ひととび〜人と美の表現活動研究室

他者の表現にふれることから、自分の中にある美の感覚にもふれてみる、自分の美を表現してみる。みんなで探究する鑑賞の場づくりを通して考えることなど。

タータン展がよかった話

三鷹市美術ギャラリーのタータン展を見てきた。神戸ファッション美術館でやっていたときから次は三鷹に巡回だな!とチェックしていたので、予定通り行けてうれしい!



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今、一時的にタータンに詳しくなっている自分がおもしろい。

展覧会の愉しみってまずはここなのかも。

一時的に詳しくなる→人に言いたくなって言う→聴いてもらえる→!展開する!

 

 


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まずは今までわたしは、

・タータン

・チェック

・キルト

をごっちゃに理解していたことが判明。脳の「格子柄のものボックス」の中にがさっと入っていた。

 

タータンとは、

・2色以上の色を使い、それらの糸が直角に交わる格子柄である。

・たて糸とよこ糸に使う糸の色と数が同じで、基本パターンが繰り返される

の2つを満たしたものを言う。織ることによって生まれるチェック柄のことを指している。だから、プリントされたものはタータンではなくてチェックということになる。あるいはタータン風の柄?

 

チェックとは、

・日本の市松模様のような、2色の正方形が交互に配置されたもの

 ・タータンではないもの

なのだそう。

 

だから正確に言うと「タータン・チェック」というものはない、ということになる。「フラダンス」みたいなものかしら?

 

 

キルトは、

タータンをつかったスコットランドの正装で、巻きスカート状のものだけれども、決してスカートとはいってはいけないらしい。かつてはハイランド地方の人たちの日常着であり正装であり戦闘服だった。

 

18世紀はじめにあった、ジャコバイトの反乱で、イングランド国王ジェームズ7世の支持者たちが着たのでイングランドのほうにも知られていったらしい。何回も反乱は起きていて、弾圧されたときに文化の衰退を狙って、バグパイプゲール語と共にタータンが禁止された時期もあったとか。

 

このあたりのスコットランドの歴史や文化もあまり詳しくなかったので、こんなふうに出会えてうれしい。この体験を覚えておけば、他で出てきたときにもピンとくるはず。

実際に、「インヴァネス」という地方の名前が出てきたときには、「おお、シェイクスピアの『マクベス』じゃん!」と思ったし。小さい頃に読んだきりの「アーサー王と円卓の騎士」ももう一回読み直したい(関係ある?ない?)。

 

 

タータンには種類があって、家・氏族ごとに固有のタータンがあるというのはちょうど今年知ったばかりだったのだけれど、他にもあった。

・クラン・タータン
スコットランドの由緒あるクラン(氏族)とその家族が身につけられる

・ディストリクト・タータン
地域に関連したもの(ニューヨーク市のタータン、ジョージア州のタータンなども展示されていた。スコットランド人が移民先のアメリカやカナダでもタータンは盛んになった、ということか)

・ミリタリー・タータン
軍隊用(有名なブラックウォッチはもともと軍関係だったのね)

・ロイヤル・タータン
王室専用(ロイヤル・スチュアートがたぶん世界で一番有名な柄)

・コーポレート・タータン
組織や企業が販促や象徴として(日本でも伊勢丹タータンがある。スコットランド・タータン登記所というところで公式に登録されている柄だそう)

 

 

 

いろいろ観ていて印象に残ったのは、とても単純な制約の中で、個別性を表すという様式美。デザインの生まれ方。

例えば、ブルドッグソースの105周年記念につくったというタータンがわかりやすい。ウスターソースの起源が、イギリスのウスターシャー地方にあるからということで、タータンをつくることにまずなったらしい。そして、どんな色を使うかというときに、

 黒:スパイス
 赤:トマト、りんご、にんじん
 緑:その他野菜

という由来を込めている。色や数字や組み方にも何か意図があるのだと思う。

こんなふうにタータンでは、伝統を尊ぶ・守ることも表せるし、ビジネスや文化的なつながりを促進する効果もある。

 

ロビーでは、織り物工場で生産している様子と、タータン・デザイナーがデザインの過程を説明してくれる動画が3〜4分ずつ流れていて、これがとってもよくまとまっていていい。

デザイナーが最後に言ってくれた、「どんなデザインになっているか注目してほしいです。そして自分でデザインしてみるのもいいでしょう」という言葉にじんわりきて、帰り道はさっそくすれ違う人、電車に乗り合う人のマフラーやらシャツの、タータンやタータン風のチェック柄が気になった。

 

脳って関心があることをじゃんじゃん拾ってくれるからおもしろい。

 

 

 

▼家に帰ると、掛け布団カバーも息子の着ているシャツもタータンだった。 

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▼2018年9月発刊したての「たくさんのふしぎ」シリーズ。わかりやすく網羅的でおすすめ!
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▼イギリスでタータンといえばやはりこの人!次はこれを観に行くかー!!
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▼はぎれがぜんぶ美しくて、何に使うか当てはないけど、ほしくなっちゃう。
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《追記》

図録は書籍として一般に販売されていて、展示されていたものや解説も読めます。こういう展開はいいよね〜 実物観に行けない人にも、もちろん行った人にも。
http://amzn.asia/d/6f0GKK9


銀座和光で、150周年記念 キンロック アンダーソン フェアというのを先月やっていたとツイッターのフォロワーさんが教えてくれました!キンロック・アンダーソン社は、タータン展でもフィーチャーされていましたよ!このサイトに書いてあることも興味深い。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000036.000025779.html