ひととび 〜人と美の表現活動研究室

観ることの記録。作品が社会に与える影響、観ることが個人の人生に与える影響について考えています。

学びのシェア会《別腹編》に参加して

友人たちと学びのシェア会という場を営んでいる。

 

発起人がいて、コアメンバーの運営だと自覚して担う人がいて、いつも参加する前のめりなメンバーがいて、気が向いたときに参加する人がいて、その活動を見ながらいつか参加してみたいと思う人がいる。そういう一人ひとりの温度や座標の違いが、とてもいい。場が温かく運動が生まれ続ける有機体として機能している。そういう場にいると、わたしはとてものびのびとして、幸福を感じる。

 

わたしは、多くの人と学び、仮説・検証を繰り返して伝えてきたコミュニティの立ち上げ方や営み方のセオリーを持っているが、客観的で分析的な視点からもやはり、よい場だなと常に感じる。各々、現場をもち場づくりをしてきたメンバーたちの智慧が持ち寄られていることも、相互の学びの刺激やつながりが感じられる。

 

今わたしがいられてうれしいと思うコミュニティのひとつだ。

 

 

会は隔月開催。1回につき3名が発表する。

参加すればするほど、発表すればするほど、シェアしてみたいことは増える。

「今シェアしたいことがあるのに!」「発表枠からもれてしまった!」というときに、この場を待たずとも自分でひらいちゃえばいいですよ〜ということも推奨している。

 

 

そんな会のスピリットに則って、今回、メンバーのまゆみさんが別腹開催を企画してくれた。内容は、文章表現インストラクターの山田ズーニーさんの「伝わる・響く!表現力講座」に参加した体験のシェア。ズーニーさんは、わたしもツイッターをフォローし、ほぼ日の記事や著書を読み、近くに感じてきた方だ。

 

 

ここ数ヶ月、わたしは自分の仕事をどんな手段でどう伝えていくか、誰に働きかけるか、どう計画を立てるかということばかりを考えて、やってもやっても何にも結びついていないように思ったり、どうずれているのかわからず、何も進められていない、形にならない現状が辛くて、胃を痛くする日々を過ごしていた。そんな中で、あのあたたかなつながりを感じながら、どうにか突破口を見出したい、という思いで参加した。

 


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わたしはこの本を2、3年前に買ったのだが、なかなかページをめくれずにいた。

このようないわゆる「積ん読」状態には様々な理由があるが、その中のひとつに、「自分に非常に関係が深いが今は直視できない」ということがある。わたしとこの本との関係はまさにそれだった。

 

これはズーニーさんのお仕事を表す中核的な存在だと思う、とまゆみさんが教えてくれた。

講座でズーニーさんが話したこと、ワークの内容、実際にまゆみさんが書いた文章の紹介、そのときどきのまゆみさんの内面での葛藤や歓喜が、まるで今起こっているかのような鮮やかさで差し出され続け、わたしは自分から手を伸ばして受け取り続けた。

 

受け取ったものを「食べ」ながら、ああ、わたしには何か極度に怖れているものがあり、それを全力で避けようとたくさんの努力を重ねていたのだな...、あるのにないと否定することで自分をどうにか立たせていたのだな...というようなことをつらつらと考えていた。

 

そう、わたしには、評価されること、批判されること、理解されないこと、認めてもらえないこと、受け容れてもらえないことへの大きな怖れがある。ようやくそれを見ることができた。

 

 

 


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今朝、目を覚ましてきのうのことを反芻していて、ありありと思い浮かんだのは、まゆみさんがズーニーさんから受け取ったもののことを話しているときに、「ズーニーさんもそこにいた」という濃い気配だ。

言葉や音声や存在を通して人間が伝えているのは、この感触なんだろうと思う。

 

だから話すにせよ書くにせよ、量はたくさんでなくてよくて、内容は多岐に渡っていなくてよくて、むしろ「削りたくない!」と苦渋の決断で削っていく過程、残された部分にこそ、思いは宿るのかもしれない。

 

そうでない「全部出し」の表現もまだまだ取り組むつもりだが、一方でずっと避けてきた、「たった一つの思いを制限のある中で書き抜く」という道をわたしは今ゆかねばならない。そこにほんとうにわたしがいる、読んでいる人のところに来ている、と感じてもらえる文章を書くことに挑む。

 

 

同じ場にいた友人たちが、さっそくきのうの体験をブログに書いてくれている。

 

主催のまゆみさん

mayuminaba.hatenablog.com

 

学びのシェア会言い出しっぺのライチさん

ameblo.jp

 

甘夏さん

micandescitrus.hatenablog.com

 

 

 

同じ場にいて、違う体験を共有できるのはありがたいことだ。

それもこうして表現を惜しまない人がいてくれるから。

 

ああ、そうだ、言葉だからこそ、文章だからこそ受け取れるもののことを、わたしは幼い頃からずっとずっと信じてきたじゃないか。

 

 

ちょうど最近目にした記事も背中を押してくれる。

www.monosus.co.jp

 

 

そうだそうだ、わたしはこの山をまだまだ登りはじめたばかり。

ここまでいくつもの嶺は超えてきたから、体力と智慧とつながりを元手に登っていけるのだ。

 

 

まゆみさんが伝えてくれたズーニーさんの思いと、まゆみさん自身の思い。
あの2人が重なってみえたときの画を思い出すと、勇気が湧く。
伝えたいことがある。響かせたい思いがある。
それを持っていていいし、表現していい。

 

その感触をつながりを感じる場で得られたことがうれしい。

まゆみさん、一緒に参加してくださった皆さん、ありがとう。

これを読んでくださった方、ありがとうございます。