先週末、「CIPHERを語る会」を開催しました。
CIPHERは、LaLaという雑誌に1985-1990年に連載されていた、成田美名子さんの漫画です。
5人でしゃべりたおした2時間、ああ楽しかった!
NY、LA、ハーレム、フロス、ハロウィーン、ビッグアップル、ワールドトレードセンターのツインタワー、エンパイアステートビル、スタッテン・アイランド・フェリー、ベビーシッターのバイト、キルト、東海岸と西海岸、大陸自転車横断キャンプ、プロム、ピアス、ゲイ、ドラッグ、コカイン、マリファナ、離婚、ステップファミリー、プライバシー、ワークアウト、プエルトリコ、ルームシェア、ベトナム戦争、移民、ゴスペル…etc。
CIPHERではじめて知る言葉や文化は多かった。漫画で感じるカルチャーショック。
わたしには5歳上の姉がいて、その影響でLaLaは小4ぐらいから読んでいました。
周りがジャニーズに夢中だった頃、MTVが好きでカルチャー・クラブ、トンプソン・ツインズ、スティング、フィル・コリンズ、ペット・ショップ・ボーイズなどを聞いていたので、CIPHERの洋楽的世界はわたしのオアシスのようなものでした。当時買ったananのロンドン特集をボロボロになるまで読んでました。だからといって留学もせず、ドメスティックな人生を歩んできたのはまぁ残念な感じですが。。
CIPHERで特徴的だったことについては、
・友情も含め、たくさんの人間関係があるうちのひとつの形が恋愛。
・親子でも、友だちでも、恋人でも、それぞれが自立していて、関係は対等であり尊重がある。
・周りにいる多くの人とのそれぞれの関係性を丁寧に描いていて、しかも整合性がとれている。
・心で感じたことを言葉で表現し、相手への配慮と敬意をもって伝えあう誠実さ。
・依存しあい束縛する関係から、自己を開示していくプロセス。
・漫画家の人間性、品性。
・双子のそれぞれから見えていた景色の違い(人間が違えばちがうものが見える)
・自分の変化や成長のきっかけを他者に求めない、自分と相手と誠実に向き合ことでの結果的な成長。
・小学生~高校生にとって遠い世界ながらも受け取ってきたもの
…などなどが出ました。(たくさんしゃべったので一部しか思い出しきれない。。)
CIPHERはその人自身の心情や人間関係が丁寧に描かれていて、わたしにとってほとんど実在する人間レベルのリアリティがありました。こうしてあらためて読んで話してみて、人との関わり方、コミュニケーションについて、実は大きな影響を受けていたことを感じました。
その他、80-90年代の社会状況、フェミ的少女漫画論、漫画における性表現、高校生での留学体験などにも話は及びました。「ホットロード」との並走もおもしろかったな。
昔好きだった作品を再読、再鑑賞して感想を話す場をつくっているのは、ただのノスタルジーからではないです。今の自分が何によって作られてきたかを思い出し、見えた風景を言葉にすることは、これからを生きていく力になると思うのです。そのときにかつて夢中になっていた作品に会いにいくのが一番いい。
あの頃の自分から見えていた景色、今の自分の立ち位置から見たあの頃の自分の状況、「歴史」の中でのその地点の意味、などなど、四次元座標に点を打つことで、小さなわたしの、途方もないかけがえのなさに気づくことができる。うーん、まだこのへんはうまく言葉になりませんが。。
10代に大切なことをたくさん教えてくれたCIPHERと成田美名子先生、大人になることの味わい深さを共有してくれた参加者の皆さんに感謝です!
↑ 古民家をリノベしたカフェにて。
当時も今も印象的なシーン
・やっぱり衝撃だったフロス。 フロスって?何に使うの?どこに売ってるの?
・今は亡きワールドトレードセンターのツインタワーが随所に登場する...。
・アニスが親を「ロブ」と名前で呼んだり、親に対して「プライバシーに関わること。自分の問題」などハッキリと言えるところ。親もまた子どもの意思を尊重するところ。当時も思ったけれど、今読むと本当にすごい。
・友だちってな人間に対する最高の尊称だとおれは思うぜ!
・「そんなふうに自分の考え言ってくれるの好き!あたしの意見と違っててもうれしい!」......1巻冒頭で登場するアニスのこのセリフに、いきなりやられました...!