競技かるたの大会前に、片付けをするようにしている。
今回は本の片付けをしたのだけれど、それを書く前に、「競技かるたと片付け」その二つがどう関係あるのか、考えてきたことを書いてみる。
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どんなスポーツや競技でもそうだと思うのだけれど、競技かるたも体力と精神力をものすごく消費する。
一つの試合がだいたい80分〜90分ぐらいはかかる。
(競技かるたの大会について詳しく知りたい方は、こちらの記事がとてもわかりやすくまとめてくださっているのでぜひ)
大会の前には練習時間を多めに作って、当日に向けてフォームや技術を仕上げていくことが大切。そして、練習以外の時間で調子を整えておくことも、同じぐらいとても大切だと思っている。
わたしが特に大会の2週間ぐらい前からゆるゆるとやっていること。
- お酒をストップ(普段からアルコールに強くないので、お祝いの席ぐらいでしか飲まないけれど、この期間は完全に飲まない)
- コーヒーは1日1杯〜2杯。全く飲まない日もつくる。
- 食べたいものを自分で料理して腹八分目に食べる。
- 夜は胃に負担のないものをなるべく早い時刻に食べる。
- 炭水化物、砂糖、果糖は控えめで、タンパク質を多めに。
- 8時間以上寝る。
- 仕事や家庭や人間関係などで気になることはできるだけ回避したり、自分なりに片をつける。
- 部屋の片付けをする。
こんなふうに身も心も快適で軽くしておく。
その一貫としての片付けなのである。
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たとえば部屋が散らかってると、その状態を見たくなくて目に入ってても、見えないように自分を麻痺させるから、感度が鈍くなってる。逆に片付けるとひらめきが出てくる。
競技かるたでは、この感度やひらめきの部分がとても大切だ。
対戦では、百枚を裏返しにして、半分の五十枚をランダムにピックアップしたものを使い、そのうちさらに二十五枚ずつを相手と自分とで分ける。場には五十枚しかないが、読まれるのは百首。読まれても場にない札、つまり空札が半分ある。
この読み上げられる順を感覚をはたらかせて、読む(ひらめく)力が必要になる。
また、競技者は「定位置」と呼ばれる、何の札がきたらどこに置くかをあらかじめ決めている。これは競技者の数だけバリエーションがある。
この距離のこの隣の位置にこれがあるのがしっくりくる、考えなくても自然と手が伸びる位置にあって取りやすい、印象が強い、というような言語化できないエリアの感覚を使っていく。
試合では実際に並べたら、暗記をする。「なにがどこにあるか」と「どこになにがあるか」の両方の視点を持ち、交互に確認していく。
それを身体ごととらえているので、空間認識能力が上がる。
その定位置は、どの札の組み合わせでどの札が自分の陣にくるか、音が途中まで同じ札(友札という)を相手がどこに置くか、自分の調子によって最初に置く場所も変える。試合が進むと札を送ったり送られたり、枚数が減ってくるうちに場所は刻々と変わっていく。どこに置くとどのように取れるか、取られるか。そして次にどの歌が読み上げられるか。常にひらめきと臨機応変さが求められる。
そして、日々練習を重ねる中では、自分の変化や成長に合わせて変更したり、崩したりもしていく。そして取りづらいと思っている位置にある札、苦手な札がなくなるように実践で調整していく。
こういう対戦を重ねていく中で、「わたしには状況を変える力がある」という信頼、自信など、「信」という感覚が持てると強い。よい取りができる気がしている。
もちろん勝つか負けるかは時の運なので、わからないが、自分のかるたができたかどうかで、試合のあとの後味は全然違う。自分のかるたをするための、様々な調整なのである。
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上に書いたことが、そのまんま片付けにも当てはまるように思う。
居心地の良さ、使えるものが置いてあること、動作のしやすさ、今の自分に一番ぴったりにさせてあること、優先順位がついていること、心身が軽いこと。
自分の生活を頼もしく支え、外での活動を送り出してくれる部屋にしておく。
それらは自分の力で変えていける範疇にある。
週に一度の練習や1〜3ヵ月ごとの大会がいい節目になって、自分の生活や人生が整うのはありがたい。貴重な練習のために、貴重な大会のために体調を整えておこうと思うし、それに向けて身辺整理をしておこうと思える。そしてやると実際に効果がある。いいことしかない。
片付けにも節目やサイクルを導入してみるといいかもなぁと、最近はカレンダーのアラート機能を利用して、「洗濯槽洗い」や「書類整理」や「冷蔵庫掃除」などをしている。もちろんわたしは大雑把なところはびっくりするほど大雑把なので、できないことも多い。でもできたときの爽快さが好きで、計画をする。
自分には計画性がないと思っていたが、ひとつ身体性を伴った成功体験があると、動機が明確になるし、プロセスにも意味があることがわかっているからサクサク進むのだということもわかった。
一つやっていることが他にもよく作用するのは楽しい。