会長にもお話し、今回のお話をお受けしました。

 

 

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当日は親子で来られた方も含め8人満席でわいわいと行いました。

競技かるたを経験したことがない方が、自分の知っていることから少しずつ入れるように、見ている風景を想像しながら設計しました。前回の中央区の講座とは目的もテーマも対象者も違うのと、3月から今までに新たに勉強したことなどを加え、一から考えてみました。

 

前半は、「競技かるたと『百人一首』ってどう違うの?どこでできるの?級や大会とは?」という話からはじめ、「和歌の歴史、百人一首の成り立ちや構成、歌人百人一首が競技かるたに至るまでの歴史的変遷」のお話をしました。千年前の人々と今の自分たちとが歌を通してつながっていること、これからやる競技かるたもそのつながりの延長上にある、ということを感じてもらいました。

後半は、1時間ちょっと使って実技をしました。並べ方からはじまり、ルール、マナーなどを少しずつ説明しながら、決まり字の仕組みを説明し、短い方から枚数を限定し、暗記して狙って取る、暗記して狙って取る、を繰り返し、「相手より速く取れると楽しい!」を体感してもらうことを心がけました。

 

 

youtu.be

 

やってみてはじめて、

・狙っていた札が取れるとうれしい!・取れないと悔しい!
ちはやふるの太一のすごさがわかった
・畳は叩くんじゃなくて札を払っていたのか
・これを袴でやるのは大変
・本当にスポーツなんですね!
・人に対する礼儀や敬う心がある

などがわかったり、最後のほうには、

・決まり字の短い札は自分に近いところに置いたほうが有利では?
・そうか、同じ音の札は二枚並べたら速く取れるのか!

などに皆さんがどんどん気づいていく様子に、こちらもわくわくしました。

 

最後のふりかえりの時間では、

・負けて悔しかったので、かるた会のことなど調べてみて、競技かるたをやれる方法を考えてみたい
・歌の意味も知って、決まり字も覚えて、もっとかるたのことを知りたい
・最近家で百人一首をするのは飽きていたけれど、競技かるたを知ってまたやってみたいなと思った
・楽しかった!家に帰って子どもとやります!

などの感想が出ました。

 

かるたにはじめてふれた人が、みんなほんとうに楽しそうでキラキラしている様子は、いつ見てもぐっときます。そこに立ち合わせてもらっているのだなぁ。

 

自分で発見したほうがより喜びが深いし、体験として強く残ります。決まっていることと、大事なことだけ説明して、あとは展開していく中で、発見する喜びを持ってもらえるように願っていたのですが、やはり枠が信頼に足るものなら、自然と出てくるし、そしてさらにその発見の喜びに寄り添っていくと人は伸びていくのだなぁと実感しました。「講師」にできるのは、信頼に足る枠をつくるということなのかもしれない、ということも考えました。

 

今回のお仕事は、わたしにとって大切な存在である競技かるたをシェアできたこともうれしかったし、ひとつの世界への分け入り方を見せる、教える、講師としての場づくりが鍛えられたという側面も非常に大きかったです。

 

人間、身は一つで有限なので全部の道には分け入れない。分け入るかもしれない人のきっかけになれたらとてもうれしいけど、たとえ分け入らなくても、ちょっとその世界をのぞけて、自分の持つ何かと接続して対象をとらえられたら楽しいんじゃないか。そんなふうにこの日の競技かるたの体験を受け取っていただけたらうれしいです。

 

ご参加くださった皆さま、アカシデカフェさん、貴重な機会をありがとうございました。

 

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【KLASSの講座】また行きたい!と思える場をつくるゼミ(第3回)、ひらきました

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人が集まる場をつくりたい人や、運営している場をふりかえりたい人が、自分らしい場づくりをレクチャー、ワーク、参加者同士の対話を通じて考え、学び合うゼミ形式の講座です。

 

6月9日(土)に第3回を開講しました。
テーマは、「運営と事前事後の抑えどころ」。

今回もゼミ生の皆さんのおかげでとても充実した時間となりました。

 

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わたしが一番シェアしたかったこと、みんなで考えたかったことは、「場に集う人と人との間にどう信頼関係を生み育むか、安心・安全・健やかな場を何をして・何をしないことでつくるか」ということでした。

問いを立てて、具体的な行動やツールをみんなで出し合いました。

また、安心、安全、健やかさは、参加する人にとってだけでなく、場をつくる人にとっても非常に大切だということもお伝えしました。タフラブ(tough love)を持つ勇気、ファイアウォールを守人自身がつくる、人を人として扱う、子どもの同伴についての場のポリシーを定めるなど。

 

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人が集まれば起こることを想定して対策を立て仕組みにすることが、「準備7割」の中に含まれます。事後には、事前に計画し仮説を立てたこと、想定したことが実際にどのようであったか点検し、評価し、次につなげるふりかえりが大切です。一つひとつに裏付けや根拠があってはじめて、タスクリストを作成したり、スケジュールを組むことが意味を持ちます。

 

第1回から参加しているゼミ生は、回を重ねるごとにその人とつくる場が立体的になってきました。今回初めて参加するゼミ生にも「宿題」に取り組んでもらい、どんな場をつくりたいかを語ってもらいました。申し込み時点ではまだ具体性が薄くても、「場」という言葉にたどり着いている時点で、場づくりははじまっています。聴かれ問われ、様々な視点にふれることで形を取っていきます。その様子を目の当たりにすることで、他のゼミ生にも気づきが生まれます。

 

わたしのふりかえりとしては、ゼミは3割レクチャー+7割ディスカッションを目指して設計してきましたが、3回目にしてようやく相互的なよい形がつくれてきたように思います。また今回は、場づくりの本丸とも言える、今までで一番濃い時間となりました。今後の自分の仕事としても、「これだけ切り出した出張講座もできる!」という感触を得られたのはうれしかったです。

 

わたしだからシェアできる場づくりのあれこれがあるのかもしれないと、この仕事にますますやりがいを感じています。

 

次回のパート練習会も楽しみです!

 

\【参加者役募集】6/23(土)パート練習会/
ゼミ生が模擬的にひらく場の参加者役になり、フィードバックや質問をしてみませんか。これからつくる方、運営中でふりかえりたい方にとって、つくりの観察やディスカッションを通じて得るものは多いです。http://klass.hagiso.jp/class/bazukuri/

 

 

 

KLASSの第2期の受付もはじまっています。気になる方ぜひ!

5回のいずれも単発参加ウェルカムです。
7/14、7/28、8/11、8/25、9/1 (いずれも土曜日10:00-12:30)

bazukuri-2nd.peatix.com

 

 

 

おまけ。講座では毎回お菓子をお出ししています。こちらは谷中にある和菓子屋「荻野」さんのもの。あじさいをイメージしたお菓子です。美味しかった!

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KLASSで開催していてありがたいところは、たくさんたくさんあるんですが、今回つくづく感じたのは、写真を撮ってくださる方がいることだなぁ!

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明るくて開放的なKLASSの空間。ゼミ生が自分の場をKLASSでやりたいという動きもあって、こういうつながりや拡がりはとてもうれしいです。

レンタルについては>KLASS | スペースマーケット

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家族のごはんをつくる人の食と農の話

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日本農業経営大学校小野ゼミによるグループインタビューに参加してきた。

小野ゼミの講師・小野さんとわたしは、直接つるんだことはないのだけど、共通の友人が多かったり、界隈でチラチラお会いしたり、わたしがひらく場づくり系の勉強会などに以前からちょいちょい来てくださっている。しゃべっても書いても、独特の視点、独特の味わいをお持ちで、気になる方だ。いつもはオノフミさんと呼んでいるので、以下オノフミさんと書く。

オノフミさんが専任講師を務める学校の、担当ゼミの活動の一環としてのグループインタビューだった。テーマは、「子育て中の女性に聞く〜ふだんの食と農」。

 

参加した学生さん8人はそれぞれ、「実家の農家を継ぎます」とか、「『非農家』だけれど農業に関心があり『就農』します」とか、そういう学校だから当たり前なのだが、農業に関係ある自己紹介をしてくださって、世界を農業フィルターで見ている人たちが集まっていることとか、聞き慣れない業界用語が交わされることに、わたしは冒頭から密かに(萌え.....)となっていた。

 

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「都会の主婦のお話を聞くのは貴重な機会」との言葉に、そんな大げさな…と思っていたけど、いざインタビューに答えて話しはじめると、わぁ確かにあたし都会の主婦だわって思ってきた。食材の入手経路から選択基準から優先順位から…、もうそのものやん…。

 

朝昼晩三食食べたものの写真を撮って事前に送るところからまず、これはライフログだ!すごくおもしろい!と思った。リアル「きのう何食べた?」だ。わたしは仕事以外ではあまり食べ物の写真を撮らないし、たまに撮ってもあまり人に見せないので、それも新鮮だった。しかも、たまたま大量にいただいたソーセージが皿に盛ってあったりして、特に何も考えずに食卓に並べている「いつも」と「偶然」が、撮るとはっきりと写り込んでいるのがおもしろかった。

 

これは朝ごはん。

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他の方の写真や話も、聴いていくとその人ならではの背景があり、興味深かった。

日本のどこのどういう歴史と文化のある地方で、原家族とのどんな食生活の中で育ってきて、ライフイベントと共にどう変化があって、どんな人や地域や食べ物との出会いがあって、どんな調理法や道具を知って、今どういう仕事や時間の使い方をしていて、誰とどんな関係性や分担の中で暮らしていて、何人何歳の子どもがいて、何が好き・食べられて、何が嫌い・食べられないか…などなど、同じ「子育て中の女性」で切っても、全然違う。比較や評価なんてまったく意味がない。すべてがその人による、その子によるので、「普通はこう」とか「何が一番優れてるか」って話ではない。食べる人の行動とその背景を聞きたいというのが主目的だから、場がそこからブレてなくてよかった。料理の上手/下手とか丁寧/雑みたいな話になったら、とてもじゃないけど場にいられなかったと思う。

 

なるほどそれは便利だから参考にしたいと思うこともあったり。

うちは数量的にはわたしとわたしの3/4くらいしか食べない息子のごはんだけ考えればいいけど、家族4人とか5人とかのごはんを考える人はほんといろんなことを考えてつくらないといけないんだなぁ!と尊敬したり。

 

自分ではあんまり食にこだわりはないと思っていたのだが、話してみたらむちゃくちゃこだわり強いやん!てことにも気づいた。4月から5月にかけて取り組んでいた大片付けのあとに性別役割分業からの真の解放があったのだが、さらにこの客観視できたインタビューのおかげで、今、気分はとっても晴れやか。

 

インタビューのテーマのうち、「レタス」と「しいたけ」は、ひとつの食材について、こんなに一生懸命考えたり、人と話したことがなかったので非常におもしろかった。わたしはどちらもあまり買わない。そこから、「なぜか?」を掘っていく。日常会話では、好き嫌いまでは話しても、「なぜ?」まで行かないから、その先に行けるのは楽しい。種類や特徴や用途について聞いたり話したりするのも楽しい。

 

今年の後半は食のほうへ「旅」をするつもりなので、自分自身の食の場づくりのヒントもいただき、大満足だった。

 

オノフミさん、学生さん、日々家族のごはんをつくってる皆様、ありがとうございました!

リサイクル本コーナーで掘り出し物

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公立図書館に行くと、「きょうかえってきた本」と同じぐらい、「リサイクル本」のブックトラックを物色するのが好きだ。たまに、ここでしか会えへんかったわ〜というような本が見つかったりする。

 

先日、リサイクル本の山の中から見つけたこの本、「めぐろシティカレッジ叢書8 川からひろがる世界」。

川のほとりで生まれ育ったわたし、川好きとしては、ぐっとくるタイトル、表紙だ。

 

川に支えられた日本の物資流動、河川の地形学入門、日本の灌漑システムと稲作、川と電気事業、川の癒しと地域の観光(ドイツを例として)、セーヌの流れに育まれたパリ(世界都市の文化はいかに生まれてきたか)、世界文明の礎をつくったティグリス川とユーフラテス川...などなど、川をテーマに、小学校の学習科目で言えば、「社会」にあたるような話がいろんな著者によって書かれていて、はじめて知ることも多くて楽しい。知っていたつもりのことも、その隣(影響しあうもの)やその奥(背景や要因)がわかって、へー!と思ったり、じゃああれももしかして関係あるのかも?と自分の体系とつなぎたい欲求が出てくるとわくわくする。

 

内容としては、論文と社会の副読本の間のような難易度で、でも「川のことでこれは言いたい!」という熱が持ち寄られて編んであるところが、専門家同士がつくっているZINEのような楽しさや賑わいも感じる。

 

そう思ってあとがきを読んでみると、この編者の方自身が、大学在学中に受けた「川の流れ」という講義が忘れがたく、それが叢書の構想の土台にあった、というエピソードが出てくる。

“この講義はオムニバス形式で行われ、「川の流れ」が文系や理系の切り口に限らず、さまざまな先生によって毎回異なる切り口で説明された。すべての講義内容を記憶しているわけではないが、地理学では河川地形の発達史や水文学水収支論が、歴史学では水運や河岸の経済史が、哲学では川向こうや彼岸の思想が、物理学では流体力学が講義され、それら以外にも民俗学や生物学、あるいは政治学社会学などからの説明があり、どの授業も興味深いものであった。” (おわりに/菊地俊夫)

 

...そ、その講義ものすごくおもしろそう......。わたしも受けたい!

 

そして偶然だけれど、ちょうどことほぎ研究室で、7月からまちの教室KLASSで講座「ことほぎクッキングレポート」をひらくことになり、そこでめざしていることとも重なるような気がする。

kotohogicooking.peatix.com

 

 

もう一度表紙を眺めてみて、そういえば「めぐろシティカレッジ」ってなんだろうと思い、本をパラパラめくってみたが、まったく情報がない。ネットで検索してみたところ、目黒区で開講されていた(いる?)区民講座らしい。発足のきっかけが、都立大学が目黒区から八王子市へ移転したこととあったりして、なんだかおもしろい。

 

わたしは人が集って本を紹介しあう場(読書会)を日頃ひらいている。だからこそ余計にそう感じるのかもしれないが、こういうおすすめする意図で置かれているわけではない本に、自分だけの掘り出し物を発見するのはとても楽しい。

 

映画『レディ・バード』鑑賞記録


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*鑑賞行動に影響のある内容(いわゆるネタバレ)が含まれています。未見の方はご注意ください*

 

 

 

6/1公開の映画「レディ・バード」を観てきた。

 

よかった。登場人物たちがみんな、設定ではない人生を生きていて。

赤い髪の女の子が主人公といえば、「ラン・ローラ・ラン」がわたしの中で一等キュートだけど、レディ・バードはまた違うキュートさ。嘘もつくんだけど、誠実さとか愛情豊かな人で、彼女なりの思春期の切実さからであって、気まぐれに大声でわめいたり、ただはちゃめちゃなわけじゃない。気持ちを、意思を言葉で伝えている。応援したくなる感じ。ポーッとなったりもするけれど、基本自分を大事にしていて、ちゃんと境界も守れるから安心して見ていられる。

 

英語の気持ちを伝える言葉ってシンプルでストレートでいいなぁってあらためて思った。日本語だとバリエーションが星の数ほどあって、そこが分厚さや奥行きを伝えることもあるけど、まるで意味が通じてないときもある気がして。人が違っても「そのフレーズ」は一緒なところが、ちょっと羨ましくなった。

 

監督・脚本のグレタ・ガーウィグの「フランシス・ハ」は去年DVDで観て、なんだかぐったりしちゃって、たぶん20年前だったらどハマリしてそうだけど、今のわたしはそうではなかった。「あー、あたし人の親でもあるんだなぁ、いったん親になったら一生親なんだなぁ」と思った、そのとき。

 

リチャード・リンクレーターの「6歳のボクが大人になるまで」もめっちゃ好きだけど、その大部分はパトリシア・アークエットの母親役に共感していたりする。(パトリシアの俳優人生と自分の映画人生とがリンクするっていうのもあるけど)

だからきょうもやっぱりまずは母親が気になった。

そして次に、思春期バンザイ!!ってきた感じ。

 

その他、「プロムには恋人と行く」に代表されるこの「カップル文化」って辛いなぁとか、銃乱射事件、鬱、離婚、ステップファミリー、セクシャル・マイノリティ、カトリック性教育、学費、就職、養子縁組、人種、都会と田舎...などなど、たくさんの小さな筋が集まって本流の物語を支えているので、あーだこーだ話していたら、2時間ぐらいあっという間に経ってしまいそうだ。

 

 

 

自分の聴くを点検する60分

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相変わらず多岐にわたっているわたしの仕事や活動だが、「片付け」が進み、軸がどんどん定まってきている。これから場づくりの個人セッションや団体へのコンサルティングも増やしていきたい。そうしていくには、自分の「聴く」も再点検する必要を感じていた。だいたい年に一度は「聴く」の大きな見直しをするようにしているが、そのタイミングが今来た、という感じだった。

 

そんなときに、こんな場を見かけたのですぐに飛びついた。

「聴くプロのための公開カウンセリング研究会」

ameblo.jp

 

わたしはオブザーバーとして場にいて、20分の話を同じように聴きながらメモをとる。終わってから、20分の道程をみんなで辿りながら、質問やディスカッションを通して、講師との聴き方の違いを探り、気づき、全体の構造をとらえなおす。

20分の時間制限がある聴き方なので、いずれは本流に戻るかもしれない話も、一番の近道を通っていく必要がある。わたしは登場人物の多さや状況整理、自分の関心事にとらわれてしまい、話し手の主訴を正確に把握できていなかった。重要なことは、「話し手がどうしたいか」ということだ。

また、事実の確認(何は起きていて、何は起きていないか)も非常に大きなポイントになっていたことがわかった。整理、確認、具体化。

 

聴き手としてそこにいる責任は持たずにいられて、客観的でありながらも、自分だったらどう聴くか同時に考えながら聴ける。こういうことは自分が聴き手のときにはなかなかできないことなので、ありがたい。自分の聴き方を録音して聴くのもいい勉強になるが、しょせんは自分を超えられないので、優秀なお手本をトレースするのも大事なのだ。

 

上のブログ記事の中にも競技かるたの話が出ていたが、わたしが今年の名人戦・クイーン戦を観戦する前に、A級選手からもらったアドバイスで非常に役に立ったのも、そのトレースと分析だった。自分も同じように50枚を暗記して、並べ方、どういう取り方で取ったか、どのタイミングで何の札を送ったかをつぶさに観察していって、自分の予想や選択とのずれを見るとよいとのことだった。確かにやってみて、上級、超一流の選手の対戦を見て学ぶというのはこういうことか!と興奮した。

 

講師のライチさんによれば、何かを教える/教わるときに大切なのは以下の3つ。

  • 知識を学ぶ
  • 技術を学ぶ
  • 態度を学ぶ

今回のトレースは最後の「態度」のところ。やってもらって先生からフィードバックを受けるのも大切なのだが、やっている人を見て学ぶということも忘れず入れる。

 

今回の学びを自分の現場にどう活かすか、少しずつ見えてきている。

まずは、翌日の場づくりゼミで、「わたしも今ゼミという場をつくっている。ここで話していること、態度やふるまいは、今わたしがゼミの中で述べていることと一貫している。それも見ても学んでもらうつもりでやっています」と、宣言してみた。

「聴く」に関しては、聴けてると思ったらダメで、自分を尽くして聴きながらも、「聴けていないかもしれない」とも一緒にいつづけなくては、と思う。

常に学び続ける。背筋が伸びる思い。

年に一回は少なくともこのような機会はやはり必要だ。

 

それにしても、晩ごはんを食べて風呂に入って寝る準備をしてから参加できるので、Zoomはほんとうに大変ありがたいツールだ。わたしもこれから大いに活用したい。

 

 

・・・

《募集中の講座@KLASS》
▼また行きたい!と思える場をつくるゼミ(単発参加OK!)

第1期:6/23(土)参加者役募集中
第2期:7/14(土) , 7/28(土) , 8/11(土) , 8/25(土) , 9/1(土)
http://bazukuri-2nd.peatix.com

▼自分の今とこれからを見つける夏至のコラージュの会 6/21(木)
http://klass.hagiso.jp/class/collage-2/

積読本をひらく読書会
7/7(土) , 8/4(土), 9/6(木)
http://dokushokai-2nd.peatix.com


《個人セッション》
企画や設計のサポート、案内文添削、こんなときどうする?など場づくりにかかわることならなんでもご相談ください。
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1回1h ¥10,000(税別)〜 
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