観てきた。
自分の人生と関係ありすぎる作品は、良し悪しの評価がまったくできない。作品そのものについての言葉も出ない。周辺についてしか語れない。
帰宅してすぐ、2000年9月に行ったBVSCのコンサートパンフを引っ張り出した。わたしが大学を卒業して東京に来て、職場で出会った友人と彼女のお母さんと3人でコンサートに行った。お母さんは、わたしにすごくよくしてくれて、もらった手紙や本は今も大切にとってある。
18年前。就職活動の期間にみんな一斉に会社に入るという慣例が理解できず、自分にとって最適の職に就くタイミングがあるはずだともがき。ようやく決めたと思った道にも挫折していたあの頃のわたしを、事情は深く知らねど、あたたかく見守ってくれた人だった。
一度おうちでごはんをご馳走になったことがあり、そのときに、家庭料理とはこんなにも美味しくあたたかく慈愛に満ちたものなんだ!ということに衝撃を受けた。
今はもういないそのお母さんのことを思うとき、そしてこの音楽を聞くとき、あの日の明るく笑顔あふれる食卓を思い出す。
ちくわぶを生まれて初めて食べたのがこの日。ごはんはぜんぶ美味しかったけど、ちくわぶだけはどうにもだめだった…。
その時期に心をいっぱいにして、身体の隅々まで刻んだ音楽があるのは幸せだ。
あの音を、声を聞けば、いつでもあの時間、あの場所へ帰れる。
亡くなった人たちにも会える。