ひととび〜人と美の表現活動研究室

他者の表現にふれることから、自分の中にある美の感覚にもふれてみる、自分の美を表現してみる。みんなで探究する鑑賞の場づくりを通して考えることなど。

《レポート》1/10 映画『人生をしまう時間(とき)』でゆるっと話そう

年が明けてまだほんのりお正月の余韻の残る1月10日のお昼どき。
シネマ・チュプキ・タバタで今年最初の「ゆるっと話そう」をひらきました。

今回の映画は、『人生をしまう時間(とき)』

看取られて逝く人、家族、サポートする介護&医療チームが共に過ごす。
その最期の時間(とき)を見つめた200日間のドキュメンタリーです。

 

年末年始という時節柄、家族との関係について、あるいは自分のこれからについて、考える機会があった方も多いでしょう。

老いること、病に倒れること、看取ること、死ぬこと...。
この映画を観ることがしんどい方もいるかもしれないけれど、「今まさに必要としている」「大切に見つめたい」という思いを抱いている方も多いはず。

映画を観て湧いてきた思いを安心して言葉にできる場、感想を交わすことで、この映画を観てよかったなと思えて、温もりや希望を持ち帰ってほしい。

そんな思いで当日の場をひらきました。


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監督の下村幸子さんも駆けつけてくださり、10人の方々と座を組みました。

 

話し方のルールについて共有した後、まずは一人ひと言ずつの感想を一周しました。

映画を観にきたきっかけや、映画に出てきた印象深いシーンのこと、登場した人たちの言動やふるまいから感じたこと。そしてその思いに通じるご自身の経験とが言葉になって、少しずつ場の真ん中に出され、優しく重なっていきました。

下村監督も皆さんからの感想を受けてのご自身の率直な思いや、映画に出てきた家族のその後の話などをしてくださいました。

 

二周目は、言い足りなかったこと、思い出したことなどを、また一人ずつ話していただき、みんなで聴きました。

職場である施設や病院のこと、患者さんや利用者さんの看取り、子どもの看取り、亡き家族への思いなど...映画を経由したからこそ出てきた、大切な話を聴かせていただきました。

こんなふうに生きていきたい、これからこんなことがしたい、という願いや決意を口にされる方もいて、45分の場が終わる頃には、すっかり心がぽかぽかになりました。

 

これぞまさに生(せい)の実感!!

 

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当日参加してくださった、あまきょうさんが感想を綴ってくださいました。

同じ場を共にした方の表現にまた触れられることがうれしい。ありがとうございます。

note.com

 

 

わたしはこの映画で、下村監督の目をお借りして、その場に一緒に居させていただいたように思いました。一緒に先生や看護師さんについていって、いろんな家や家庭を訊ねる。事情はわからないながらも、映っているものに目を凝らし、聞こえる音に耳を澄まし、たくさん感じ取りました。

最期の日々は一瞬一瞬がとても貴重だから目が離せない。けれども、映画からは後を引くような痛みや苦しさは負わされません。かといって美化もない。すべてを映しきっていないからこそ、わかることや想像できることがあり、それが観る人に委ねられていました。

信頼と誠実さと優しさの映画です。

映画を観てから何日も経ちましたが、日常のふとした瞬間に、ご家族の笑顔や、先生やケアマネさんの言葉、色づいた柿の木のこと、背中にそっと置かれた手のことを思い出します。そして、わたし自身がお別れしてきた人たちのことも想い、温かな気持ちになります。

妊娠・出産という生の起こりが一人ひとり異なるように、生の終わりも一人ひとりがまったく違う。「在宅看取り」をテーマに据えても、具体的にこのように違うということを映画で見せていただいたし、皆さんとの対話の中でも実感しました。
自分がいかに固定的なイメージを持っていたかにも気づかされました。

エンディングノートを前に、「ではわたしはどう生きるか、どう終うか」をますます考えたくなりました。怖れや不安からではなく、まるで興味関心の延長のように。

 

 

 

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当日も紹介させていただきましたが、下村監督が書かれた本『いのちの終(しま)いかた』もとてもよかったです。映画の形式では説明できなかった背景、語り尽くせなかったエピソード、撮影中の監督自身の気持ちなどが、丁寧に綴られています。

チュプキの受付でも販売しています。

映画をふりかえりたい方も、まだ心の準備ができていない・遠方で上映館にアクセスできないなどの理由で映画を観られない方も、いろんな方にぜひ読んでいただきたい本です。

 

 

わたし自身、対話の場や監督との出会いも含め、ほんとうに幸せな映画体験でした。

鑑賞者同士が感想を話すことを通じて生きる力を育む場、作り手・届け手・受け手がフラットに対話し交流できる場をこれからも営んでいきます。

作ること、届けることの喜び、表現の希望を広げたい!

 

ご参加くださった皆さま、ご関心をお寄せくださった方、ありがとうございました。

(右:監督の下村幸子さん、左:舟之川)

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シネマ・チュプキ・タバタにて、1月31日(金)まで。
日本語字幕・音声ガイド付き。水曜定休。
1月26日(日)上映後、下村監督の舞台挨拶あり!

chupki.jpn.org

 

 

 

次回は、2月11日(火•祝)19:05-19:50 

『トークバック 沈黙を破る女たち』でゆるっと話そう 

ご参加お待ちしております。どなたでも参加OK。事前予約不要。投げ銭制(¥500〜)

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