ひととび〜人と美の表現活動研究室

他者の表現にふれることから、自分の中にある美の感覚にもふれてみる、自分の美を表現してみる。みんなで探究する場づくりを通して考えることなど。

あなたがいてくれるから見ることができる:大地の芸術祭に行った話

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8月に越後妻有トリエンナーレ・大地の芸術祭に行きました。仕事終わりの夕方から一泊二日。めったに乗らない上越新幹線にどきどきしながら。

 

前々回ぐらいから、行ってみたいなーと言ったのを覚えていてくれた知人?友人?(これまた名前のつかない、しかしとても信頼している方)のツアーに乗っけてもらいました。ご家族が芸術祭の運営関係者で、1回目からずっと訪れているということで、詳しいお話も聞けるし、その方のつながりで集まった魅力的な方々との交流も楽しかった!

 

丁寧で風通しのよい場で、どこに行くにも安心して、のびのびと心地よく過ごせ、居たいように居られました。知らない人の中にいても気疲れしてない自分にびっくりです。

 

昨年のちょうど同じ日に、秋田の上小阿仁村の芸術祭「かみこあにプロジェクト」に行っていたことを思い出しました。(そのときのことを書いた記事がこちら)もともと大地の芸術祭の飛び地としての開催だったので、なんとなくご縁。そして越後妻有の津南町にはマタギが南下して住み着いた集落もあると知り、マタギのルーツである上小阿仁村からの流れを感じるなど、わたしにとって、ちょっと特別な旅路になりました。

 

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短くも濃い体験から感じたこと。

 

その土地や建築物の歴史や文化、物語や文脈を取り込み、人とのかかわりの中から触発されてできた作品たちは、そこにそれらが在ることの意味が、理屈でなく、今この瞬間に身体ごと感じられて、とてもエキサイティングでした。作品が大きいので、細部が見きれなくて身体で感じるしかないんですが。

 

大きな美術館の企画展示などの、中身の入れ替え可能なスペースに置いたのとは全然違っていて、やはり芸術祭はおもしろいなァ!とわくわくしながら回りました。恒久作品の経年変化を聞くのも、継続している芸術祭ならではのおもしろさです。

 

人と自然という大きなテーマに、芸術祭にかかわる人たちが橋を架けてくださり、ツアーの場を通じてアートに橋を架けてくださったことで、大きく豊かなギフトをいただいたように思います。好奇心が満たされ、理解が深まる喜びがありました。

 

風景や作品を前に、皆さんとちょいちょい感想を話せたのがやっぱり楽しかった。美術館と違って、しゃべり声を気にする必要がないというのはいいものです。

「あれも作品じゃないの?」「いや、ただあるだけでしょ。でもそう見える」みたいな会話をしていて、あーそうそう、これだよね!こういうのが楽しいんだよね!とにこにこしてしまう。

 

 

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途中で、ディレクターの北川フラムさんが、今回かなり力を入れてフィーチャーされている磯辺行久さんの作品が展示されている、清津倉庫美術館にてレクチャーしてくださいました。ここの体験が、まだ消化できていないのだけれど、とてもよかった。よかったということだけ記しておきます。

 

 

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一晩泊まった、結東(けっとう)という集落が、かつて明治から昭和の間の43年間、極僻地のために義務教育を免除されていたという不名誉な時代があったと聞き、絶句しました。その間は村の有識者が読み書きそろばんを教えながら、小学校を建てる運動をしていたそうで、そうして建てられた小学校も、今は市町村合併や学校の統廃合で廃校となり、芸術祭を機に宿として生まれ変わっている。近くには、西川美和監督の映画「ゆれる」でつかわれた吊り橋もある。最後の民家がなくなってから、マイクロバスが脱輪しそうな細く険しい山道を20分行くような山深い地です。そこでも人は稲を植え、熊を獲って生きていた。

 

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わたしの生い立ちはどちらかというと日本史の教科書に出てくる出来事の端っこみたいなところにあって、そこから追われたり、そこに入らない土地や人の物語には疎い、自分の無知さを思い知って頭を殴られたような気持ちになりました。狭い。。

 

豪雪地帯の暮らしのこともずいぶん考えた。見たことのない家のつくり。長岡に行ったことはあるけれど、やはり融雪設備が充実しているところと、この山深いところでは全然違っていて。冬寒いところだから夏はさぞ涼しいのだろうと思ったら、「大陸からの湿った風が」山にぶつかってもたらす湿度の高さや雨に日中は少し参ったり。身体を運んでみないとわからないことがある。

 

 

途中で、今お店で一緒に働いているあおいさんに会えたのもうれしかった。知っている人と遠くのまちに行って、知っている人がまたいてっていうのおもしろい。

大地の芸術祭くらい大きくて知名度も上がると、こうやって3年に一度、大規模に人の移動が起こり、あらたな接触が生まれたり、時間差で出てくる事実があったりして、それは少し上のほうから見ると攪拌されて電気が生まれているみたいで、おもしろい感覚です。

 

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いろんなことあったけど、今ふりかえってあえて言葉にすると、「あなたがいてくれるから見ることができる」という体験だったかな。

 

 

また次回も彼女のツアーで行きたいなー。

あと、瀬戸内芸術祭も。船酔いがなければ、ほんと行きたい...。

 

 

 北川フラムさんの記事。

webronza.asahi.com

 

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ガイドブックが刷られた時点ではまだ完成していないので、掲載されているのはラフスケッチという作品も多い。実物と見比べて、「全然ちゃうやん!」とツッコミ入れるのもまた楽しい。

 

 

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雪の重みで曲がる杉。

 

 

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