三菱一号館美術館で7/6からはじまったマリアノ・フォルチュニ展に行ってきました。
ファッションデザイン、服飾、テキスタイルに興味はあるけれど、他の展覧会や舞台などを優先して、普段なら自分の中だけでだいたいのイメージを作って後、スルーしそうでした。きっかけは、これの一つ前に一号館でやっていた「ラファエル前派の軌跡展」のときに、年間パスポート(三菱一号館美術館サポーター)を買っていたので、「せっかくだから」で、行ってみました。
行ってみて思い出した、わたしはフォルチュニと「会う」のは初めてではなかった!
2009年の東京都庭園美術館での「ポワレとフォルチュニィ 20世紀モードを変えた男たち展」に行ってましたわ!
会期が1月末〜3月末だったから、ちょうど2月末に息子を出産する2週間前に行っていたみたい!!
その頃書いていたブログを漁ってみたら、あったわーメモ魔ってすごいわーー
まだスマートフォンがないので、携帯電話の性能の限界を感じますな...。
いや、意外とソフトフォーカスかかってて、夢の中みたいでよいかも...。
1910〜20年代の服が展示されている。「服」といっても違和感がないデザインになっていってる。それまではコルセットで締めて、胸やお尻を強調したドレス。見るぶんにはおもしろいけど、着るのは苛酷で服というより??
結局モードの基本的なアイディアは、このころのパリで構築された後、ほとんど変わらず現在に至ってるのか?特に「エレガンス」は、この時代に極まってる気がする。
という感想を持っていたようです。ほうほう。ありがとう、わたし。
マリアノ・フォルチュニといえば、「デルフォス」。今回の展覧会のメインビジュアルにもなっている繊細なプリーツを施した絹のドレス。
このイメージが強いから、ファッション界を変えた人、で止まってるかもしれないけれど、「実はフォルチュニはそれだけじゃないんですよぉおお!!」と今回の英語のタイトルが言っている。
"All about MARIANO FORTUNY" !!!
ハイ!!
いつものようにまとまらない感想をパラパラと書きます。
●一族の系譜がすごい。。名家。両親が画家だった影響で絵を描いていた。
油彩、テンペラ、パステル、エッチング、、これがまたどれも良い。
卵黄テンペラをやっている方の個展に行ったことがあって、そこでも感じたし、この日もしみじみ思ったのは、油彩と水彩の中間みたいな、透明感と力強さの両方があって、テンペラ画はとっても好き。
●第2章のシェイクスピアやワーグナーのオペラを観て描いていた絵のあたりがとてもよくて、服よりも時間をつかって観た。絵の題材が舞台芸術ってやっぱり絵を描く表現において、楽しい発想源なんだなぁということが伝わってくる。
●他に手がけていたのは、舞台照明、舞台装置・美術、衣装、日常の中の照明と布製品のデザイン。欧州、アフリカ、中東、中国、日本など、父親の影響もあって、ミックスカルチャーというかコスモポリタンな出力が、とても親近感おぼえる。バティックっぽいプリントだなと思ったら、やっぱり木型を使っていたり、知っている感じが随所にある。
コートやガウンなどの羽織りものはこちらのブランドを彷彿とさせる。
この展示のときに、羽織らせてもらった、あの感じを再生しながら、フォルチュニの服もみていました。
●写真も撮っていた。100年前のヴェネツィアの風景。工房で働いている少女の写真があって横のキャプションに「100年前は子どもも重要な働き手でした」とある。そうかーーー、「たった100年前」なんだなぁ。「児童労働ダメ!」という世界になっているよ。。自分の年齢が数十年単位で語れるようになってきて、やっとそういう感覚になってきた。このことは、鑑賞はもちろんだし、世界のとらえかたや生き方にも大きく影響してきている。
●フォルチュニはブランドをつくった人でもあるのだなぁ。カタログ、ショップカード、招待状、パッケージ、メンテナンスカード、ロゴ、、このあたりは、他の脱コルセットを目指したデザイナーたちと、どういう交流や影響がお互いにあったんだろう。たとえば、クリムト周りで知った、エミーリエ・フレーゲ。ガブリエル・シャネル、ポール・ポワレ、マドレーヌ・ヴィオネ。
●上流階級に生まれて、食うに困らず、好きなことをのびのびできて、さらに商才もあり、つくったものが愛され、美を愛し...という人物像が立ち上がってきます。華やかさ、優美さ。いろんなことをやってみて、実験して、好奇心旺盛で、、、なんだか励まされる気持ち。
●今回の被服の展示品はすべて日本の美術館や個人から借りたものだそうです。「日本のもののほうが保存状態がよいから貸しません」と、ヴェネツィアのフォルチュニ美術館に言われたそう。京都服飾文化研究財団、神戸ファッション美術館、島根石見美術館などから。
●プリーツとドレープの違いってなんだろうと思って調べた。そういえば商品説明で見たことがある用語も、自分の言葉では説明できなかったなー。タック、ギャザー、シャーリングとかも。
●19世紀後半から合成染料が服飾の歴史の中で一般的になってきて、1930年代に入手は容易だったけれど、フォルチュニは天然染料にこだわった...という説明を見て、歴史を染料で串刺してみたら、またおもしろいだろうなぁと思った。つまり「服飾における染料の歴史」。
●串刺してみたら、で思ったのが、コルセットや鯨骨(げいこつ)の骨組み(クリノリンと言うらしい)が外れたあとの「デルフォス」ってものすごく頼りなく、心もとなく思えるはず。「デルフォス」に合わせた下着の発展もあったと思うけれど、何を着ていたんだろう?つまり、「服飾における下着の歴史」。
●第3章テキスタイルの試し刷りや、下図のコーナーは、好きな人にはたまらないと思う!わたしもここはじっくり観ました。うっとり。。
●「デルフォス」は妊婦さんにも優しそう。
●「デルフォス」のプリーツって100年保たれている。これどうやってつけているんだろう?と思ったら、2009年の展覧会を見た人が残してくれていて、とてもわかりやすい。ありがとうございます。なるほどー。ものっすごい手間暇かかっているんだ。。
http://blog.princehotels.co.jp/karuizawa-mode/2009/04/post_47.php
●イメージソースとしてフォルチュニが集めていた資料、スクラップブックの展示も萌えだった。植物、ギリシャ彫刻などの作品のハガキやパンフレットからの切り抜きとか。やっぱりデザイナーにはこういう参照するもののストックが必要よね。
●キャプション萌え。「クレタ島の壁画や陶器に取材した植物文様が見られる」の「取材する」っていう動詞に最近萌える。使ってみたいけど、機会がない。
●年譜を見ていたら、「1911年モーリス・ドニと知り合う」とある!この時代の「知ってる人」が出てくるとうれしい。また会えたね!って感じ。
●今度ヴェネツィアに行ったら、ぜったいフォルチュニ美術館行くわー!15世紀の建築。もちろん直しながら建っているのだろうけど、石のおうちはすっごいな!
館長さんのインタビューが読めます。さすが館長さんもおしゃれ。
フォルチュニ美術館の公式ウェブサイト。
Instagramのある時代は楽しいなー!ヴェネツィアにある11のアートや歴史などに関するミュージアムを紹介するアカウント。
●フォルチュニのデルフォス以外の製品をつくっている工場のあるジュデッカ島(Giudecca)。案内してくれてるページを見ていたら、もーすぐ行きたくなったー!!
いつもながら、三菱一号館美術館のお屋敷っぽい雰囲気に、とてもよく合う展覧会でした。
お土産はこちら。美術館とコラボしたいから、勉強します。