ひととび 〜人と美の表現活動研究室

観ることの記録。作品が社会に与える影響、観ることが個人の人生に与える影響について考えています。

ハイジュエリーを鑑賞するとは・2

先日、カルティエ展に行こうと思っている、という話を書きました。

hitotobi.hatenadiary.jp

 

そこで思い出したのが、ハイジュエリーの記事を書いていたことのある、ライターの友人。

さっそく、
「ハイジュエリーって、何を楽しみポイントに鑑賞したらいいの?」
と聞いてみました。

 

・身につけるものとしては作られているけれども、美術館に展示されるようなものは、販売目的ではなく、ただただ技術の粋を見せるため。ブランドの意地とプライドがある。

・このカラットが、カットが、爪が、デザインが、この温度の違う二つの材質のものを隣に持ってくる...!などなど、そういう語りつくせない技術の塊。

・ブルガリカルティエといえば、歴史の中でどのような役割を担ってきたのかを事前に予習しながら観るとおもしろいのでは。

 

...とのことで、こちらの本を貸してくれました。


この本は、1: ジュエリーの素材 2: デザイン様式の変遷  3: 製造と流通
の章立てになっていて、まさに知りたかった歴史のことが書いてあります。

人間とジュエリーの歴史、と言ってもよい。

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V&Aは30年も前に行って、宝飾品コーナーも確か見たけれど、「すごーい(棒読み)」...ただ見たというだけ。この歳になって見てみると、人間ってなんかすごいことをするなぁ、ほんとうに。 

もうちょっと予習します!!

 

 

ちなみに、2014年に国立西洋美術館で開催されていた展覧会「橋本コレクション 指輪 神々の時代から現代まで ― 時を超える輝き」の図録も見せてもらったのだけど、こ、こここ、これも大変おもしろい! 

指輪はかつて権力の象徴。男性のみが身につけるもの。ハンコだったり、ケースだったり、万華鏡だったり、いろんな指輪がある。

西洋美術館の常設展には橋下コレクションがいつも数点展示されていて、時間がないときも、あそこだけはついじっくり見ちゃうコーナーなのです。

 

そうかーー5年前にこんな展覧会やってたのかーー
またやってほしいな...。

この図録ほしいな...。

 

 

カルティエ展、ますます楽しみです。


2019年10月2日(水)~12月16日(月)国立新美術館

カルティエ、時の結晶|企画展|展覧会|国立新美術館 THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO

 

 

 

Information

募集中のイベント

▼2019年10月18日(金) 映画『教誨師』でゆるっと話そう
http://hitotobi.hatenadiary.jp/entry/2019/10/02/110618 (田端)
▼2019年11月23日(土•祝
) あのころの《いじめ》と《わたし》に会いに行く読書会
https://coubic.com/uminoie/979560 (横浜)

▼2020年1月8日(水) 爽やかな集中感 競技かるた体験会
https://coubic.com/uminoie/174356 (横浜)

 

鑑賞会のファシリテーションいたします。
映画、展覧会、書籍、舞台芸術など、鑑賞対話の場づくり

f:id:hitotobi:20191004085217j:plain

・<法人><団体>教育普及、広報宣伝などを担当者様向け。
・鑑賞者同士で話す場、または専門家と非専門家が知を交換する場。
・お互いを尊重し、補完する対等性のある場。知の交流と学びの楽しさを集う人一人ひとりが感じる場です。
・作品選定、企画、設計、ファシリテーション、集客サポート、レポートを担当します。
・参加者5名から100名程度まで。

お問い合わせはこちら


場づくりコンサルティング・個人セッション
自分で会をひらきたい方、ご相談ください。
・<個人><グループ>
・読書会、勉強会、体験ツアーなどのイベントや講座。
・好きなもの・ことを共有する・考える・創る機会づくり
・企画・設計・進行・宣伝のご相談のります。
・募集文の添削やフィードバック、ふりかえりの壁打ち相手にもどうぞ

・Zoom または 東京都内で対面
・30分¥5,400、60分 ¥10,800(税込)
お問い合わせはこちら

 

 

 

 

あのころの"いじめ"と"わたし"に会いにいく読書会、ひらきました

9月28日、Umiのいえでいじめがテーマの読書会をひらきました。

題して、「あのころの"いじめ"と"わたし"に会いにいく読書会」

 
女将の麻紀子さんとわたしがどんな思いでひらくのか。
事前に語ったビデオがありますので、よろしければご覧ください。

 

youtu.be

 

これまで生きること・死ぬこと・性のことにまつわる様々なテーマの講座やイベントをひらいてきたUmiのいえで、実は「いじめ」は扱ったことがなかったそうです。

 

自分のいじめにまつわる「体験を語る会」は、Umiのいえであれば、おそらく難なくひらくことはできる。

でも、今回はあえて読書会という手法で、一旦物語を経由することで、自分の過去と出会うことをやってみたい。

いじめられていた人
いじめた人
いじめを見て楽しんでいた人
いじめを傍観していた人

どんな立場にいた人も、あの頃の自分のいた場所が感じられるような物語はないだろうか。

そんなことを念頭に、1ヵ月かけて選書しました。

 

 

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選んだのは、こちらのアンソロジーの中の短編集「かかしの旅」(稲葉真弓

 

5パートに別れている物語を、それぞれ1〜2人ずつ分担。
その場で15分ほどかけて読んでもらいました。

その後、読んだパートに書いてあった内容をシェアしてもらう読み合わせをし、一人ひとりの登場人物の像を少しずつ立ち上げて、物語を追っていきました。

 

*Umiのいえのレポート

9/28 「あのころの《いじめ》と《わたし》に会いにいく読書会」開催。 | NPO法人Umiのいえ

 

*参加者さんの感想

あのころの「いじめ」と「わたし」に会いにいく読書会@Umiのいえに参加しました - アカルイツキ

 

*わたしの感想

選んだパートにもよりますが、一人ひとり、注目する登場人物も、シーンも違い、見えている世界が違うので、一人で読んでときとは違って、具体的に人間が動いている感じがしました。読書会ならではの体験です。

「いじめ」という状況が発生するまでの小さなきっかけの連続のこと、関わる人たちの範囲の広さ、その関係性が生まれるに至った構造...。

それらの複雑な物語をまっすぐに貫いていく主人公の少年の眼差しや、「聞く耳」のことが強く心に残りました。

あのときわたしができていたこと(勇敢だった)
残念ながらできなかったこと(それを今嘆く)
今の大人のわたしとしてあの現場にいたら何をするか...終わってからいろいろなことを考えています。

皆さんにも、時間の中ではめいっぱい物語の世界を旅し、感情を動かし味わっていただけていたらいいな。終わってから、内省や旅がはじまっている方もいるかもしれません。

ご参加くださった方、ご関心をお寄せくださった方、ありがとうございました! 

 

 

*追加でご紹介した関連書籍

 

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第2回も決まりました。同じ作品でもう一度やります。

11/23(土・祝)10:00-12:30です。ご参加お待ちしております。

▼お申し込みはこちらから

coubic.com


 


Information

読書会のファシリテーションいたします。
鑑賞対話ファシリテーターによる場づくりです。

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・<法人><団体>教育普及、広報宣伝などを担当者様向け。
・映画、展覧会、書籍、舞台芸術など、鑑賞対話の場づくりのご依頼をお待ちしております。
・鑑賞者同士で話す場、または専門家と非専門家が知を交換する場。
・お互いを尊重し、補完する対等性のある場。知の交流と学びの楽しさを集う人一人ひとりが感じる場です。
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募集中のイベント

▼2019年10月18日(金) 映画『教誨師』でゆるっと話そう
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▼2019年11月23日(土•祝
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▼2020年1月8日(水) 爽やかな集中感 競技かるた体験会
https://coubic.com/uminoie/174356 (横浜)

 

 

秋の競技かるた体験会、ひらきました

Umiのいえでひらく競技かるた体験会も早4回目となりました。

 

今回は、教えると教わるが混じり合う「持ち寄り」と、季節を歌で感じる「味わい」を大切にしようと、準備をすすめました。

 

そうしたらなんと、当日の星占いでも同じ言葉が。うれしい!(山羊座です)

 

 

会のはじまりは、まずわたしから皆さんへの質問から。

「前回からきょうまでに、百人一首やかるたの世界とのつながりを感じた瞬間はありましたか?」

 

すると、旅行先でたまたま後鳥羽院ゆかりの神社に行き、歌碑を見た。百人一首の99番の人だと知って、親近感がわいた、という方がいらっしゃいました。

  人もをし 人もうらめし あぢきなく 世を思ふゆゑに 物思ふ身は

そこから、後鳥羽院藤原定家の関係の話になりました。

 

また別の方は、茶道の先生が百人一首の和歌のことも教えてくださる中で、雪平鍋と在原行平の関係を知った、と教えてくださいました。

  立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む

行平は在原業平(ちはやぶる)の従兄弟なんですよ、という話に広がりました。

 

和歌や奈良、平安、鎌倉時代のことと日常がつながっていなかった方も、何回かきてくださる中で、アンテナが立ってきたのかなぁと思い、うれしくなりました。

 

いい感じに温まったので、前半のレクチャーの時間は秋の歌を紹介し、それを後半の競技かるたで取ってみよう、という流れにしました。

 

 

10月に入ったとはいえ、この日は残暑のような汗ばむ気温、厳しい日差し。でも風の感じは秋...というなんだかはっきりしない、おぼつかないような気分。

当時の旧暦の秋は、今でいう7月〜9月ぐらいの時期のことなので、体感としてはぴったりだったのかもしれません。

 

秋の歌は百人一首の中では一番多くて16首入っています。

この中でもわたしが一番好きな歌を紹介させていただきました。

 

  心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花  凡河内躬恒

 

言葉の美しさ、押韻の技術、正岡子規の批評、情景ではなく実は恋の歌?など、一人ひとりの感覚や知識、想像などがふくらみました。

 

競技かるた的には友札もあるよ、とご紹介。

 心にも あらでうき世にながらへば 恋しかるべき 夜半の月かな 三条院

こちらは秋の歌ではありませんが、三条院の不遇な人生の、辛さ苦しさに共感するところがあるよね、と大人ならでは鑑賞となりました。

 

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後半は秋の歌16枚と、「心にも」を含む17枚で競技かるたの対戦をしました。

前半のよい雰囲気を引き継いで、一首一首、できるだけ歌の内容や背景なども伝えながら、且つ並べ方などルールの確認、決まり字で取る戦術などもお伝えしながら進めました。

 

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終わる頃にはすっかり秋の涼しさと寂しさ、人恋しさにしみじみする気分になりました。

 

「大人のかるたを堪能しました」

「次回も鑑賞をメインにしながら、取りたい」

「競技かるたを通して、和歌や百人一首の世界にふれてみようって感じの会じゃないかなぁ」

などのコメントをいただきました。ありがたや〜。

流れを引き継いで、次回は冬の歌を楽しむ競技かるた体験会にしたいと思います。

 

鑑賞と競技の混ざり合い...大人になったからこそ楽しめる味わい深さ...。

教えるー教わるだけの関係ではなく、持ち寄り、一緒につくる場...。

そうだ、わたしはずっとこういう会をしたかったんだったよーー!と思い出しました。

 

ということで、

次回は、2020年1月8日(水)14:00-16:00

お正月にかるたって、やっぱりいいですね!ご参加お待ちしています。

▼お申し込みはこちらから

coubic.com

 

 

百人一首を味わうためのおすすめの3冊 

▲季節感あふれる写真が美しい。歌意、語法、鑑賞のコツ、歌人についてなど、和歌を鑑賞するための解説もとても丁寧です。めくっているだけでいい気分になれます。

百人一首歌人生没年年表」「百人一首歌人相関図」「百人一首歌枕地図」など、こういうのあったらいいのに!と思っていた図表がカラーで入っていてうれしい。専任読手の芹野惠子さんの朗詠CDもついて、フルカラーで、このお値段もすごいです。

 

▲フルカラー版を図書館で借りて、とてもよかったのでハンディ版を買いました。歌人一人ひとりに親近感が持てるような解説を、限られた字数の中でしてくれていて、歌よりもまず人から百人一首に興味を持つ方におすすめです。「知るも知らぬも歌人の世界」と題されたコラムコーナーがまたおもしろく、「歌合の真剣勝負」「女性歌人の本名」「女房という職業」など、他の本ではあまり見ない切り口の解説があります。

 

 

▲今回部立(歌集の中のカテゴリ)をご紹介したついでに、古今和歌集もおすすめしました。一冊あると、季節によって、気分によって、歌を鑑賞するのも楽しいです。百人一首で知った歌人の、他の歌を読むのもおすすめ。

紀貫之による「仮名序」もしみじみと味わい深いです。

 

 

競技かるたをはじめる人へのおすすめ本

▲競技かるたの本はいろいろ出ていますが、未経験者や初心者、初級者向けにはまずこれ一冊がよいと思います。ルールや、決まり字の仕組み、試合の流れ、定位置など基本的なことが抑えられます。 

 

 

 

Information

百人一首と競技かるたの出張開催、承ります。

●概要:千年の時を経て、文学、文化、芸術、スポーツなど様々なジャンルにわたって発展してきた百人一首。競技かるたを通して、その奥深さにふれてみる、競技かるた未経験者向けの体験講座です。

●内容百人一首の成立〜競技かるたに発展していくまでの歴史や文化的背景を知り、和歌を鑑賞します。後半は競技かるたの公式ルールにのっとって、実際に取る体験をします。

●講師:舟之川聖子

"競技かるたの聖地"滋賀県大津市の出身。子どもの頃から家庭や学校で百人一首に親しむ。2012年に漫画「ちはやふる」を読み、百人一首を好きだった気持ちを思い出す。友人と「かるたCafe」というコミュニティを立ち上げ、2017年まで活動した後、かるた会に入会。競技かるたに本格的に取り組む。現在はC級初段。

●講師料
3.5万円〜+交通費別途。
(講座時間:〜2時間, 参加者:4名〜, 事前打ち合わせ:〜1時間。

●実績

杉並区 【男女平等推進センター講座】マンガから学ぶ「女性の働き方と両立支援」 (実施者:こどもコワーキングbabyCo)

http://hitotobi.hatenadiary.jp/entry/2018/10/08/152323

中央区 女性センター「ブーケ21」講座 「ようこそ!百人一首と競技かるたの世界へ」

http://hitotobi.hatenadiary.jp/entry/2018/03/27/175736

はじめての競技かるた@アカシデカフェ
http://hitotobi.hatenadiary.jp/entry/2018/06/18/152850

●お問い合わせ●
https://ssl.form-mailer.jp/fms/97f33a63303170

 

 

ビクトル・エリセを再訪する

一昨年ぐらいから、牯嶺街少年殺人事件、ミチバチのささやき、エル・スール、スペシャリスト、乱......などなど、個人的に懐かしく思い出深い映画のデジタルリマスター化、リバイバル上映が続いていた。

どれも劇場に足を運べなかったけれども、気になってはいた。

 

そして今年の6月。

早稲田松竹で、ビクトル・エリセの「ミツバチのささやき」と「エル・スール」の二本立ての上映があって、どうしても観たかったのだけれど、これもまた逃した。

家のテレビモニターは極小なのだけれど、それでもやっぱり今観ておきたいと思い、DVDを借りた。

 

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まず観たのは「エル・スール」。EL SUR

 

youtu.be

 

...驚いた。

 

一枚一枚のカットが、息を呑むほど、目が痛くなるぐらい美しい。

一音一音に響く余韻。

光と影。これはフェルメールか、ジョルジュ・ラ・トゥールか...という。

前回に観たのは、高校生か大学生の頃だったと思う。

静かで声が小さくて、途中で寝てしまったりしたかもしれない。

登場人物たちに大きな影響を与えているスペイン内戦のことも、ようやく理解した。親子や夫婦の関係のことも、人生に起こり得るあれこれ。

ああ、今この年齢になって、ようやく理解した。
当時は人生経験が浅すぎて全然わかっていなかったのだ。

けれども、当時観ておいたからこそ、確かに残っている手触りのおかげで、再び出会うことができた。

 

 

 

次に、「ミツバチのささやき」を観た。El espíritu de la colmena(蜂の巣箱の精霊)

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youtu.be

「エル・スール」よりも印象深く残っていた。蜂の巣のような六角形のガラスから差し込む金色の光。アンドリュー・ワイエスの絵画のような、スペインの寒村(寒村という言葉がぴったりだ)。光の加減はいつも不思議で、時間帯も季節もはっきりとはわからない。音の効果もより感じられる。すべてが絶妙な計算の上で総合的に組み合わさった作品になっている。ふと、同時期に観ていたタルコフスキーの映画も観たくなった。

わたしは映画の中で手紙を綴り、読み上げるシーンがものすごく好きなので、この映画の冒頭のことは特によく覚えていた。(エル・スールにも手紙のシーンが出てくる)

内戦により引き裂かれてしまった人の、終わりのない苦しみと悲しみが胸に刺さる。

そう、わたしは今は、主人公の子どもの目線ではなく、子どもが眼差しを向けていた大人の方に寄って、これらの物語を観ているのだ。

 

あの頃からずいぶん変わったな。

美しいものを、ただただ観続けることの耐性がついている。

読書や美術鑑賞や文楽や能やオペラやバレエ......鑑賞をひたすらやってきたおかげで、抽象的で、意味を自分で探る、味わうのに時間がかかる作品を観る喜びがある。

長さや静けさを困難と感じなくなっている。

 

これはスペインに対する鎮魂の祈りなのだろうか。

時代の悲しみ、嘆き、悼み。

あるいは、わたしたち全員への。

 

 

 

 

続いて、「ポルトガル、ここに誕生す〜ギマランイス歴史地区」Centro Histórico

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youtu.be


4人の巨匠による、ポルトガル発祥の地、ギマランイスを舞台にした4作のオムニバス。

どの作品も珠玉。

なんという豪華な企画なんだろう。

この映画が公開されていたことも知らなかった。劇場でゆったりと観たかったな。

 

ビクトル・エリセの作品は、1845年〜2002年にあった、リオ・ヴィゼラ紡績工場で働いていた元工員たちへのドキュメンタリーの仕立てになっている。

一人ひとりの語りに聴き入っていると、様々な感情が入り乱れる。

それをまた、静かに優しく悼むように、美しい音楽が包む。

 

観てからゆっくりと思い出してきたのだけれど、わたしはギマランイスに行ったことがあった。ちょうど20年前。まだ学生の頃に。

若い感性で、知らない土地を訪ね歩いた記憶が、立ち上がってくる。

人間の記憶というのは、年月が経っても決して色褪せることがない、ということを20代のわたしはまだぼんやりとしか知らなかった。40年以上生きてきて、先人たちの言うことはほんとうだったのだと、ようやく体感している。

元工員たちが、まるでその当時の場所に帰るような目をして、思い出を語る様に、わたし自身の体験も重なっていく。

 

 

「生きているうちに、できるだけたくさんの作品を鑑賞したい!!」と思っていた時期もあったけれど、一つの作品を二度、三度と観ることの喜びを知る年齢になってきた。

あの頃よりも引き出しが増え、感性も豊かになった自分として、今もう一度会いに行くのもまたよいものだ。

 

 

大切な作品は、ずっと大切にしたいから、

何度も観て、感想を語り合って、

みんなの宝を遺していきたい。



 

今後のイベント

2019年11月23日(土•祝) 
あのころの《いじめ》と《わたし》に会いに行く読書会

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鑑賞対話の場づくりコーディネーション・ファシリテーション

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『場づくりを成功させるための5つの鍵』(寺子屋学)https://terakoyagaku.net/group/bazukuri/

 

お知らせ:ゆるっと話そうシリーズ第5回・映画『教誨師』

ゆるっと話そうシリーズ第5回『教誨師
10月18日(金)12:05〜12:50 @シネマ・チュプキ・タバタ

 

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「ゆるっと話そう」は、映画を観た人同士が感想を交わし合う、45分のアフタートークタイムです。

映画を観終わって、 誰かとむしょうに感想を話したくなっちゃったこと、ありませんか?印象に残ったシーンや登場人物、ストーリー展開から感じたことや考えたこと、思い出したこと。他の人はどんな感想を持ったのかも、聞いてみたい。

はじめて会う人同士でも気楽に話せるよう、ファシリテーターが進行します。

_______________

 


第5回は、『教誨師』をピックアップします。

教誨師」とは......受刑者に対して道徳心の育成、ココロの救済につとめ、彼らが改心できるよう導く人。わが国ではおもに諸宗教の聖職者がボランティアでその任にあたる。(映画の公式HPより)


意味を知って、内容を知って、一瞬怯んでしまいそうな、胸がざわざわする映画かもしれません。

それは「知らないから」かもしれませんし、
生、死、罪、罰といった大きく重いテーマが、とても一人では扱いきれないように思えるからかもしれません。
そんな映画こそ、共に語る場で言葉にしましょう。
己の怖れや揺らぎを柔らかく見つめてみたら、あたたかな愛や希望が見えてきて、きっと持ち帰れるサイズになります。

当日は、死刑廃止派か存置派かの、ご自身の信条を明らかにしなくても大丈夫です。「ゆるっと話そう」は映画の感想を語り、映画から何を受け取ったのか、聴き合うことを大切に進めます。また、冒頭にファシリテーターから日本の死刑制度や現状を短く共有してから対話をはじめますので、「知らないので話す自信がない」という方もどうぞご安心ください。

チュプキの10月のテーマは《万華鏡》。
くるりと回せばまったく違って見える世界。
人によって、立場によって、背景によって違う景色を見せ合う対話の場も、まるで万華鏡のようです。

本作は、昨年急逝した俳優・大杉漣の遺作であり、最初で最後のプロデュース作でもあります。
彼自身の生き様を感じつつ、ぜひ皆さんと語り合いたいと思います。


日 時:2019年10月18日(金)12:05(終映後)〜12:50

参加費:無料

予 約:不要(鑑賞席はチュプキの予約サイトへ

対 象:映画『教誨師』を観た方。別日に観た方もぜひ!観ていなくても内容を知るのがOKな方は参加歓迎!

会 場シネマ・チュプキ・タバタ 2F



過去の「ゆるっと話そう」レポート
第4回「バグダッド・カフェ ニューディレクターズカット版」
第3回「人生フルーツ」
第2回「勝手にふるえてろ」
第1回「沈没家族」

進行:舟之川聖子(鑑賞対話ファシリテーター
twitter: https://twitter.com/seikofunanok
blog: http://hitotobi.hatenadiary.jp
note: https://note.mu/hitotobi

 

_______________

 

 

Information
鑑賞対話ファシリテーターにご相談ください。

企業や団体で教育普及、広報宣伝などを担当されている方向け。
映画、展覧会、書籍、舞台芸術など、鑑賞対話の場づくりのご依頼をお待ちしております。
鑑賞者同士で話す場、専門家と非専門家が知を交換する場。お互いを尊重し、補完する対等性のある場。知の交流と学びの楽しさを集う人一人ひとりが感じる場です。
企画・設計・ファシリテーション・集客サポート・レポートを担当します。
参加者5名から100名程度まで。

お問い合わせはこちらへお願いいたします。

 

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今後のイベント

2019年11月23日(土•祝) 
あのころの《いじめ》と《わたし》に会いに行く読書会

https://coubic.com/uminoie/979560 

2020年1月8日(水) 
爽やかな集中感 競技かるた体験会 
https://coubic.com/uminoie/174356 


 

鑑賞対話の場づくりコーディネーション・ファシリテーション

・<法人><団体>教育普及、広報宣伝などを担当されている方向け。
・映画、展覧会、書籍、舞台芸術など、鑑賞対話の場づくりのご依頼をお待ちしております。
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連載
『場づくりを成功させるための5つの鍵』(寺子屋学)https://terakoyagaku.net/group/bazukuri/

募集中!第4回 爽やかな集中感〜競技かるた体験会

\\募集中です//

10月1日(火)14:00〜16:00
第4回 爽やかな集中感〜競技かるた体験会
Umiのいえ(横浜)にて

coubic.com



競技かるた、一度やってみませんか?
未経験の方向けに、徹底的にわかりやすくしています。

・五七五七七の和歌
・歌集としての百人一首
・カードゲームとしての変遷
・遊びと公式ルールの競技の違い
・競技かるたでしか体感できない頭と体の連携

を解説と実戦、ふりかえりで体験していただきます。

知らないことに集中して、全身を使って取り組みますので
参加する前と後で、自分の立っている座標が動きます。
普段、いかに「自分の一部だけ」を使っていたかを実感します。

競技かるたを好きにならなくていいです。
1回だけの参加でいいです。

今まで知っているようで知らなかった世界に足を踏み入れ、エッセンシャルな部分を体感することは、何かしらの変化を人にもたらします。
わたしはそれが起こりやすいような体験講座をデザインし、進行しています。(丁寧に橋をかけています)

ご参加、心よりお待ちしております。

 

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●おまけ

今のわたしの競技かるたへの気持ちはこんな感じです。

note.mu

 

 

 

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お会いできてうれしいです〜映画『ディリリとパリの時間旅行』

なんとなく映画のブログが続きます。
映画ばかり観てるわけじゃないんだけどね。

こうやって書いたり話しているのは、ごく一部です。
たぶん多くの人がそうであるように、いろいろなことをやって生きています。

 

 

 

さて、公開を楽しみにしていた映画、ディリリ。

原題は、Dilili à Paris

child-film.com

 

 

予告を観て。

まずもう、美しさに感嘆!

骨太なテーマが根底にありそう。

芸術を愛する人たちに、アニメーションの発展を尊ぶ人たちに、優しい世界を願う人たちに、届けられているのではなかろうか。


監督は、「キリクと魔女」のミシェル・オスロ

わたしは友だちにDVDを借りた「夜のとばりの物語」が大好き。


音楽は、「ベティ・ブルー」「イングリッシュ・ペイシェント」「たかが世界の終わり」のガブリエル・ヤレド

どれも観たけれども、ガブリエル・ヤレドと言えば、ミニシアターブームを生きていた人たちにはもう忘れ難いあのビジュアル...「ベティ・ブルー」でしょう!


f:id:hitotobi:20190926160420j:image


...などなどの期待モリモリで、恵比寿ガーデンシネマに行ってきました。

その映画の雰囲気が合うところで観るのもいいですよね。

そしてまたそれが選べちゃうって特殊環境の東京...。

 

 

直後の感想は、よかった!やっぱり劇場で観てよかった!

色の美しさに目が喜ぶ。

ディリリの声やエマの歌声、ガブリエル・ヤレドの音楽に耳が喜ぶ。

思想を美しく繊細に伝える映画だなぁと深く感じられたのは、映画館の環境の良さがあればこそ。

 

さて、ここからは映画の内容に詳しく触れますので、未見の方はご注意を。

 

 

 

メモを元に、回想しながらの感想をバラバラと。

・オープニングから美しいのだけれど、「あ、ディリリだ!」と思ったら、実はそれは公園(リュクサンブール公園かな?)の中にしつらえられた、先住民のカナック族の「コーナー」。見世物になっているところに、ギョッとする...ところからはじまる。それは期間限定の博覧会で、ディリリは業務のようなものとして演じているらしい。ちょっとえげつない。おさるのジョージがかわいいからって、黄色い帽子のおじさんがジャングルから連れてきちゃったのを知ったときの気持ちに近い。

 

・ディリリが出てきて、「肌の色が濃い、明るい」の話になる。

ディリリの友人になるオレルは「君は人と違うから皆を惹きつけるんだ」と。そこでもうこの映画の姿勢を示してくれる。ありがとう。

 

 

・「これはかわいい縄跳びの達人」とディリリを誘拐しようとする「男性支配団」の一味。オレルが間一髪で戻ってくるのだけれど、「あっという間で一言も口を挟めなかった」と言うところがリアル。そう、悪者は一言も口を挟めないようにまくしたてる。そういう人には注意したほうがいい、と映画を通して伝えているようにも感じた。

 

マリー・キュリーが出てきて、ちょっと思い出してしまった。NHK Eテレ「フランケンシュタインの誘惑」(刺激があるので苦手な人は見ないでね)。。でもこの映画のエーヴとイレーヌは幸せそうでよかった。もちろん、真実は一つではない。

 

・有名人が次々に登場。知ってる人が出てくるとうれしい。「洗濯船」ってこんなところだったのかも、と具体的なビジュアルを観ると、想像がまた膨らむ。

 

・町外れの風車小屋に行く途中で出会う男。「パリにもこういう地区がある」とオレル。こういうというのは、貧困や女性や子どもへの暴力が当たり前にあるところ。ここには色がない。

「まずは彼のようにならないことだ」このオレルのセリフがずっと引っかかっていて、帰り道につらつら考えた。この男は、「男性支配団」のメンバーではなかったけれども、近い人生を生きている。「彼のようにならない」というのはつまり、「気づける状況、環境にあれば、美しいほう、愛のあるほうを選択する人生を歩め。勇気を持って。」というメッセージなのかなと思った。オレルの元のセリフだけ聞くと、自己責任っぽくて厳しく聞こえるのだけれど。

他の人はここ、どう解釈しただろうか?

 

・「平気よ」というディリリに、エマの「心の傷は積み重なっていくのよ」と言葉をかけたところが印象的だった。そう、「こんなのなんでもない」と思っていても、実は傷は積み重なっている。

 

・「夫の名前で小説を書いた、もう二度とやらない」。これ、きっとよくあることだったんだろうなぁ。あるいは男性の名前で発表することとか。

 

・「わたしもたくさん描きたいわ」とディリリ。「描け、手を止めるな」とロートレック。わたしも心の中で頷く。

 

・ディリリが映画の中でたくさんの人に会って、会うたびに「お会いできてうれしいです」と言うので、音楽として覚えちゃった!Je suis très heureux de vous connaître. フランス語と一瞬心通った感じ。

 

・「男の支配団」は鼻輪をしている?ディリリには鼻輪が見える?なにか見分ける方法がある、ということを言っているのかもしれない。

 

・「男の支配団」の合言葉が、「美しいパリ、腐ったパリ」。先日観た「リチャード二世」の中でも、一旦イングランドを「上げて落とす」言い回しがあった。何かそういう文化があるのか。

 

・四つ足のくだりはほんとうに辛くて、他のシーンが美しくて愛に満ちていなければとても観られないところだった。見た目も怖いしセリフも怖い。教育する側が女性であるところが怖い。「生き残れないよ」という呪い。

 

・助けられたディリリ。「恥ずかしくて死にそう」に対して、オレルの「そんなふうに思わないで」がまず救い。被害に遭った人に、周りの人が何ができるのかを見せている。

 

・「少女たちとわたしたちの文明を救わないと」...そう、これは文明の危機。大げさでもなんでもなくて。

 

・フランス人とニューカレドニア人との混血のディリリ。「両方でいたいの、ほっといてほしい」...どちらなのかを迫らないでほしいし、どちらからも疎外されるのをやめてほしい。たくさんの人の気持ちの代弁。

 

・「命の危険があろうが、服装は大切よ」というエマ、大好き!作業着のディリリがめちゃくちゃかわいい。

 

・少女たちを救出するところで、一人ひとりに素敵な名前をつけて呼ぶエマ、大好き!!もしかしたらこういうのもSisterhoodなのかもしれない。

 

・家族のところに帰っていく少女たちを寂しそうに見ているディリリに、「一人じゃないわ」と「抱擁」するエマ、オレル、ルブフ。これもまた家族。血縁ではない家族。「まだはじまったばかり」。

 

・思い出されるのは、美しい空の色ばかり。

 

  

 

怖かったけれど、とてもとても美しいものを見て、

ああ、美の感覚を失っちゃいけない、とあらためて思った。

美しさと共に思い出す、あの怖さのことも。

地下で暗躍しているもの、まちの外れで見聞きしたものも。

 

それも、よくよく知っているものだから。

 

 


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ついでの話。

 

昔のパリにタイムトリップして、有名人がいっぱいでてくるみたいな映画、たしかあったなーと思い出したのが、

 

ウディ・アレンの『ミッドナイト・イン・パリ

 

youtu.be

 

これも見逃していた一本。

冒頭の4分近く、ただただパリのまちの美しさを映している時間からはじまる。

うっとりしたところで出てきたのは、かわいいディリリと違って、めんどくさくて非社交的な冴えない男。しかも出てくる人みんな失礼で笑えてくる。

 

でもだんだんと、この映画が伝えてくることって、骨太だなと思えてきた。

いつの時代も人々を魅了するパリを舞台に、人生が変わっていく。決意していく。

美しく、楽しく、美味しく。

「今の時代を、自分らしく、好きな人と一緒にいて、納得して生きよう」

無理やり共通項を見出そうとすれば、そういうメッセージかも。

 

ヘミングウェイの言葉にも、思いがけず励まされてしまった!

未見の方はこちらもぜひ。

 

 

町山智浩さんも絶賛してますねぇ。

www.youtube.com

 

 

 

 

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《レポート》9/23 秋分のコラージュの会、ひらきました

秋分のコラージュの会、ひらきました。

 

今回のご案内ページ。

collageshubun2019.peatix.com

 

コラージュの会についてはこちら。

hitotobi.hatenadiary.jp

 

 

今回は、国分寺カフェといろいろ びよりさんにて。

「ぜひわたしのまちでひらいてほしい!」と招いてくださったれいこさんのご尽力とご縁で、こちらでの開催となりました。

 

マンションの1階にあるコミュニティカフェ

日替わり店主さんがキッチンをシェアして小さな商いをしていたり、地域の人が一歩踏み出して、ひらいて、つながりをつくることができるイベントスペースやクラフトショップもあります。LIFE、日々の生活と人生の両方を扱う、食べることを中心にした集いの場。

明るいエネルギーの循環するこの場所は、願いを描くコラージュにぴったりで、楽しみにしていました。

 

早めに来て日替わり店主さんのランチをいただきました。

この日は「うくらいま食堂」さんのカレーランチでした。美味しいです。幸せ。

 

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さて、この日はお彼岸。

世界の陰陽と、自分の陰陽を感じて見る日。

自分の中にある融合や調和を心底希求する部分と、排他的で選民的に振り切れるのを欲望する部分とが、まだらにあることを意識しています、というお話をしました。

 

まずは今の自分を俯瞰するワーク。

1人で書き出し作業→ペアで話す聴くのワーク→全体共有で、たっぷり60分。

この時間が毎回好きで、皆さんもここで笑顔がたくさん出る。

(ファシリのご依頼をいただければ、これだけを切り出してご提供も可能です^^)

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そして製作の時間。今回はじめての方が2人おられましたが、迷うことなく手が動いていました。素材選びやレイアウトのときに、頭で考えない、直感で動いていく感じを楽しんでいただけたようです。

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紙をびりびり破いたり、はさみでちょきちょきやったり、のりで貼ったり、、

普段はやらないようなことに集中する(というか没頭する)のは気持ちいい。

 

お腹も空いてくるから、合間にはこんな美味しいものもいただいたりして。

こちらも「うくらいま食堂」さんのおやつ。

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出来上がったら発表会です。自分のためだけに作った作品を、ちょこっと見せ合いっこ。自分で見出し、鑑賞して見出してもらって、その交換によってまた自分の無意識の現れの手がかりにする。

一人で作っただけではどうしても足りなくて、一緒に作って観てもらって感想をもらうということで、ようやく自分の好きや願いを確認できる。不思議なことだよなぁと毎回思います。

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言葉でうまく説明できるものでもないのだけど、見てると嬉しくなります。

心のよりどころみたいなものをつくれた感じでした。

というご感想をいただきました。

 

何度も来てくださってる方は、デスクの前に貼っていつも眺めているそう。

わたしも仕事机の前に貼って、ふと目をあげると必ず視界に入るようにしています。

作ったときの気持ちを思い出すし、何より、やっぱり見ていて嬉しくなります。

 

ご関心をお寄せくださった方、ご参加くださった方、ありがとうございました。

次回は冬至12/22(土)にひらきます。

会場はまたご縁のある方と場所にお招きいただけたらと思っています。

募集はこちらのPeatixで出していますので、気になる方はフォローしていただけるとうれしいです。

 

 

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まさかまさかの、映画『みんなのアムステルダム国立美術館へ』

先日書いた『マダム・イン・ニューヨーク』に続き、公開時に見逃していた映画シリーズ。

 

『みんなのアムステルダム国立美術館へ』 

https://amsmuseum.jp/

 

タイトルの最後につく「へ」ってなんだろう?

原題は The New Rijksmuseum だし。

なくても成立した気もするんだけど。

自分でもラジオ番組をつくったりすると、こういうタイトルが気になってくるのがおもしろい。

 

さて、この下は、

内容に踏み込んだことばかり書いてますので、未見の方で影響されたくない方は鑑賞後に読んでください。

 

 

いやはやびっくり。

まったく前知識なく観てみたら思ってたのと違いました。

みんなで協力して、画期的な美術館を作っていこう!
ワークショップなんかも取り入れて、市民の声で、みんなの寄付でできる美術館だよ!

とかなんとか、そういうものを観るのかなと思ったら、、

 

とりあえず問題山積み!!

 

思いがけない(ほんまか?)サイクリスト協会からの反対に、
あれ?あれあれ?ってなり、

 


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「一生に一度のチャンス」「仁王像を置きたい♡」
と目をキラキラさせるアジア館の館長...。

「もう限界だ」といきなり辞任する館長...。

国立美術館は俺の子供だ」という管理人...。

「コンセプトないじゃん」と呆れる内装の施工会社の担当者...。

会議中に寝る人...。


あれあれ、もしかしてこの映画笑っていいんだ!!とわかってからは、もういちいち笑える。

部分的には、「いや、そうだよね、わかる」「あるある」ていうことを言っているんだけど、この遅々として進まない計画を背負った中で出てくるひと言ひと言に、「ウケる」って言いたくなっちゃう。

こうやって、延期、延期を繰り返し、55日前なのに、全然展示品が設置されてないとか。

観るまで想像してた「画期的な美術館」みたいな感じも特になく。

市民が出てきたのは自転車道路塞ぐなっていうところだけ。

 

わたしの意気込みがありすぎて、空振ったから 可笑しかったというのもあるか。

 

ドキュメンタリーだからこその可笑しさ。作った箇所もあるだろうけど。

なんだかんだ2004年に閉館して、改修終了・再公開まで10年!

ということはこれを撮影していた人たちも10年付き合ってたのかな?

どうやって撮ってたんだろう、メイキングまで観たくなる。

 

思ってたんと違って、よかったです。

オランダって、勝手に合理的でテキパキしてる国なイメージがあったけど、まぁ人間変わらないところはあるよね。

 

それと、アジア館の館長さんが「自然崇拝は日本人の魂の奥深くに息づいている」と言ってくれたり、落成式には僧侶を招いた法要があったりして、敬意を感じた。ありがとう!(わたしが個人的に受け取って、個人的にうれしい気持ち)

 

偶然わたしの世界と交差してすごいなと思ったのが、この法要のシーンに大津絵の「鬼の念仏」が出てくるのところ。

お坊さんが通る背景の陳列ケースの中にあった。

どうして気づいたかというと、ちょうどこの映画を見た日の朝に、「大津絵を描いてみたシリーズ第二弾」で「鬼の念仏」を描いていたのです。大津絵好きのわたしとしては、びっくり!!


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つまり、アムステルダム国立美術館には「鬼の念仏」が所蔵されてるってことですよね。これはうれしい。行ってみたい。

 

美術館の公式ホームページ。日本語ページがありました。

www.rijksmuseum.nl

 

 

 

2015年の記事。この映画とは関係ないところで気になった記事が、たまたまアムステルダム国立美術館の話だった。今あらためて読んでみると、映画に出てきた人たちの顔が浮かんできて、にやにやしてしまう。

m.newspicks.com

 

 

 

 

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自己破壊を煽る〜映画『太陽の塔』の衝撃

8月の終わりにシネマ・チュプキ・タバタで「太陽の塔」を観た。

 

直後の感想も、1ヵ月経った今の感想も、「すごいものを観てしまった...」しかほぼ出てこない。

非常に言語化しづらい、しかし確かにわたしの魂を呼び覚ますものを受け取った。

...というか、受け取ってしまった。

こちらに向かって「ブン投げられたので、キャッチするしかなかった」というか。

 

 

軽い気持ちで観に行ったのだ。

太陽の塔のこと、そういえば知っているようで知らないな」

「息子が太陽の塔が好きだから、一緒に観たらおもしろいかな」というぐらいの。

計画や経緯や1960年代頃からの推移などを、関係者が話すのを観るのかなと思っていた。つまり太陽の塔の解説映画のようなものを想像していた。

 

全然違った...!

 

横っ面を叩かれるような、ここ最近持っていた疑問が一気に氷解して、内からマグマのようなものが沸いてくるような...これはほとんど告発。

 

 

岡本太郎太陽の塔をなんのためにつくったのか?」

 

 

それは、

考えさせるため、忘れさせないため、目を逸らさせないため。

「傷」の手当もままならない中、向き合わずに、その場しのぎで、考えさせないように、忘れさせるようにしてきたものがある。

それが今、次々と明るみに出てくる、噴出してくる、待った無しの状態になっている。

なのに、変わるスピードが信じられないほど遅い。

国全体が歪んだ膜の中にいる。

 

 

なぜ?

なぜ責任を引き受けることができないのか?

覚悟がないのか?なかったことにしたいのか?

この映画を見ると、それはいったいどこからやってきているのか、源に遡って解いてくれている。

ああ、そういうことだったのか…と長年の疑問が解けていくような喜びと興奮もある。絶望と希望。奮起。

つまり、混乱…。

 

 

 

一昨年、当時小学校3年生の息子を連れて、太陽の塔を見に行ったとき、

岡本太郎の気持ちがわかった!まだこの世にないものをみんなが見えるように、しかも間違いなく気づくように大きくつくったんだよ!!

と彼は興奮気味に語っていた。

ほんとうに。ほんとうに、その通りだったのだ。

太陽の塔」の異物感、不気味さ、禍々しさ、不穏さには、ちゃんとその理由があったのだ。

 

 

この国、この国の民、わたし自身の源を思い出させるため。

「源と歴史」という泥に何度もまみれる必要があること。

「自主的な隷従」を脱し、向き合う、考える、語り直す。

誕生から約50年経った今、このように一本の映画になったことで、ようやく具体的な手がかりに、自分の手のひらで触れられたという感じがする。

 

 

関係者・専門家・有識者へのインタビューが少しずつ編集されて周っていくので、まるでシンポジウムのパネルディスカッションを見ているようだ。つまり上映時間が進むにつれて、連なりや深まりが濃くなっていっている。素晴らしい編集技術!

 

 

 

これほどまでに「アートが社会に対して果たす役割」を明確に述べたものはない、とも感じた。

すぐれた表現者であればあるほど、すぐれた作品であればあるほど、大きな歴史の中での原理と本質を取り出し、それを目に見える整形してくれているので、さまざまな視点からの議論を呼ぶことができる。

揺さぶられる、考えざるを得なくさせる、向き合わざるを得なくさせるのだ。

その表現手法が「過激」だからではなく、作品が「大きい」からでもない。

だからあいちトリエンナーレでの「少女像」は撤去されるべきではなかったと思う。

 

 

もう一度この映画を観て、場のしつらえの中で語り合いたい。

自己理解や自己破壊のための対話の機会を与えてくれている映画だ。

 

今、みるべき一本。

 

 

 

taiyo-no-to-movie.jp

  

youtu.be

 


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▼1/350スケールフィギュア。

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自分を愛する生命力〜映画『マダム・イン・ニューヨーク』

公開からもう5年も経ったとは!
 
ずっと観たいと思ってて、ようやくDVDで観ました。めっちゃよかった。
 
尊重、自立、対等性、友情。
自分を愛すること。
挑戦によって自分を知ること、世界をひらくこと。
あたらしい言葉にふれる怖れと喜び。
言葉に心をのせること。
 
生命力にあふれていて、観終わったときにはなんだか元気になっていて、わたしもわたしの世界を大切に、ふーーっと息を深く吐いて、一歩踏み出そう......と思える映画。
 
外国人のための〇〇語教室の感じが、個人的にすっごく懐かしくてたまらない。
 
主人公シャシもサリーも目が喜ぶ美しさ。
特典映像の「現地特報」のシャシもめっちゃかわいい♡ 遊び心ってすてき。
 
惜しむらくは日本版予告編。
わかりやすいけど、それこそなんだか"Judgemental"で、ちょっとモヤる...。
(※追記: 映画の中での英語教室のクラスメイトの描き方はステレオタイプだと感じる、でも社会背景は考慮されてはいるかと。)
 
映画の実物は、微妙な感情や関係を丁寧に描いていて、よかった。
美しさ、かわいさ、芯の強さ、お茶目さ、優しさ、凛々しさ...。
 
もしかして予告で、うーん、ちょっとなーって思っていた方がいたら、ぜひ観てみて!
 
 

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映画館を愛する人たちと、『世界一と言われた映画館』を観る

シネマ・チュプキ・タバタに「世界一と言われた映画館」を観に行きました。

sekaiichi-eigakan.com

 

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実はこの映画にはそれほど興味はなくて(ごめんなさい!)

館長の平塚さんの著書「夢のユニバーサルシアター」の出版記念トークイベントがあって、そちらに参加しようと思って行ったんです。

 

...が、いい意味で裏切られました。映画、とてもよかった!!

 

 

山形県酒田市にあった伝説の映画館、グリーンハウス。

「西の堺、東の酒田」と呼ばれたほど賑わっていた、港町の文化の中心的存在だったそう。

わたしが生まれたのと同じ年(昭和51年)に大火事で消失し、火の元だった責任をとって、再オープンすることはなかったとのこと。

40年以上になくなってしまった映画館の記憶が、人と人をつないで、素晴らしいドキュメンタリー映画に仕上がっています。

 

モノクロフィルムで撮影された当時の館内の様子にグッとくる。
人々が生き生きと映画や音楽やダンスを楽しんでいた時代。

ゆかりのある人たち一人ひとりの丁寧なインタビューは、インタビュアーとの関係が良いのだろうなぁと自然に思える、聞き入ってしまうインタビュー。

グリーンハウスというテーマを通してその人の人生、存在が見えてくるし、
その人の語りを通してグリーンハウスを味わえます。

 

とはいえ、グリーンハウスが火元だったわけだから、まちが立ち直る過程には、辛い部分もきっとたくさんあっただろうなとも想像します。

 

グリーンハウスを「世界一」と呼んだのは淀川長治さん。久しぶりにお名前を拝見しました。

大杉漣さんのナレーションは、昨年亡くなったばかりでまだ実感がなく、もういらっしゃらないんだと思えて切ない。

そういえば、この映画、封切りが(この言い方も時代を感じるか...)2019年1月、有楽町スバル座

そして、スバル座は2019年10年で閉館。わぁああ......この流れ...。

 

 

▼暗闇で絵を描くのがうまくなってきた。なんとなく雰囲気伝わりますかね。。

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上映後のトークイベントではシネマ・チュプキ・タバタの平塚さん、和田さんと、藤沢でシネコヤを営む竹中さんが、お互いの映画館づくりの歩みを惜しみなくシェアしてくれて、終始笑顔の時間でした。

映画を愛する人たちが共有するスピリットが感じられて、温かい気持ちになりました。

 

わたしも映画館で3年弱働いていたことがあり、そのうちの半年ぐらいは映写もしていたので、グリーンハウスの映画中も、他人事じゃない感じで聴いていました。

 

今気づいたけれども、シネコヤは「映画と本とパンの店」......「お店」なんですね!!

 

先日配信したラジオで、チュプキさんがどんな映画館なのかの話をしましたが、

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その中でもやはり、「お店みたいな映画館」という話をしました。

席数が少ないからというのもあるけれど、人とのつながり、まちとのつながり感じさせる映画館は、やっぱりお店なんだと思うなぁ。

 

そして「商い」のお話もたくさん聞きました。

映画館をつくりたい人にとっては貴重な話ばかり。

物件との出会い、作品の選定、配給会社との関係、「らしさ」「大切にしているもの」とは、料金システム、
こういうのが聞けるのがライブのいいところ。

 

「開店したら3年は我慢だよ」からの話題は、開業して2年目のわたしには響きまくりでした。2年目、いろんな意味できついですよね、やっぱり.......^^;

 

人がそのまちで日々楽しく暮らしていくことの中に、まちに文化施設があることも、やはり外せないのだと思う。まちの人が一緒に育んでいく。それが、「やらなくちゃ」より「うちもやりたい、やってみたい」っていうふうに、自然にできていくのが幸せなことなんだなぁ...という話だった。

 

竹中さん、平塚さんの「見切り発車」や「ないならつくっちゃえ」感がすてきだった。その豪胆さが、わたしにも少し上陸してくれているといいなぁ。

 

そういえば、最後に客席から感想を伝えられていた方の話に鳥肌が立った。

どうしてこの映画を観に来たのか、どんな人生の物語がこの映画とリンクしてあるのか、の話。

聴かせていただけてありがたかった。

「おっさんずラブは二度観るべし」でも書いたけど、やっぱり映画って人の人生を豊かにするし、映画館があることで日々が楽しくなったり、救われたりする。

こうして交流の場があることも、やっぱりいいし。

 

映画館はまちに必要!社会のインフラ!

 

 

いい時間を、ありがとうございました!

 

 

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劇場版「おっさんずラブ」は二度観るべし

大ヒット上映中の劇場版「おっさんずラブ」

 

友だちのゆきこさんに勧められてドラマを観て、感想を語るラジオを配信して、

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映画も観に行って、またラジオを3本も配信して、 

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自分でもびっくり。 

「ハマっている」という表現とはまた少し違う。

 

おっさんずラブがくれたものと共に、日常を過ごしている、という感じ。

 「ああ、これもおっさんずラブのテーマだなぁ」とか、「でもきっとおっさんずラブの世界観なら」と、日々を幸福なほうに転換していくようなことが起きる。

 

自分で自分を喜ばせることに躊躇がなくなって、うれしい。おっさんずラブ効果。

 

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きのう「マイヒストリーの発表会」で自分の半生を語ってホッとしたあとに、今度は小5の息子と「おっさんずラブ」を観に行ったら、またまたたくさん受け取りました。

自分の人生の棚卸しするのも語るのもエネルギーの要ることだけれど、それを聴いてくれた人たちが皆、佳きものとして祝福してくれた。

その後だったから、おっさんずラブが届けてくれる「まぁ過去にいろいろあったけど、幸せになっていいんだよ!幸せになろうね!」というメッセージが、どーんと響いてくるのでした。

 

ドラマ版もみてないし、あらすじも全然知らない息子も、冒頭からよく笑ったり泣いたり、内容もよく理解し、楽しんでくれてよかったです。
そういえば一昨年の春に二人で香港に行ったことなども思い出して、うれしかった。

 

ゆきこさんとラジオでしゃべったから、ついつい小道具や持ち道具などに目が行ってしまうし、音楽や音にも注意深くなっている。俳優さんの細かい表情も見えてくる。息子も、こちらからは何も言っていないのに、「このシーンはどうやって撮影しているのか」など聞いてくる。楽しい。

ゆきこさんにもらったシナリオブックでセリフを確認して、二人で言ってみたりもして。

 

練りに練られた脚本、心に残るセリフ。


おっさんずラブが届けてくれるものには、嘘がない。
人生でこういうことって起きるよね、ということに寄り添ってくれる。
そして、勇気を出して幸せを願おうよ、と背中を押してくれる。

 

「世の中悪い人はいない」ということでもない。

ただ、映画にできることを丁寧にやっている。

だから信じられる。世界は自分が望むようにできていくと思える。

こんなにもわかりやすいのに、こんなにもこの社会を解くためのメタファーの宝庫になっているのが、とにかくすごい。

 

1992年は「もう恋なんてしないなんて言わないよぜったい」だったのが、2019年は......。この変化は大きい。

 

そう、変化しているから、次に行こうぜ!!というメッセージ。

 

それをまた劇場で観ている、他の人たちと共有しているという確かな感覚。

笑ったり泣いたり、水を打ったように息をつめて見守ったり...。

今日時点で40回以上劇場に足を運んでいるという、ゆきこさんは、これを感じに行っていると断言していたけれど、わかるなぁ。

それって、かつて映画が人々の貴重な娯楽だった時代、「映画が幸せだった時代」には普通にあったもの。それが今の時代に、形を変えて再びきらめいている。

 

映画館で働いていたことのあるわたしとしては...もう感無量...。

 

 

1回目でよかったー!と思ったら、ラジオを聴いて、ぜひ2回目も観てみてください。

たぶんこれ、2回観ることになる映画なのかも。

今思えば、ラジオでは映画の話ができていなかったんですよね。

最初の衝撃が大きすぎて、衝撃の中身ばっかり話してしまったなぁ...。

3回もしゃべって、やっと落ち着いて2回目、映画として観られたかもしれない。

 

という個人的感触からなんですが。

だまされてみてください。

 

 

帰り道は清々しく。
息子と秋の虫の声を楽しみながら帰りました。


ああ、もう一回観たいなぁ。(それをハマるというのか?)

 

 

オフィシャルBOOKとシナリオブックもぜひ。

どちらも劇場版仕様です。 

  
 
 
 

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《レポート》9/6 『バグダッド・カフェ』でゆるっと話そう@シネマ・チュプキ・タバタ

シネマ・チュプキ・タバタで月に一度ひらいている「ゆるっと話そう」シリーズ第3回のレポートです。

 

「ゆるっと話そう」は、映画が終わってからの45分間の小さな場。

映画観て帰る前に、
観た人同士、場内でちょこっと話してこ!

という気軽な企画です。

 

第4回は『バグダッド・カフェ <ニュー・ディレクターズ・カット版>』

こんな感じでご案内を出しました。

hitotobi.hatenadiary.jp

 

 

さすが名作!当日は、ほぼ満席近いお客さんの入りでした。

この中でどのぐらいの方が「ゆるっと」に残ってくださるかなぁとドキドキしていたら、なんと半分以上の方が参加してくださいました。ありがたい!

観終わったあとの気分で決めていただきたいのもあって、この時間は予約制にはしていないので、当日その時間になってみて、はじめて人数がわかるという感じなのです。

 

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今回は人数が多めだったので、ひとつの輪にはならず、その席に座ったままで、「この場に来たきっかけ」を一人ひと言ずつ発声していただきました。

そのあと、2人1組で感想を交わし合い、最後にその中で出た話をシェアしてもらいながら、「全体で話す」流れにしました。

 

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わたしのように「バグダッド・カフェが青春の一本である」という人がほとんどだったのだけれど、その中身は、

・わたしが今の仕事をするに至ったきっかけの映画

という方から、

・友人に「この青がいいのよ〜」と勧められて観てみたけれど、何回見ても途中で寝てしまった

・勧められたけれど、余計見たくなくなって、今になってようやく観られた。あのとき観ていたらよかった。

・当時付き合っていた男性が好きだった映画で、若かった自分を思い出す。

・途中で全盲になったので、目で観ていた頃と今とで印象がどう変わっているか知りたい。

...など、ほんとうに様々な背景できょうもお越しいただきました。

 

当時観ていなかった方も、一度はどこかでタイトルを聞いていたり、勧められて検討したりしているという時点で、もう「出会っていた」んだろうなぁと思います。

 

 

この映画は製作が1987年。まだベルリンの壁があった頃。

日本公開が1989年。完全版の公開が1994年。

公開当初から数えれば、30年も経っているんですね。
映画を観ていて、全然古さを感じないところがすごいのですが。

それはもう、一人ひとりの人生にさぞかしいろんなことが起こったでしょうねぇ...。

 

 

シネマ・チュプキ・タバタは日本で唯一のユニバーサル・シアター。

目の見えない方、耳の聴こえない方、小さいお子さん(とお子さんを育て中の方)、車椅子の方...みんなが一緒に映画を楽しめるようにとつくられた映画館です。

この日は視覚障害のある方が3名も参加してくださって、音声ガイドで映画を観ていての感覚や感想を皆さんとシェアできました。

ゆるっとをはじめて4回目ではじめての体験。
見えるー見えないの交換ってすごく楽しいです。

 

 

「わたしが今の仕事をするに至ったきっかけの映画」とおっしゃっていたチュプキ館長の平塚さん。

ご本人からその思いについてスピーチしていただきました。
このお話がとってもよかった...。聞けてよかったです。

 

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今観てみたら、登場人物それぞれの人生がより奥行きを持って見えてきた。
あの頃は見えていなかったもの、こと、思い...。

出てくる人たちはみんな事情がありそうで、それを説明しすぎないのがまたよくて、想像の余地がたくさんあるところがいい。

「どうしてなんだろう?」と想像するのも楽しい。

 

わたしは平塚さんとペアで感想を話したのですが、「一番気になった人物は誰?」と質問され、「サロモ」と答えました。30年前はまったく注目していなかった人物です。

ピアノへの情熱があって、でも何かの事情で子ども(赤ん坊)がいて、世話をしつつ練習。でも誰も聞いていなくて、むしろうるさがられているだけ...。でもそれがたった一人の一瞬の行動によって全然変わってしまう。

そのシーンの美しさが心に沁みました。共感も、すごくある。(変わったなー自分!)

 

「冒頭のシーンで少し音が映像が荒っぽくかったのが、主人公のジャスミンの登場によって、次第に変化していく様子が印象的だった」という感想にもハッとさせられました。

 

若い頃はもしかしたら、感受性は強かったかもしれないけれども、バランスに偏りがあったかも。今は、瑞々しい感受性と解釈的・論理的思考の両方を持ち、寄ったり、俯瞰したりしながら、自分の人生と紐付けながら、作品全体を楽しむことができている。

しかも耳で映画を見る方から、音から見えた情景を教えてもらえるなんて。また、こちらからもどんな造形なのかを見えているからこそ教えられるなんて。

 

ああ、歳を重ねるっていいものですねぇ。

 

 

▼家にあったパンフレット、懐かしくて持ってきました。

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今観られてよかった
観た人と話せてよかった

と、皆さん、いい顔でおかえりでした。

 

もしかしたらこれからも、その時々によって、違うものが見えてくるのかもしれない。

自分の中でずっと残り続ける映画には、そんな力があるように思います。

Calling Youを聴けば、きっとまたすぐにあの場所に戻れる。

 

これからも、感想を話る、表現の楽しさがつながっていきますように。  

ご参加くださった方、ご関心をお寄せくださった方、ありがとうございました!

 

 次回10月の「ゆるっと」は、決まり次第お知らせします。 

 

▼館長の平塚さん、スタッフの宮城さんと

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今回の感想は、友人のくみこさんとポッドキャスト(音声配信)でも話しています。

よろしければこちらも聴いてみてくださいませ!

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アサゴハンヲ タベルコト!〜モモを精読する読書会

日曜の朝6時から、
今、『モモ』を精読する読書会
に参加しました。

 

以前参加したときの感想

http://hitotobi.hatenadiary.jp/entry/2019/06/16/090138

http://hitotobi.hatenadiary.jp/entry/2019/08/25/205728

 

19章、20章を読んで最終回のはずが、19章が思ったよりみっちりとしていて終わらず、最終回は次回に延期されることになりました。ちょっとうれしい。

 

 

19章は、モモが灰色の男たちから追われながら、なんとかマイスター・ホラのいる〈どこにもない家〉にたどり着き、深い眠りから覚めたところからはじまります。
マイスター・ホラから、さらに深い時間の花の秘密を聴き、灰色の男たちから時間の花を取り戻せるのはひとつの方法、ひとりの人間(モモ)しかないことを伝えられ、覚悟を決める場面です。

 

今回もやはり印象に残るのは、カシオペイアの言葉。

サキノコトハ ワカリマス アトノコトハ ワカリマセン!
WEISS NUR VORHER, DENKE NICHT NACH

 

アサゴハンヲ タベルコト!
FRÜHSTÜCKEN!

 

包囲されていて、絶対絶命。
緊張しながら策を練っているときに、このユーモア!ありがとう、カシオペイア!!

 

しかも、「そのとたんに、テーブルの上にはもう食事のしたくがととのいました」「テーブルにはまたこのあいだのように、小さな金のカップと、そのほかいずれも金色にかがやく朝ごはんがならんでいました。湯気の立つチョコレートのポット、はちみつ、バター、パリパリに焼けたパンです。」

 

ああ、このシーン!一生忘れられなそう!

熱いチョコレートと、とけたバターに甘いはちみつをたらした、パリパリに焼けたパン......食べたい。 一気に元気回復するよ...。

思い出すだけでも、満たされる。

読書会はサイコマジックなのかー。

 

今度はマイスター・ホラも一緒に食べてくれて、しかも食欲旺盛だっていうところがよかった。よかった、という感想を交わせてよかった。

読書会に参加している人たちも一緒に読み進めて、一緒に冒険をしている仲間なんだなぁ。

 

 

わたしたちが生きている世界では、どうして理屈では説明できないような悪いことが起きたり、どうしてびっくりするような奇跡としか思えない素敵なことが起きたりするのか、ということを日々思ってばかりなのだけれど、この物語でモモと冒険する中で、さまざまな人たちと対話する中で、次第に解き明かされてくる感じがあります。

メタファーの、宝庫というか、厨子というか。

時間の花が咲いているTempel(お堂)そのもの。

 

 

19章もまた特別にその感じが強いです。

 

たとえば、

「人間というのは、ただの時間だけでできているのではなく、それ以上のものだ」

「時間に毒を入れる」

「人間の心からむしりとられた時間の花」

「花はその繊維組織のひとすじにいたるまで全力をふりしぼって、自分の持ち主の人間のところに帰ろうとする」

......

モモと一緒にわたしたちも「息をのんで聞き入って」います。

 

それらの印象深い箇所について、解釈を与えるために対話しているのではなく。

感じたことをただ手探りで出し合い、問いあい、応えあい、それぞれが必要なものをいただいてゆく感じになる。それが読書会だし、それができるから小さな奇跡が起きる。

 

 

それぞれに取り組んでいることがあり、タフな人生がある。

どんな大きさであれ、重さであれ、

 

おまえがいま考えているよりは、らくにできることもおおいと思うよ

Vieles wird leichter sein, als du jetzt glaubst.

 

 

いくつかの言葉を胸にまた1ヵ月過ごします。

マイスター・ホラから、毎日送られてくる時間の花を受け取りながら。

定時の鐘に、マイスター・ホラからの挨拶を聴きながら。

 

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