ひととび〜人と美の表現活動研究室

他者の表現にふれることから、自分の中にある美の感覚にもふれてみる、自分の美を表現してみる。みんなで探究する鑑賞の場づくりを通して考えることなど。

《レポート》9/6 『バグダッド・カフェ』でゆるっと話そう@シネマ・チュプキ・タバタ

シネマ・チュプキ・タバタで月に一度ひらいている「ゆるっと話そう」シリーズ第3回のレポートです。

 

「ゆるっと話そう」は、映画が終わってからの45分間の小さな場。

映画観て帰る前に、
観た人同士、場内でちょこっと話してこ!

という気軽な企画です。

 

第4回は『バグダッド・カフェ <ニュー・ディレクターズ・カット版>』

こんな感じでご案内を出しました。

hitotobi.hatenadiary.jp

 

 

さすが名作!当日は、ほぼ満席近いお客さんの入りでした。

この中でどのぐらいの方が「ゆるっと」に残ってくださるかなぁとドキドキしていたら、なんと半分以上の方が参加してくださいました。ありがたい!

観終わったあとの気分で決めていただきたいのもあって、この時間は予約制にはしていないので、当日その時間になってみて、はじめて人数がわかるという感じなのです。

 

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今回は人数が多めだったので、ひとつの輪にはならず、その席に座ったままで、「この場に来たきっかけ」を一人ひと言ずつ発声していただきました。

そのあと、2人1組で感想を交わし合い、最後にその中で出た話をシェアしてもらいながら、「全体で話す」流れにしました。

 

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わたしのように「バグダッド・カフェが青春の一本である」という人がほとんどだったのだけれど、その中身は、

・わたしが今の仕事をするに至ったきっかけの映画

という方から、

・友人に「この青がいいのよ〜」と勧められて観てみたけれど、何回見ても途中で寝てしまった

・勧められたけれど、余計見たくなくなって、今になってようやく観られた。あのとき観ていたらよかった。

・当時付き合っていた男性が好きだった映画で、若かった自分を思い出す。

・途中で全盲になったので、目で観ていた頃と今とで印象がどう変わっているか知りたい。

...など、ほんとうに様々な背景できょうもお越しいただきました。

 

当時観ていなかった方も、一度はどこかでタイトルを聞いていたり、勧められて検討したりしているという時点で、もう「出会っていた」んだろうなぁと思います。

 

 

この映画は製作が1987年。まだベルリンの壁があった頃。

日本公開が1989年。完全版の公開が1994年。

公開当初から数えれば、30年も経っているんですね。
映画を観ていて、全然古さを感じないところがすごいのですが。

それはもう、一人ひとりの人生にさぞかしいろんなことが起こったでしょうねぇ...。

 

 

シネマ・チュプキ・タバタは日本で唯一のユニバーサル・シアター。

目の見えない方、耳の聴こえない方、小さいお子さん(とお子さんを育て中の方)、車椅子の方...みんなが一緒に映画を楽しめるようにとつくられた映画館です。

この日は視覚障害のある方が3名も参加してくださって、音声ガイドで映画を観ていての感覚や感想を皆さんとシェアできました。

ゆるっとをはじめて4回目ではじめての体験。
見えるー見えないの交換ってすごく楽しいです。

 

 

「わたしが今の仕事をするに至ったきっかけの映画」とおっしゃっていたチュプキ館長の平塚さん。

ご本人からその思いについてスピーチしていただきました。
このお話がとってもよかった...。聞けてよかったです。

 

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今観てみたら、登場人物それぞれの人生がより奥行きを持って見えてきた。
あの頃は見えていなかったもの、こと、思い...。

出てくる人たちはみんな事情がありそうで、それを説明しすぎないのがまたよくて、想像の余地がたくさんあるところがいい。

「どうしてなんだろう?」と想像するのも楽しい。

 

わたしは平塚さんとペアで感想を話したのですが、「一番気になった人物は誰?」と質問され、「サロモ」と答えました。30年前はまったく注目していなかった人物です。

ピアノへの情熱があって、でも何かの事情で子ども(赤ん坊)がいて、世話をしつつ練習。でも誰も聞いていなくて、むしろうるさがられているだけ...。でもそれがたった一人の一瞬の行動によって全然変わってしまう。

そのシーンの美しさが心に沁みました。共感も、すごくある。(変わったなー自分!)

 

「冒頭のシーンで少し音が映像が荒っぽくかったのが、主人公のジャスミンの登場によって、次第に変化していく様子が印象的だった」という感想にもハッとさせられました。

 

若い頃はもしかしたら、感受性は強かったかもしれないけれども、バランスに偏りがあったかも。今は、瑞々しい感受性と解釈的・論理的思考の両方を持ち、寄ったり、俯瞰したりしながら、自分の人生と紐付けながら、作品全体を楽しむことができている。

しかも耳で映画を見る方から、音から見えた情景を教えてもらえるなんて。また、こちらからもどんな造形なのかを見えているからこそ教えられるなんて。

 

ああ、歳を重ねるっていいものですねぇ。

 

 

▼家にあったパンフレット、懐かしくて持ってきました。

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今観られてよかった
観た人と話せてよかった

と、皆さん、いい顔でおかえりでした。

 

もしかしたらこれからも、その時々によって、違うものが見えてくるのかもしれない。

自分の中でずっと残り続ける映画には、そんな力があるように思います。

Calling Youを聴けば、きっとまたすぐにあの場所に戻れる。

 

これからも、感想を話る、表現の楽しさがつながっていきますように。  

ご参加くださった方、ご関心をお寄せくださった方、ありがとうございました!

 

 次回10月の「ゆるっと」は、決まり次第お知らせします。 

 

▼館長の平塚さん、スタッフの宮城さんと

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今回の感想は、友人のくみこさんとポッドキャスト(音声配信)でも話しています。

よろしければこちらも聴いてみてくださいませ!

note.mu

 

 

 

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