今月のはじめにこの記事をシェアした。
NYだけど、ウルフだから気になる。映画「めぐりあう時間たち」(2002)からウルフの存在が気になりだした。語る会にも参加したし、直近の文フリでも「かわいいウルフ」を買っちゃったし。
なぜヴァージニア・ウルフの作品は、時を超えて人々に様々なインスピレーションを与えるのだろうか。
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【ティルダ・スウィントンがキュレーション!】
アカデミー助演女優賞を受賞したイギリスの女優、ティルダ・スウィントンが初めてキュレーションした展覧会「Orlando」が、5月24日からニューヨークのアパーチャー・ギャラリーで開催中! ヴァージニア・ウルフの小説『オーランドー』からインスピレーションを受けた本展で見せるものとは?
そうしたらヴァージニア・ウルフが好きな友人が、「オーランド」が原点なんだと言って、勢いでDVDを購入してくれて、さらにみんなで観て語る場をセットしてくれて、別の友人がまた素敵な自宅を会場として提供してくれた。
「話題」にしてひと月も経たないうちの本日、観て語る会がひらかれることになった。
この機動力の高さよ!
最近仲間内では、興味のあることにはサッと場がひらかれるようになって、楽しくてうれしくてありがたくてしょうがない。
しかも、予習シートも用意してもらえる!!
映画「オルランド」を観て、みんなで話してみて。
とても多彩な魅力のある作品。ただただ、美しい。美しい画面をずーーーっと見ていられるのは至福。
監督サリー・ポッターとチームの妥協なきアートワークと、ウルフの残した、どこか時間軸を超越したファンタジーのような、同時代性を感じるような不思議な世界観に、俳優ティルダ・スウィントンの唯一無二の存在感が加わり、絶妙な形で成立している。
とはいえ、シリアスなのかと思いきや、ユーモアにもあふれていて、ところどころみんなでくすくす笑ってしまった。
もともとは男性であったオルランドが、眠っている間に女性に変化するのが一番大きな軸。オルランドは男性として女性も愛し、女性として男性も愛し、子を宿し、400年以上も生きる、両性具有的な、究極の存在になる。
お能の構造にも似ている。ちょうど「船弁慶」を見たときに、成人の男性が女性の静御前を演じ、子どもの男性が若き義経を演じる、というズラし方が非常に興味深いという話をしていた。あるいは、男性であった時代のオルランドを「前場」とすると、女性に変化してからのオルランドを「後場」とすることもできる。
1992年の作品だが、まったく古さを感じない。
サリー・ポッターのカメラワークのアイディアが斬新なのだろう。メイキングでもしきりとカメラのことを言っている。
メイキングには、資金不足でお金のことがたびたび話されている。それから、当時はまだ労働時間についてシビアでなかったのか、ひたすらスタッフがその辛さを口にしている...。全員がローテンションという...こういうメイキングもあまり見たことがない。ちょっとここでも笑ってしまった。
お屋敷の庭のシーンでは、YUKIのこのPVを思い出した。これ途中で切れているけど、この先がもうちょっと似ていたような気がしたのだ。気のせいかな。。今見ると、庭だけやん!て気もする。今度カラオケ行ったら歌って続きを見てみよう。。
まだちょっと消化するところまで行かないのだけれど、みんなで観て語ったことによって、特別な作品になったことは確か。感謝。
読もう読もうと思いながら、結局ウルフの書いたものを一冊も読むことができないでいる。翻訳でさえ、取り組んではみるものの、なんだか歯が立たない。
わたしはそこまでストイックではないので、読めなかったらしょうがないと思っている。
それより、こうしてさまざまな人が、さまざまに解釈したウルフ作品を鑑賞することで、元の作品がもっていたエッセンスやテーマに、少しでも触れられるのがありがたい。
時代としても、未だかつてなく、ウルフが注目されているように感じる。
引き続き追っていきたい。
映画を見て絵メモをとって、色までつけてみたのは今回がはじめて。楽しかった。