パナソニック汐留美術館で開催のラウル・デュフィ展に行ってきました。
https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/19/191005/
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最終日の16時に到着。開館時刻は18時まで、というなかなかの駆け込みっぷり。
決して忘れていたわけではないのですが、あれよあれよという間に月日が過ぎ去り、ここになってしまいました。
しかも、前日は競技かるたの全国大会で19時半ごろまで試合をし、B級に昇級するという快挙を成し遂げ、友人と祝杯をあげ、当日の日中は、TOEICのListening&Readingのテストを受けたあとで、もうなんだかふらふらになりながら、でもご褒美ということで、向かいました。
しかしやはり無理して行ってよかったです!
たぶん誰もがこの感想を口にすると思うけれども、絵画の色の鮮やかさとテキスタイルのモダンさが印象的で、もうこれぞ眼福!!
印刷物ではとても表現しきれない色とテイスト。
図録も販売していましたが、どうしても目減り感が半端なく、触手動かずでした。
デュフィは、フランス北部、港湾都市ル・アーヴルの出身。
少し海を行けばすぐイギリスというところ。
クロード・モネもル・アーヴルの出身。
港町の香りがします。マルケと仲が良かったのも、海というつながりがあったのかもしれないなぁと思ったりします。マルケの海の絵もとてもよいです。
最初の展示コーナーは絵画からはじまります。
パリの国立美術学校エコール・デ・ボザールへ入学し、モンマルトルに暮らして、ジョルジュ・ブラック、モネ、ゴーギャン、ゴッホ、ピサロなどに影響を受けていく。アンデパンダン展に出品した頃、26歳で描いた油彩が最初の展示作品だったのですが、これがまずとてもよかったです。
『グラン・ブルヴァールのカーニヴァル』というタイトル。
パリの大通りにたくさんの人々が出てきて、思い思いにおしゃべりをしたり場を楽しんでいる様子が描かれています。冬の西日を受けて、赤く染まる建物や、並木や人々の顔や服。もうすぐ日が落ちればもっと寒くなるけれども、賑わいにあふれている。この一瞬の光景を素早いタッチで生き生きと描いています。
ちょうど今、12月、わたしが住んでいる東京でもこんな時間帯、こんなふうにまちが見えるときがあるなぁと思いながら、作品を見ていました。
「大谷コレクション」から6点が展示されていました。この大谷コレクションってなんだろう?と調べたら、ホテル・ニューオータニの創業者と関係のあるコレクションなんでしょうか?西宮市や鎌倉市にも大谷記念美術館というのがあったのですが、それらのつながりがわかるものが見つけられず。今後また出会うかな?
『サン=タドレスの大きな浴女』は、他の作品の中に背景に置いてある絵画として登場していて、その遊び心にもにやりとさせられました。
小さい頃は、デュフィのふにゃふにゃして、真面目に描いていないように見える絵が苦手だったんです。びっちり描き込んでる画家がうまい・偉いと思っていた。
今見るとめちゃくちゃ良いですね!
実物に近づいてよく見ると、子どものころには「ふにゃふや」に見えていた線は、同じ色で取られたただの輪郭ではなく、微妙に色合いを変えながら、光や色の流れや対象の存在を表す造形の一つであり、一枚一枚がとても凝ったつくりになっているのがわかりました。
それに、このバイオリンの絵なんか、バイオリンのフォルムや存在感、奏でる音、全部が好きで好きでしょうがない!という偏愛が伝わってきます。
わたしも、それを感じるような大人になったんだなぁ。
1942年の作品『オーケストラ』はステージのもっとも後方、ティンパニ奏者よりもさらに後ろからの目線で劇場を捉えていて、おもしろい構図です。この頃のティンパニはもうペダル式になっているのだろうか?と、打楽器奏者の友だちから聞いた話なども持ち込んで興味深く鑑賞しました。こちらのサイトを見ると20世紀初頭まではネジ式となっているから、ちょうど移行していったときなのかも。
展示点数としてはテキスタイルのほうが多くて、新しいデュフィの世界観に触れられたのがとてもよかったです。デュフィの美意識がより感じられました。
南洋っぽい花や草、虫のモチーフがたくさんありました。当時のフランス植民地のアフリカや東南アジアの影響もあるんでしょうか。バリ島を彷彿とさせるなぁと思いながら観ました。
『ビアンキー二=フェリエ社のテキスタイル・サンプル帳』は、これ自体がもうアート!これごと欲しい!!!他のページもぜんぶ見たい!ずっと眺めていたい!という気持ちになります。
今回の展覧会を機に、デュフィについてちゃんと知れたのがよかった。
デュフィはマルケと友だちで、マティスからの影響も受けていたということもここで初めて知りました。マルケもマティスもわたしの大好きな画家!
それから服飾デザイナーのポール・ポワレとの運命的出会いが大きかったということも知りました。そうだったんだ〜の連続。
今年は三菱一号館美術館のマリアノ・フォルチュニィ展にも行けて、今回ポール・ポワレに会えたので、2009年の庭園美術館の「ポワレとフォルチュニィ展」ではじまった旅が、一つひとつ丁寧に出会いながら今ここまできたような感じで、個人的にうれしかったです。
コルセットから解放されて、自由で開放的で自然と調和しながらも都会的なデュフィのテキスタイルを、女性たちはどんなにか愛したことだろう、と想像が膨らみました。
現代のデザイナーが、デュフィのテキスタイルを復興させてデザインしたドレスも素敵でした。どれもとても華奢だったから、美しく着られる人は限られていそうだけれど...。
また別の観点では、この頃の絹織物や布プリント、製紙や印刷の技術の歴史なども気になりました。そちらでも歴史を串刺してみると、また橋が架かりそうでした。
そうそう、パナソニック汐留美術館のショップに並んでる本は選書がとてもユニークで好きです。どなたが選書なさっているんだろう。
「おお、これは!」という本に必ず出会えます。
行かれたときはぜひ。
何も予習せずに気楽に観たけれど、こうしてふりかえってみると、思ったより受け取ったものがあったことがわかります。
こういう鑑賞もいいですね。
たくさんのお花のテキスタイルに触発されて、お花がほしくなりました。昇級のお祝いもあるしと思い、帰り道にガーベラを買いました。
ガーベラは特別に思い入れのあるお花。
ちょうど5年前の今頃に行ったリー・ミンウェイ展にも感謝して。
たくさんがんばり、たくさんギフトをもらう。よい週末でした。
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