今年の夏の話。
文京区千駄木にある島薗家住宅で、和楽器の体験会に息子と行ってきた。
箏(こと)と尺八の演奏を聴いて、自分でも演奏してみれて、最後にもう一度演奏を聴くというもの。合間でお菓子とお抹茶もいただけて、親子で2,000円。なんてお得な!
「和のものに興味がおありですか?」と聞かれたのだけど......どうなんだろう?
あまり考えたことがなかった。そうでもないかも。そうなのかも。
楽器も音楽も好きだし、それぞれが「道」のものって一度のぞいてみたい気持ちがある、というのは確か。
まずは箏。
「心の琴線に触れる」っていうやつだ。
でも触れただけでは音がしない。
本物は太くて硬いし、親指、人差し指、中指に爪をつけてかなり強めに弾く。左指で弦を抑えてテンションを調整するのもかなり力が要る。
ギターピックのように使ってトレモロしたりも教えてもらった。
実際やってみると当たった感触や、自分の身体に響く感じは、ただ見ていただけと全然違う。
和装の美しい女性の手さばきがエレガントだなぁ、きれいな音だなぁというぐらいだったけど、やってみたときに感じた力強さを足すと、最短でキメていく感じが競技かるたっぽくてカッコいい。
ずっと「あさきゆめみし」のこのページが昔から気になっていて、「和琴、箏(そう)の琴、琴(きん)の琴ってどう違うの?」と思っていたのがきょうついに明らかになって興奮した。
・箏(そう): 現代で「こと」といえばこれ。昔は「そう」、今は「こと」と呼んでいる。琴の字は箏が常用漢字でなかったための代替として。奈良時代に中国から渡来。13弦。
・和琴(わごん): 日本にもともとあった琴。6弦。
・琴(きん): 白い「柱(じ)」がなく、弦を抑えて弾く。奈良時代に中国から渡来。
…ということはこの絵は和琴と琴が逆なのかな??
尺八はリコーダーの唇ではさむところがまるごとないので、息を当てるのが難しくて、まず音が出ない。
がんばってやってると過酸素になるので休み休みする。
楽譜を見るのが好き。数式もそうだけど、言語がそれぞれに違うのがおもしろい。
そこそこのもので10万円、プロが一生使うものでも50万円と、楽器というカテゴリーの中では意外に廉価。
島薗家といえば、以前読書会をした「いのちを"つくって"もいいですか?」の著者の島薗進さんは元当主の甥御さんなのだとか。ご縁を感じる。
見たこと聞いたことはあるけれど、実際のところは知らないようなものに思いきって分け入っていくと、自分の体系がまた豊かになる。
楽しい。