金曜・土曜は夜間開館!
国立西洋美術館で開催中の松方コレクション展、モダン・ウーマン展に行ってきました。それと常設展ももちろん。
常設だけでも豪華すぎるほどの美術館なのに、これら全部を観たらもう...
たっぷり3時間半かかりました。今回はスケッチはほぼしなかったのにこの時間...。
うわさ通り、期待に違わず、素晴らしかった。
松方コレクションは、国立西洋美術館の所蔵品の中核を成すコレクション。
これがあったからこそこの美術館は生まれた、ということだけふんわりと知っていましたが、背景にこんなにも波乱万丈な物語があったとは!
散逸していたものも含め、90年ぶりに初めて一同に会する作品たちを愛おしむ。
開館60周年の節目にふさわしい企画でした。
作品たちの所蔵先である海外の美術館とのやり取りの中でも、その意義が何度も語られたことではないかと想像します。
ただポスターだけ見ると、「ああ、またモネの睡蓮か...」と思っちゃいそうだったけど、この睡蓮は重みが違うのだねぇ。
常設で観てきたあの絵やこの絵が、この日ばかりは「松方コレクションの一員なんだ」と、また違う輝きをもってそこに置かれていました。
思えばこれらの作品が、当時のコンテンポラリーだったのだよなぁ。
その最先端にいた松方幸次郎さんや、同行した方々にとって、それはそれは大きな刺激だったことでしょう。
そして、海の向こうには、こんなふうに世界を視る人、捉える人、表現する人たちがいるのだよと、紹介しようとした。
財を投げうって、なんとか日本の芸術文化の発展のために、西洋を理解するために、交流の相手を知るために、西洋美術を集めた美術館をつくりたいと、「豪快に名作の数々を買い上げた」松方さん。
他にもいろいろ裏話はあるでしょうけれど。
おかげでわたしはこうして楽しませていただいて、人生に希望をもって生きています。ありがとう。
松方さんの父性に包まれつつ、当時とはまた別の方向へすっかり「貧しく」なってしまった我々に、「この遺産をどう継ぐのか?」と問われているように感じました。
ずっしり。
これからご覧になる方には、ぜひ遠くを観られる双眼鏡を持っていかれるとよいかと。少し高いところに配置されている作品があります。
わたしは聞いていたのに忘れてしまった...。
そろそろ単眼鏡もほしいなぁ。
と思ったら青い日記帳のTakさんが書いてらっしゃいますね。
単眼鏡による「松方コレクション展」美術鑑賞術| ケンコー・トキナー
これほしい...>
だいぶ前に購入したポストカード。右下の「母と子(フェドー夫人と子どもたち)」が好きだから、本物を間近で見られてうれしかった。ほんとうに美しい人でした。
ついつい買ってしまった、考える人付箋。
そしてこちらも、とっても楽しみにしていたモダン・ウーマン展。
ちょうど一昨年(2017年)に、フィンランドという国ができて、たったの100年だと知ってとても驚いたのだけれど、今回は、19世紀半ばにはもうフィンランド最初の美術学校が設立されていると知って、驚いた。
そこで才能を開花させた女性たちは、パリの、アカデミー・ジュリアンやアカデミー・コラロッシに留学することができて、研鑽を積んだのちに、フィンランドに戻ってからも画家として生きていくことができたと。
翻って、東京美術学校が設立されたのが1887年。男性のみ受け入れ。女性の受け入れがはじまったのはいつだろう。まだ詳しく調べられていないけれど、フィンランドほどには、女性が画業を志せる環境にはなかったのではないかと思う。小倉遊亀さんのことを今ふと思い出すと。
世界の中で見ても、女性の芸術家はいたはずなのに、音楽にせよ、演劇にせよ、文学にせよ、美術にせよ、歴史に名前が残り、作品が残っているのは、圧倒的に男性。
そして現在も不均衡があると言い、それを解消するという意図を、現在開催中の「あいちトリエンナーレ」は組み込んでいるそうだ。
「ジェンダー平等は美術界の国際的潮流になる」。津田大介が語るあいちトリエンナーレ2019のジェンダー平等|MAGAZINE | 美術手帖
なんの疑問も持たずに生きてきたけれど、ここにきて、もう少し詳しく知りたいなと思っている。
何かを糾弾したいのではなくて、どうであったのか、なぜなのかを知りたい。
今を、これからを語るために。つくるために。
モダン・ウーマン展は、好きな絵がいっぱいあって、じっくり時間をかけて観て、うれしくなりながらも、複雑だった。
一昨年同じフロアで開催されていた、「スケーエン デンマークの芸術家村」展のことを思い出して、なんとなく2冊並べて置いてみました。
▼夜間開館の案内はこちらに。夏の夜をお楽しみください♪
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