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ヒトトビ〜人と美の表現活動研究室

他者の表現にふれることから、自分の中にある美の感覚にもふれてみる、自分の美を表現してみる。みんなで探究する場づくりを通して考えることなど。

短編法廷ドラマを観て感想を話す会、ひらきました

場づくり

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武蔵小杉のブックトークカフェの常連メンバーと、「短編法廷ドラマを観て感想を話す会」をひらきました。こうしてひとつの場から、共につくる関係が派生していくのは、わたしにとって、とてもうれしいことです。

 

この場をひらくにあたって、いくつかエピソードがあります。

・ブックトークカフェで、テーマが「悪い本」のときにこのドラマを小説化した本を紹介してくださった方がいて、これはみんなで話すとよいのでは?と興味をもちました。

・わたしが4年前に3回ひらいた、「刑事裁判を傍聴をして弁護士さんと感想を話す会」の流れを汲んでいます。

・犯罪はどうして起こるか、刑罰・量刑は妥当か、正義と悪とは線引きできるか、誰が何をどこまで判定するか・できるか、他人事の正義感と刷り込まれた道徳心・倫理観に気づけるか、などの問いを相方さんと事前に想定しました。

・自分も含む参加者は、裁かれる本人ではないけれど、ある種の当事者である。自分もみんなも他人事ではない、当事者としての言葉を発する場になれば、というわたしの思いがありました。

 

進め方はごくシンプルに、

1. 裁判員として1話15分の裁判を「傍聴」する。

2. 争点を確認し、証拠や証言について考察し、あらゆる可能性について討議する。

3. 最後に一人ひとりの意見(有罪/無罪等)とその理由を表明する。

として、2話分を行って、2時間きっかりで終わりました。

 

感想としては、とにかく、非常によかった!

 

法律の専門家ではない参加者4人それぞれの経験や背景から、深く広がりのある対話が展開し、人の数だけ世界の見え方があること、立場が変われば見える景色がまるで変わることの確認や、裁判や裁判員制度の課題の浮上、テーマを設定して話しきる大切さを実感するなど、とても充実した時間となりました。

 

一人で観ただけでは、なかなかここまで思考を前に進めることは難しい。「他の人はどう思っているんだろう?」が聞けて、そこから影響を受けてまた言葉にできたことがつながる。徐々に自分の意見が絞られていくのは、場の力だと思います。

 

例えば、正当防衛が認められる状況、保護責任者遺棄致死罪が適応される人や状況など、判断の根拠として設定した線引きがあって、時には目に見えない個人の感情までも評価される、ということ。知っていたようで知らなかった世界が、わたしたちの周りには、ある。良し悪しを語る前にまず、「そのように運用されていたんだ!運行していたんだ!」という衝撃がありました。

 

リアルだったのは、自分の中の有罪・無罪の意見の揺れ。最初は「完全に有罪よね?」と思っても、新しい証拠や他の「裁判員」から発言が出るたびに、「無罪の可能性もある?」など、自分の意見がぐらぐらと揺れ続けました。実際の裁判員裁判もきっとこのようだろうと思います。より説得力のある方へ、思い込みや偏見も含め、傾いていくのは、人は情報によって意見を変える性質があるからではないか。

 

わたしたちは果たして、人を裁き刑を課す、決断を下す場に立ち会えるほど、十分に成熟した市民なんだろうか?

 

わたしたちのことなのに知らないでいることはまだまだたくさんあると思う。まずそれらを明らかにする。そしてそれが意味することは何かを考えたい。わからないからこそ、これからも場をつくり、いろんな人と対話を重ねていきたいと思いました。

 

わたしはこのような社会派的なテーマでも場をひらきますが、それは「社会を変えるactivist」としてやってるわけではないようです。人間について、あるいは人間がつくったものについてもっと知りたいという気持ちから。この中にはよくわからなくて怖いものもある。でも、放っておいて怖いものが増えるだけなら、いっそその顔を見に行ってみよう、みんなでしゃべりながら行って帰ってこれば、案外怖くないかもよ、という感じです。わたしはビビりだし、根拠なく楽観的にもなれないので、こういう手段をとっているのではないか、と思います。

 

終了後のランチタイムでは、武蔵小杉のおばちゃんたちが朝早くからせっせと作るボリュームたっぷりの「横浜サンド」をいただきました。時間がたってもパンがべしょべしょしてなくて、レタスがパリッとしていて、細かく刻んだゆで卵の楽しい食感がある。丁寧な手仕事も込みで美味しかったです。

 

この場をひらけてよかった。ありがとうございました。

 

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