Umiのいえでひらく競技かるた体験会も早4回目となりました。
今回は、教えると教わるが混じり合う「持ち寄り」と、季節を歌で感じる「味わい」を大切にしようと、準備をすすめました。
そうしたらなんと、当日の星占いでも同じ言葉が。うれしい!(山羊座です)
山羊座は教えたり教えられたりが活発にできる感じの日。立場を柔軟に変化させていく。水瓶座は「ここまでできている」という手応えを得られる日。わかってきたこと、できること。魚座は誰かから大事なヒントやきっかけをもらえるかも。はっとするような一言。
— 石井ゆかり (@ishiiyukari) September 30, 2019
会のはじまりは、まずわたしから皆さんへの質問から。
「前回からきょうまでに、百人一首やかるたの世界とのつながりを感じた瞬間はありましたか?」
すると、旅行先でたまたま後鳥羽院ゆかりの神社に行き、歌碑を見た。百人一首の99番の人だと知って、親近感がわいた、という方がいらっしゃいました。
人もをし 人もうらめし あぢきなく 世を思ふゆゑに 物思ふ身は
また別の方は、茶道の先生が百人一首の和歌のことも教えてくださる中で、雪平鍋と在原行平の関係を知った、と教えてくださいました。
立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む
行平は在原業平(ちはやぶる)の従兄弟なんですよ、という話に広がりました。
和歌や奈良、平安、鎌倉時代のことと日常がつながっていなかった方も、何回かきてくださる中で、アンテナが立ってきたのかなぁと思い、うれしくなりました。
いい感じに温まったので、前半のレクチャーの時間は秋の歌を紹介し、それを後半の競技かるたで取ってみよう、という流れにしました。
10月に入ったとはいえ、この日は残暑のような汗ばむ気温、厳しい日差し。でも風の感じは秋...というなんだかはっきりしない、おぼつかないような気分。
当時の旧暦の秋は、今でいう7月〜9月ぐらいの時期のことなので、体感としてはぴったりだったのかもしれません。
秋の歌は百人一首の中では一番多くて16首入っています。
この中でもわたしが一番好きな歌を紹介させていただきました。
心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花 凡河内躬恒
言葉の美しさ、押韻の技術、正岡子規の批評、情景ではなく実は恋の歌?など、一人ひとりの感覚や知識、想像などがふくらみました。
競技かるた的には友札もあるよ、とご紹介。
心にも あらでうき世にながらへば 恋しかるべき 夜半の月かな 三条院
こちらは秋の歌ではありませんが、三条院の不遇な人生の、辛さ苦しさに共感するところがあるよね、と大人ならでは鑑賞となりました。
後半は秋の歌16枚と、「心にも」を含む17枚で競技かるたの対戦をしました。
前半のよい雰囲気を引き継いで、一首一首、できるだけ歌の内容や背景なども伝えながら、且つ並べ方などルールの確認、決まり字で取る戦術などもお伝えしながら進めました。
終わる頃にはすっかり秋の涼しさと寂しさ、人恋しさにしみじみする気分になりました。
「大人のかるたを堪能しました」
「次回も鑑賞をメインにしながら、取りたい」
「競技かるたを通して、和歌や百人一首の世界にふれてみようって感じの会じゃないかなぁ」
などのコメントをいただきました。ありがたや〜。
流れを引き継いで、次回は冬の歌を楽しむ競技かるた体験会にしたいと思います。
鑑賞と競技の混ざり合い...大人になったからこそ楽しめる味わい深さ...。
教えるー教わるだけの関係ではなく、持ち寄り、一緒につくる場...。
そうだ、わたしはずっとこういう会をしたかったんだったよーー!と思い出しました。
ということで、
次回は、2020年1月8日(水)14:00-16:00
お正月にかるたって、やっぱりいいですね!ご参加お待ちしています。
▼お申し込みはこちらから
百人一首を味わうためのおすすめの3冊
▲季節感あふれる写真が美しい。歌意、語法、鑑賞のコツ、歌人についてなど、和歌を鑑賞するための解説もとても丁寧です。めくっているだけでいい気分になれます。
「百人一首歌人生没年年表」「百人一首歌人相関図」「百人一首歌枕地図」など、こういうのあったらいいのに!と思っていた図表がカラーで入っていてうれしい。専任読手の芹野惠子さんの朗詠CDもついて、フルカラーで、このお値段もすごいです。
▲フルカラー版を図書館で借りて、とてもよかったのでハンディ版を買いました。歌人一人ひとりに親近感が持てるような解説を、限られた字数の中でしてくれていて、歌よりもまず人から百人一首に興味を持つ方におすすめです。「知るも知らぬも歌人の世界」と題されたコラムコーナーがまたおもしろく、「歌合の真剣勝負」「女性歌人の本名」「女房という職業」など、他の本ではあまり見ない切り口の解説があります。
▲今回部立(歌集の中のカテゴリ)をご紹介したついでに、古今和歌集もおすすめしました。一冊あると、季節によって、気分によって、歌を鑑賞するのも楽しいです。百人一首で知った歌人の、他の歌を読むのもおすすめ。
紀貫之による「仮名序」もしみじみと味わい深いです。
競技かるたをはじめる人へのおすすめ本
▲競技かるたの本はいろいろ出ていますが、未経験者や初心者、初級者向けにはまずこれ一冊がよいと思います。ルールや、決まり字の仕組み、試合の流れ、定位置など基本的なことが抑えられます。
Information
百人一首と競技かるたの出張開催、承ります。
●概要:千年の時を経て、文学、文化、芸術、スポーツなど様々なジャンルにわたって発展してきた百人一首。競技かるたを通して、その奥深さにふれてみる、競技かるた未経験者向けの体験講座です。
●内容:百人一首の成立〜競技かるたに発展していくまでの歴史や文化的背景を知り、和歌を鑑賞します。後半は競技かるたの公式ルールにのっとって、実際に取る体験をします。
●講師:舟之川聖子
●講師料:
3.5万円〜+交通費別途。
(講座時間:〜2時間, 参加者:4名〜, 事前打ち合わせ:〜1時間。●実績:
杉並区 【男女平等推進センター講座】マンガから学ぶ「女性の働き方と両立支援」 (実施者:こどもコワーキングbabyCo)
http://hitotobi.hatenadiary.jp/entry/2018/10/08/152323
中央区 女性センター「ブーケ21」講座 「ようこそ!百人一首と競技かるたの世界へ」
http://hitotobi.hatenadiary.jp/entry/2018/03/27/175736
はじめての競技かるた@アカシデカフェ
http://hitotobi.hatenadiary.jp/entry/2018/06/18/152850●お問い合わせ●
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