ひととび〜人と美の表現活動研究室

他者の表現にふれることから、自分の中にある美の感覚にもふれてみる、自分の美を表現してみる。みんなで探究する鑑賞の場づくりを通して考えることなど。

映画『アナと雪の女王2』鑑賞メモ

映画『アナと雪の女王2』を観てきた。

事前になんの前宣伝も見ず、前知識もなく、後でレビューも読まずの状態なので、ほんとうにただのメモです。

※映画の内容に詳しく触れています。未見で影響されたくない人はご注意ください。

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・少し前に映画『ディリリとパリの時間旅行』の2回目を観て、鑑賞対話の会で語り、アニメーション映画とは、何がリアリティの感覚を呼ぶか、など考えてからこれを観た。ディズニーの映像表現は年々「過激」になっていっていて、ややついていけなさを感じている。あくまで好みの問題だが、スペクタクル、体感を伴う「リアリティ」を追求したもので、映画というよりもアトラクション。チームラボに近い。きれいさに目や身体は驚いているけれども、心はあまり動かない感じ。

・展開が早くてたくさんの要素が詰め込まれていて隙間がないので、常に緊張状態にあって疲労困憊。グリーフさえも素早くあっという間に回収される。詩的な余白がないと物語が組み立てられない。主人公たちは「あ、そういうことだったんだ!」とわかっているようだけれど、観客がわかるようにつないでくれる存在が、いるようでいない。説明している人がいるけれど、必要なのは「説明」ではなく。。うーん、なんだろう。。

・キャラクターに爪が生えていて、なぜかぎょっとした。手の平側から見たときに1mmほど爪が伸びている感じに。

・オラフが途中でアイ(間狂言)のような役回りをするところがあったのが興味深かった。エルサが不思議な声に導かれて、冒険の旅に出ることを決めて、霧の中の森に飛び込んでいくところまでが、能で言えば「前場」。

・霧の中で30年も同じ戦いを繰り広げていた2つの種族。閉じ込められて、600年同じ演目を続けてきた能の中の登場人物たちを彷彿とさせる。そこにワキとして通りかかるエルサと「ツレ」。

GAFAの動きを考えると、多国籍巨大企業が何の意図もなく発信しているとは思えず、これは何の象徴であるのか、ということを考えながら見ることになる。

・物語層と歴史層と象徴層。

・過去に入り込むトラウマリリースセラピーの手法?それでも解決法は武力、圧倒的な力。。トラウマの元を力で破壊して無くする。荒療治も多い。映像と音楽によるアメリカ的サイコマジックとも言えるか。

・一人の圧倒的な魔法の力を持った将軍と、それを支える勇敢な武勇兵たちの構造。

・アナの苦手なところをあえて際立たせる。人の話を聴かない、最後まで聴かずに、かぶせてくる、慌ただしい、落ち着きがない、先回りして突っかかってくる、責める・非難する。

・映画『サーミの血』を観てから観たらまたちょっと受け取るものが違ったかもしれない。

ネイティブアメリカンと入植者の関係、奴隷・移民・難民で構成されアイデンティティが揺れ続けるアメリカ。アメリカの脅威となる「アート・ハラン」「ノーサルドラ」「ダーク・シー」とは。今、アメリカの未来が見えない感じ?なぜ今これが作られ、世界中で見せられているか。

・今の自分を認める、自分には力があることを受け入れる、内なる呼び声に耳を傾ける、ルーツを知る、みんなとは違う自分の生を生きる覚悟を決める。自分にしかわからない特別さ。才能、能力、霊性。自己一致して生きていると、見た目(姿形やファッションや放つ雰囲気)も変化していく。アナとの統合後のエルサにとって、再分離し自立する更なる解放の物語。

・あえてこの時代に「男子VS女子」を持ち出したアナ。なぜ?

・『フィフス・エレメント』『天空の城ラピュタ』『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』へのオマージュが感じられる。

地震津波、台風、洪水、竜巻、山林火災など、自然災害とその甚大な被害を思い起こさせられて辛かった。

・ミュージカル部分が多かった。ディズニーの開発したミュージカル映画というお家芸と最新のCG技術、音響で見せつける。

・出てくる人物皆それぞれにどこか生きづらそう。本作の「キレやすさ」「衝動性」は何なんだろう。記憶を取り戻そうとするときに痛みが発生することのモデル?

・オラフのセリフに込められているメッセージ・意図は何か。賢人というより何か。。
「大人になったら 大人になったらぼくは、ほんとうにすてきな大人になるんだ」
「先端技術は救世主」
「水は記憶を持つ。4人の人間または動物の中を通ってきた」

・回転するもの、明滅するものが多くて酔う。目を閉じて突っぷすシーンが多々あり辛かった。人間がこういう映像体験に歓喜し、のめり込んでいく傾向というのは、何の表れなんだろうか。自分では身体を動かさずに、安全に疑似体験することで何を得ようとしているのか、何を欲しているのか。

・「魔法ではなく、森の恵みを受けて暮らす」とは?

・「なぜ子守唄にはいつも脅すようなことが入っているの?」確かに。

・「真実をみつけて、国・故郷(くに)に帰るのよ」、現実で生きることを忘れない。

・年末にドラマ「逃げ恥」を見ていて、妄想でそのシーンや役柄に自分を置いて話したり動いたりする、演劇的手法によって自分を客観視したり、衝撃を和らげたり、次の手を見出そうとするのはあり。ミュージカルにはそういう効果がありそう。位相を変えて感情を味わう。

・「過去を形にして見せる」どこまでも具体的なアプローチ。具体的な表現。グリーフも直截的。

・「二人でやっていきましょう」現実的なやり方で再統合する。分離しながら分担して発揮する。意識と無意識。表層と深層。存在を認めたというところが画期的?

・訪ねた先に源の母へつながる、の意味。

・「やあ、ぼくオラフ。ぎゅーってだきしめて」。ディリリの「ほうよう(抱擁)って?」とまったく違う。

・恐れの気持ちを信じちゃだめよ。行きすぎると溺れる。闇の力に引っ張られる。引っ張られすぎないようにする。サイコセラピーの注意点。

・「ダムは平和の贈り物」「相手は武器を持っていないのに」「正しいことをしない限り国は守れない」、、体制批判のようで、、どうなんだろう。

・橋をかける魔法がなくても、飛べる体力と運動神経があるアナ。今回は「アナと雪の女王」の、アナの物語?

・クリストフ「どうしたらいい?」、アナ「ダムに連れて行って」、クリストフ「よしわかった」。。このやりとり!クリストフは自分が手柄をとる野心も、引け目も持たない。結婚するが城には入らない。王ではない。イエには入らない。新しい時代の結婚。今後の後継問題はどうなるか。

・国の礎に巣作っている「悪い物語」を破壊し、囚われている人を解放し、世界を癒す。ディズニーにしか描けない。

・エルサの二拠点生活。エルサは行き来ができる。アナはアレンデール(現実・表層)にのみ暮らせる。エルサは精霊だから従来の「結婚」はない。新しいパートナーシップ、新しいロイヤルファミリーの提案とも見えるし、分家して入植する植民地支配とも見える。

・文明と「非文明」の分断は真に解消されたか?

 

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とりあえずこんな感じのことが出た。

他の人のレビューを読めばまた展開しそうな気はする。