2017年の館納めは東京都写真美術館の「アジェのインスピレーション ひきつがれる精神」。
ウジェーヌ・アジェは中学生のときに京都国立近代美術館の売店のポストカードで知った写真家。わたしはそれ以上に知らなかったのだけど、今回の展覧会でどういう時代の流れ、写真史の中に位置付けられている人なのかがわかった。
ショーウィンドウのマネキンを写した写真!「あ!これだ!」と懐かしくなった。
中学の同級生に会ったような感じ。
アジェの人生。
30代までは画家を目指していたが、才能がないと気づき、パリの街20区の隅々までの記録写真を撮りはじめ、公的機関やアーティストに販売していたところ、数軒先のアパルトマンに住んでいたマン・レイに見出され(というエピソードがすごくいいわ)、助手のベルニス・アボット、画商のジュリアン・レヴィにも評価、応援され、シュルレアリストたちとつながったあたりから次第に知られ、没後にMOMAが収集、調査発表をしてからようやく「近代写真の父」との評価がもたらされたと。
先達の作り上げた記録写真のジャンルを超えた芸術としての写真、そのドキュメンタリー的視点のユニークさが、アメリカや日本の写真家(荒木経惟や森山大道ら)にも大きな影響を与えているというキュレーションも興味深かった。
街路にじっくりと立ってアジェが見つめていたのはなんだったろう。
まちの形、隣同士にあるものの関連性、人の営みのようなもの?
アジェ以前、同時代、以後の写真家の作品が2/3くらいあっただろうか。新しく出会えたのもよかった。アジェの作品を紹介することに生涯の大半を尽くしたというアボットも写真家で、彼女の作品もよかった。
今年はソウル・ライター展でNYの20世紀の写真のムーブメントについて知ったので、近代写真のこともっと学びたい気持ちが高まる。
気になった作品は描いてみることで、近づける、親しくなれる、ということを今年は友人たちからたくさん教えてもらった。
きょうは6Bと8Bの鉛筆持参。やわらかくてさらさらと描きやすい。描くのは楽しい。