ひととび〜人と美の表現活動研究室

他者の表現にふれることから、自分の中にある美の感覚にもふれてみる、自分の美を表現してみる。みんなで探究する鑑賞の場づくりを通して考えることなど。

日本絵画のハブ〜円山応挙から近代京都画壇へ展

東京藝大美術館で開催中の、「円山応挙から近代京都画壇へ」展に行ってきました。

okyokindai2019.exhibit.jp

 

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ここのところ、長いタイトルの書籍が多いらしいけど、展覧会もそうなんだろうか。

略して「応挙展」っていうと、応挙の作品だけのような印象もあって正確ではなく。
しかし応挙の存在があってこその流れだから。
そうすると「応挙から」展ってことになるのか......ぶつぶつ.......。

 

 

藝大美術館には、ここ何年か日本画について「教わって」きています。

特に印象深かったのが、

2015年ボストン美術館×東京藝術大学 ダブル・インパクト 明治ニッポンの美

2017年雪村-奇想の誕生-

この2つの展覧会の中で、あるいは展覧会を通して、「見方」や「おもしろみ」を提示してくれたから、わたしは日本画により強い関心を持つようになって、他の日本画や日本美術の展覧会もおもしろく鑑賞できるようになったと思います。

感謝、感謝です!

 

 

さらに今回の応挙展。

バラバラとしていた歴史の前後関係や、作品と作者や、人間関係がわたしの中でつながったのが最大の収穫。どの作品の作者が誰で、どの作者とどういう関係にあって、それは何時代のどのへんで、ルーツはどこにあって、前後どういう流れの中でそれがあって、同時代に何が起きていて、今の時代のどのようなルーツになっているか、、というようなことです。

 

わたしの中でとりわけ曖昧だった、江戸の日本絵画と、そこから明治、大正の日本絵画への流れもわかり、今まで観てきた展覧会の体験が、一つに繋がった感触もありました。

 

予習に使ったのは公式ホームページと、こちらの2冊。

 

 

芸術新潮のほうは情報量がわたしには多かったので、鑑賞後の復習や発展に使うことにしました。「日本画」の祖としての応挙、についてはこちらのほうが詳しいかも。

おすすめは、マンガでわかる「日本絵画」の見かた: 美術展がもっと愉しくなる! のほう。感情や関係をビジュアルで読み解きたいわたしにはぴったりの本です。マンガといっても、コマ割りされたページで物語っていくコミックのようなものではなく、イラスト解説みたいな感じです。絵柄の好き好きもあると思いますので、本屋さんで探してみてください。

 

音声ガイドを聴きながら展覧会を歩いていて、ファインアートと素朴画のどちらも兼ね備え、自分の時から新たな流れを作り出した応挙だったからこそ、わたしの理解の助けになってなってくれたのだということを思いました。

日本絵画のハブ的存在というのか。

 

これがもしかすると、狩野永徳長谷川等伯では少し時代が前で、尾形光琳や、伊藤若冲や、曾我蕭白では独自路線すぎて俯瞰できなかった。

のちの時代に明確な影響を与えた円山応挙だからこそ、というのはあると思います。

250年前の京都で生まれたムーブメント。
なるほど、時代や時間の感覚がよりくっきりとしてきました。

 

加えて素朴絵展や、大津絵との再会原田治展〜かわいいの発見、のライン......、日本の美とかわいいに散々ふれてきたところに...、応挙の子犬!!

やっぱりわたしたち、これなのね!!とうれしくなりました。

いろいろなものを自分の興味関心から集中して観ておくと、別のところでつながって、ひとつの体系が豊かに育っていくので、おもしろいのです。

 

上村松園のこの絵すてきでした。知っている人だと思ったら他の絵が切手になってました。切手収集しててよかった…♡
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他の感想をぱらぱらと。

 

応挙の功績に「写生」「新しい風景画」の発明があったと聞き、思い出したのが、2018年のプーシキン展。

風景画の説明の中でも、最初はやはり空想上の風景を描いていたのが、だんだんと実際の場所に足を運んで、見えるものを描くという流れがあったと教わりました。

日本画でもやはり似たような流れがあったことがおもしろい。

これは何か人々が移動をする習慣が出たということや、移動手段を持ったということと、何か関係があるんでしょうか。

ちょっと調べてみたくなりました。

 

 

日本における肖像画ってどういうはじまりで、どういう発展を見せて、今にあるのか、ということもふと思いました。風景画や人物画はあるけれど、肖像画に力を入れた展覧会ってあまりみたことがない。それとも、あまりおもしろくないんだろうか?

 

 

作品を観ていると必ずいらっしゃるのが、学芸員さん並みに詳しいプロ鑑賞者みたいな2人組。そういう方を見つけると、近くで聞き耳を立てていることが多いです。

今回勉強になったのが、「描かれている孔雀がどれもタイの孔雀」ということ。

孔雀というと頭に冠を載せている種を思い浮かべていましたが、それはインドの孔雀なんだそう。それは見てなかった...!!

▼頭の羽(トサカ?)がこんな感じなのがタイの孔雀。

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動物や植物や建築...ある分野に詳しい人と観に行くと、そういう視点から作品を観ているのでおもしろいのですよね。

やっぱり誰かと対話しながら観るのはこういうのが楽しいからなんだなぁ、ということをその2人に気づかせてもらいました。

 

 

近江八景って小さい頃はババくさいと思っていたのだけれど、日本画の題材でほんとうに多く目にするようになって、今更のように誇りというか、自分のルーツとつながる嬉しさを噛み締めています。琵琶湖を模した回遊式庭園に出会うときも、同じように感じる。大人になって、東京にきてよかったことの一つ。

 

 

応挙の遺作と言われる保津川図。左右の屏風を向かい合わせに置いて、真ん中に立つとまるで保津川の川下りをしている気分になる、と音声ガイドで話していて、わー、それは体験してみたい...と思った。実際にそういう展示になってたら、すごくよかっただろうなぁ...。

 

 

東京開催と京都開催でデザイン違い。無料のチラシにこんなに凝る国でもある...。

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今後の藝大美術館の催し、小さいものだけれど、これおもしろそうです。

聴く絵画・観る音楽 -リナイウォーリ祭壇画-(絵画のしくみ Vol.2)

 

 

今後のイベント

▼2019年9月23日(月•祝) 秋分のコラージュの会
https://collageshubun2019.peatix.com/ (国分寺

▼2019年9月28日(土) あのころの《いじめ》と《わたし》に会いに行く読書会 満席
https://coubic.com/uminoie/979560 

▼2019年10月1日(火) 爽やかな集中感 競技かるた体験会
https://coubic.com/uminoie/174356


 

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