先日、調布はつつじヶ丘にあるもえぎ家さんへうかがい、友人のeicoさんがひらいている「おとなの絵本クラブ」に参加してきました。
もえぎ家は4人の作り手によって運営されている古民家。
書く人、描く人、料る人、温(ぬく)める人が、古くから受け継がれているものの中にある智恵を見直して、今の暮らしに心地よく取り入れる、営む場を守っています。
そんなもえぎ家の場の良さを生かすべく、今回の大人の絵本クラブは、「昔話と火鉢deランチの会」と題して、昔話を読み合って、語り合ってみようということになったそうです。
eicoさんとは6年前からのお付き合いなのですが、2年ほど前に「絵本のブッククラブの立ち上げたい」というご相談をいただいて、また今回も昔話の本を取り上げるにあたってもご相談いただいて、僭越ながらアドバイスめいたことをさせてもらったという経緯がありました。
どんな場なんだろうとわくわくしながら行ってみたら、想像をはるかに超えた心地よい空間がわたしを待っていました。
もともとeicoさんの好きと好きじゃない、したいとしたくないのハッキリしたところが好きなんだけど、それを人に押し付けるでもなく、完璧主義に陥るでもない、絶妙な加減が心地よかったです。
この日は「日本の昔話」という福音館書店のシリーズで、超短編の昔話がたくさん入った本から、「ねずみのもちつき」「さんまいのおふだ」「サトリ」の三篇を取り上げ、一人ずつ朗読しました。
その後、読んでみた感想、聴いてみた感想を自由に話しました。
わたしは家でも小学校でも、ときどき大人にも絵本の読み聞かせをやっているのだけど、絵のないお話を朗読したり、人に朗読してもらったりというのは、ほんとうに久しぶり。
自分の中に浮かんでくるビジュアルイメージの瑞々しさに驚きました。
短いもので3ページ、長いものでも10ページ程度のお話は、寝る前にこどもに読んでやるととてもよさそうです。
昔話は描写が細かくないにもかかわらず、その場面が浮かんでしまう不思議があります。つじつまの合わなさも多分に含みながら、しかしそれゆえに安心して入り込める力があります。
「むかしむかし」ではじまり、「とっぴんぱらりのぷぅ」の始末によって、どんなに入り込んでも「これは物語なんだよ、だから安心して聞けるよ」と教えてくれている。
ゲストで、元福音館書店の編集者・田中秀治さんがいらしていて、専門家ならではの視点をいただけたのも、とてもよかったです。地域による違いや、心理学からのアプローチ、小沢俊夫さんや河合秀雄さんなどの関連本も紹介してくださり、どれも興味深かった。わたしが大好きな「かがくのとも」「こどものとも」の創刊に携わられた方でもあり、愛が伝えられたのもうれしかった。
みんなで読み解いていく中で、「理屈では説明のつかない現象や、処理しきれない感情を、現実と並行して走っている昔話の世界(パラレルワールド)に託すことで昇華させてきたのではないか」という話題も出て、ここでもまた物語やファンタジーの存在について考えました。
ちょうど最近にじいろたまごさんと、「朗読からわいたイメージを絵に描いてみる会をやりたいね」と話していたので、とても参考になり、タイムリーでした。
絵本クラブのあとは、みんなでわいわいきりたんぽ鍋。
火鉢であぶったきりたんぽ、白子ポン酢、ぶりかま。
料る人(HARAMIRAIさん)や場を整える人たちの一つ一つのお仕事が丁寧で、すごくおいしかった。
幸せな初冬の一日でした。
以前の運営メンバー・描く人megumi aratameさん。ウェブサイトに並ぶお仕事の数々もため息が出る。
爪という小さな宇宙に描く人・たまリバネイルさん。
この日ご本人がされていたネイルもキュートだった。古民家でネイルっていい。
温める人、かな子さんのタイマッサージ。
女性にうれしいユーファイの施術も受けられる。
eicoさん、もえぎ家の皆さん、ありがとうございました。