今年の12月はやたらと忙しくて、飾り付けをする余裕もない上に、24日と25日はわたしと息子は別々に過ごしていたので、我が家にはクリスマスという感じが一切なかった。けれど息子が帰宅してサンタさんが来ていないと、それはそれでガッカリするかなと思い、「サンタさんからのプレゼント」は用意しておいた。
特にサンタさんへのお願いもなかったし、息子が今とても興味を持っていることもとりたててないし、わたしもあまり物欲がないので思いつかず、友人らに聞き回ってなんとか決めたのが、この図鑑。
綺麗な写真が満載だよ、種類が多いよ、実物大だよ、という売り文句の図鑑とは一線を画す、挿画や装丁が美しい。大人っぽい。子ども向けだからと子どもっぽくするのではなく、美しいものを手渡したいという作り手の思いが感じられる。
息子は、「この本、ぼくにぴったりだ!」と大喜びしていた。それでも去年ほどには喜んでいない感じが、少し寂しいような嬉しいような気がする。
去年は、これまでになくサンタさんを待ちわびていた。
サンタさんはどんな人なんだろう?
日本語はしゃべれる?
いろんな絵本を読んだけど、友だちもいろいろ言ってるけど、どれもほんとじゃない気がする…きっとこんなふうだよ!......と、自分だけのサンタさんのイメージが息子の中でどんどん形作られていってる感じに、わたしもわくわくした。25日の朝、息子は飛び起きて、サンタさんからの手紙(わたしが書いた)を読んでやると、「サンタさん、優しい…!」と号泣していた。
つまり今年、息子はずいぶん強く大きくなったということなのかもしれない。だとしたらそれはとても喜ばしいことだ。
自分が世界から愛されていることの心強さとか、自分のがんばりを誰かが密かに見ていてくれる嬉しさとか、この世にはいろんな秘密や不思議があるんだという敬虔さが、クリスマスやサンタさんにまつわることにはあるように思う。
これがひとつの生きる力の源として、心の深いところに降り積もってくれますようにとわたしは願う。
いつか魔法が解けても、その降り積もったものは、きっと息子を助けてくれるはずだから。