ひととび〜人と美の表現活動研究室

他者の表現にふれることから、自分の中にある美の感覚にもふれてみる、自分の美を表現してみる。みんなで探究する場づくりを通して考えることなど。

「ちはやふる-結び-」を語る前に考えたこと①

4月下旬にこんな会を催しました。

chihayafurumusubiadacoda.peatix.com

 

開催レポートを書く前に、そこへ至るまでにいろいろメモしたことをまとめていこうと思います。

 

今回の「結び」は観に行く予定でしたが、やはり競技かるたは自分の大事にしているものなだけに、どういう期待を持って観に行けばいいかなぁということをふわふわと考えていました。

ちょうど民放で2週連続「ちはやふる上の句」「下の句」を放映していたのを実家で録画しておいてくれたので、春休みで帰省したときに息子と二人で観ました。次の日「結び」を一緒に観に行くのでおさらいのつもりで。

 

すると、前回はなんら印象的ではなかったシーンに目が留まりました。

例えば「下の句」のこのシーン。払った札を取りに行った千早に、札を拾った奏が祈りを込めて渡しています。

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前回観たときは確か、「実際にこんなことあるのか?マンガ(創作)だからか?」と思っていましたが、今なら、「いや、ありますよ!」と言える。去年の東京都大会で実際にありました。かるた仲間が払ってわたしのところに飛んできて拾って渡した札は、「わがいおは」でした。そういえば2月の大会でもあったな。ていうか、すごくよくあるわと次々に思い出してきました。

 

 

例えばまたこんなシーンもありました。

太一「お前さ、試合中に流れが悪いとき、どうしてる?」
新 「は?」
太一「狙ってる札が全然出なくて、自分のペースがつかめないまま、気づいたら試合が終わってるみたいなとき。…新はないか…」
新 「......イメージや」
太一「え」
新 「立ち上がって、かるたが一番楽しかったときをイメージするんや」

これを観て、その数日前にあった横浜大会でのことを思い出しました。

一回戦 不戦勝、二回戦 11枚差負け。

決して敵わない相手ではなかったし、ミスも頻発していたのに、全然自分のリズムがつかめず、読手の読みともタイミングが合わず音が遠く、しまいには束負けとは...と情けなくて悔しくて泣いたのでした。

そうか!今度またあれが起きそうになったら、イメージや!

...など。そういうシーンが他にもいくつかありました。

 

そこで、「実はこの映画はすごく競技者として参考になることが描かれているのではないだろうか?」という期待がむくむくとわいてきました。

 

前回の下の句からの間に、わたしは何回か大会に出て、1月には近江神宮での大会で優勝して、かるた会に入り、かるたを通じて出会いもあり、かるたから教わることも増え...という月日を過ごしてきていたのでした。同じ映画なのに、時間を経て観ると全然違って見えるということはよく経験したけれど、その見え方が、同じ競技に自分も取り組んでるということによって、まったく違う味わいになっている、というはじめての感触に驚きました。

競技かるたをやったことがない人にもわかりやすいようにつくられていることにも気づき、制作サイドからの風景にも関心がわきました。

 

 

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ちょうど横浜大会は、「どうしてわたしはかるたをするんだろうか?」ということと向き合っていた頃でもありました。いつも向き合っているんだけど、しっかりと言語化してみました。

 

自分のかるたをする。相手の動きや気配や感情を全身で感じ取りながらも、自分のかるたをする。それを引き続き、「自分の仕事をする」、「自分の人生を生きる」としっかりつなぎながら、しぶとく諦めず、失敗や負けを恐れず、挑戦していこうと思います。

かるたの試合では、今自分が取り組むべきテーマが感情として出てきます。横浜大会のときは、反感や執着を覚える自分とそれから逃れたいとする自分との葛藤が内面に起こりました。それとどうかるたの時間中に向き合えるかで、試合が終わってからの自分の姿勢が変わるように思います。

 

わたしは小学生のときの水泳以来、スポーツに真剣に取り組んだことがなかったのですが、最近、アスリートがインタビューに「自分の走りをするだけ」「日頃やっているように一つ一つやっていくだけ」と答えている意味がようやく近い重みで理解できるようになってきました。

 

かるたには次の一枚を目指せることのありがたさがあります。

そう、次の一枚に何が起こるかは誰にもわからない、かるたのそこが好きなんだよなーと思います。

 

40代になってはじめての「道」に分け入って行くって楽しいです。