ひととび 〜人と美の表現活動研究室

観ることの記録。作品が社会に与える影響、観ることが個人の人生に与える影響について考えています。

奈良・平安・令和〜平安宮廷スポーツスタジアム

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東京国際フォーラムのロビーで何やらすごい展示をやっている、平安時代の装束が見られて、写真撮り放題、ぜったい行くべし!

...という投稿を目にしてすぐに行ってきた。

 

J-CULTURE FESTという、東京国際フォーラムが主催するイベントの一環。

j-cf.jp


企画協力:井筒企画、制作:NHKアート、企画制作:NHKエンタープライズ

 

展示は3つのコーナーにわかれている。

 

平安宮廷スポーツスタジアム

東京オリンピックとの関連でメインのコーナー。

最も広いスペースを使って、蹴鞠(けまり)、騎射(うまゆみ)、打毬(だきゅう)を紹介している。

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相撲節会

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相撲や騎射など、左右に別れて行う競技において演奏された舞曲「蘭陵王(らんりょうおう)」と「納蘇利(なそり」のジオラマや装束も展示されている。今年はついに雅楽の「陵王」の舞を聴きに(観に?)行くことになったので、どういうシーンで使われていたのかを予習できてよかった。

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どうして平安なのかというと、令和に改元もあったし、受け継がれてきた独自の儀礼や装束にも関心が高くなってるからね、ということだと思う。

令和の初春 梅花の宴

飛鳥・奈良の時代の装束。素朴で美しく、風通しよくおおらか。
万葉集の「梅花の歌三十二首幷せて序」の解説も展示されている。
この時代は花といえば梅。

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御大礼の儀式と装束

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わたしは民族衣装や装束を見るのが大好き。
さらに平安文化は競技かるたにふれていると身近なものなので、とにかく驚喜しながら観ていた。中でも個人的に萌えポイントだったのが、源氏物語の場面を再現している騎射(蛍)と蹴鞠(若菜上)の展示。

 

36歳太政大臣となった光源氏。養女にした玉鬘に執心したかと思うと、異母兄の蛍兵部卿宮とくっつけさせようと仕掛けたり、翻弄させる。正妻だった葵の上との子・夕霧は幼馴染の雲居の雁のことが忘れられないが、父の内大臣の許しが得られず悩む。そんな時期に六條院でひらかれた騎射。光源氏の余裕が見える。

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若菜上

蹴鞠に興じている公達を眺める源氏、その隣で柏木が女三宮を見てしまう場面。源氏は41歳、臣籍降下したにも関わらず、不義の子・冷泉帝のはからいによって准太上天皇まで上り詰めたばかりで、人生で最高に充実した時期にあった。

本来やんごとなき立場の女性は、御簾の際に寄って姿を見られるようなことがあってはならない。しかしそのあたりの自覚がなく迂闊な女三宮は、飼っている猫がじゃれついて御簾があおられ、姿を見られてしまう。装束によってそれが女三宮であることがわかってしまうというところも解説されているのが心憎い。

夕霧の肩ごしに見えたものに息を呑む柏木の微妙な感情が伝わってくる。光源氏凋落の予感。運命の瞬間。世代を超える連鎖。

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いやぁ、いいですねぇ〜!!!!

ここでオタク得意の妄想力を発揮すると、まるでその場面に居合わせたかのような緊張感が走ってたまらない!!オタクでよかった...。

 

 

写真やテキスト、博物館で展示される宝物、絵画や絵本や漫画やアニメーションやゲームや映画...さまざまな出会いのツールがある中で、「この時代ってほんとうはどんな感じだったんだろう」を知る、確認するのに、この再現ジオラマというのもまたあらためて素晴らしい工夫だと思った。

 

ほぼ全方位からまわりこんで見られるのが最高。

自分の身体ごとそこにダイブする感覚。

 

色や文様や形。素材や比率まで丁寧に再現されている。

 妻戸ってこういうふうについてるのか、

 この服で座るときって裾はこういうふうにさばいて、こういう姿勢をとるのか、

 男性と女性の居る場所の距離感てこのぐらいなのか...とか。

ほんものを見た、という感じがする。

 

こういう体験もまた、今後の鑑賞や競技の中で生きてくることだろう。

 

これはほんとうに見られてよかった!

喜びをおすそ分けしてくれた方々に感謝!!

 

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格子と御簾と几帳と屏風の世界...。とにかく寒そう

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武官束帯、スキ...。

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