ひととび〜人と美の表現活動研究室

他者の表現にふれることから、自分の中にある美の感覚にもふれてみる、自分の美を表現してみる。みんなで探究する鑑賞の場づくりを通して考えることなど。

ひだ〜機能性とエレガンス展 @文化学園服飾博物館 〜トライバルとディテールの魅力

文化学園服飾博物館の展示『ひだ〜機能性とエレガンス』を観てきた。

https://museum.bunka.ac.jp/exhibition/exhibition2849/

 

観に行ったのには流れがある。

 

11月に杉村学園衣裳博物館で「ブルガリアルーマニアの民族衣装」展を観に行って感想を配信した。

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またその少し前には、大阪の国立民族学博物館を友人と訪ね、感想を話した。

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なにやら民族衣装、フォークロア、トライバル、ファッション、手工芸などのキーワードがわたしの中で立ち上がっていて、それが継続している。

かわいい、美しいからはじまって、
どうしてこんな形、色、素材なんだろう?
誰がどんなときに着るんだろう?
気候や宗教や歴史とどう関係があるんだろう?

を解説の助けをかりながら知っていくと、世界のいろいろな土地のいろいろな時代の人々の願いや祈り、意思なども見えてきて、世界っておもしろいなぁ、人間って愛おしいなぁという気持ちがふつふつとわいてくる。

 

そういえば、新宿・代々木にもファッションの学校があったなぁと思い出した。

文化学園だ。杉村学園と同じく、博物館を持っている。

しかも12月からなかなかどんぴしゃりな展覧会が開催中。ルーマニアブルガリアの民族衣装をみたときに、プリーツやギャザーを寄せて首元や手首周りを覆うことには魔除けの意味があると知ったばかり。

そんな経緯で行ってきた。

 

 

 

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いやはや、これまた、とてもよい展示だった!

なにより民族衣装は美しい!装うって楽しい!が全開で感じられる。

 

日本語で言えば「ひだ(襞)」だが、プリーツ、ギャザー、シャーリング、タック、ドレープ、フリルなど多くの服飾の技法、縫製がある。実物を見ながら、どの部分にどの技法が使われていて、どんな効果をもたらしているのか、丁寧な解説がある。

・布を身体のラインにフィットさせたり、動きやすくする
馬に乗ったり、自転車に乗ったりするための服は、ひだを寄せることで、腕の可動域が広がったり、足さばきがしやすくなる。皮のブーツにもひだがついたものも。保温性も高まるという。

・暑さや寒さの環境に適応させる
暑い地方ではひだを寄せた布が空気をはらんで膨らみ、空気を循環させる。
湿気の多い地方ではさらさらとした肌触りのよい布を使っている。乾燥した砂漠では足元から虫や蛇が入ってこないようにギュッと絞るときにもひだを使う。
寒い地方では細かな襞をぎゅっと寄せて、首や背中肩から熱を逃げにくくする、など。


・布のなめらかさや柔らかさや繊細さで着る人の美しさや威厳を演出する。
なるほどと思ったのが、「長い布や大きな布を用いることは着用者の権威や経済力といったステイタスを示すこともある」という解説。展示品の中には細かな布をはぎ合わてギャザーを入れた8mの腰布などもあった。重そう!

体を大きくする=威厳があるというのは確かに効果としてあるかもなぁ。
ツーピースよりワンピースのほうが印象が強いこととかあるかも?

 

・造形的なおもしろさを印象づけたり、物の見方を変容させる。
近現代のデザイナーの作品は様々な国の民族衣装から着想を得ながら、より視覚的、心理的、空間的効果を狙ったデザインがある。ドレスや儀礼のためのフォーマルな服の工夫はとりわけおもしろい。

 

ショーケースの壁側は鏡張りになっていて、背後のデザインがどうなっているのかも見られる。

 

伝統的なものだけではなく、近現代のものもある。
プリーツといえばあの人!というデザイナーのもの。

それから、子どもの服。かわいい。

子どもにもコルセットを強いていた時代があったらしいけど、発達によくないということになって、胸下でひだを寄せて布を切り返し腹部がふくらむような、Aラインのワンピースが多くなっている。

 

無意識に受け取っていたファッションのサイン。
背景にこういう意味があるのか、と知ることがまずおもしろい。

知って見てみると、人間の工夫や好奇心ってほんとうにすごい。

その表れも地方により、時代により、作り手により、手に入る素材により、全然違ってくるのがおもしろい。そこにさらに願いや祈りの意味を込めた色や刺繍や文様などが加わる。

思えば人間というのは、いつの世も予測できない災害、病気や怪我、死への怖れと闘ってきた。命をつなぐ祈りを込めてきた。

装いとは美の喜びであると同時に、家内安全・無病息災の祈りの形でもあったのだな。

 

遠くから大雑把に見ると「民族衣装」なのだけど、一つひとつ、たとえば「ひだ」というテーマで注目して見てみると個別の発見があって、また人間を愛おしく思える。

 

帰り道にまちを歩く人の服や自宅のワードローブに「ひだ」を発見して、その効果について考えるのも楽しい。タータン展のときみたい。

ここまでの人間の歴史を思い、今の自分たちを省みて、そして何を作っていこうかなと考える。そのきっかけを提供してくれる。

 

ミュージアムってやっぱり楽しいし、学びが多い。

2020年2月14日までの開催です。

受付で売っていたオリジナルポストカード、かわいいのがいっぱいあります。

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関連講座もあるようです。

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おまけ1。

こういう専門の博物館にくると、キャプションの言葉遣いがその世界独特の言い回しになっているところに、ぐっときます。

「ウエストにひだをたっぷりと寄せて裾をすぼめることで足の運動量を十分にとり」

「寛大なシルエット」

「優雅な印象を与え、体のラインを美しく見せ、余韻をもたせる」...など。

......余韻!服にまつわることで、「余韻」という言葉を使ったことがなかったのでとても新鮮で、自分の語彙に入れたいと思いました。

 

おまけ2。

文化学園が出版している書籍、どちらもおもしろいです。
文様で注目、国で注目。同じや違いを発見する。

 

こちらは今風の着こなし方を提案しつつも、民族衣装についての解説資料にもなっていてお得。なによりその衣装、その文化へのリスペクトがひしひしと伝わる。
ファッションに取り入れてみると、楽しみが広がったり、可能性が広がりそう。
自分という人間を表現する大きな要素なので、楽しんでいきたい。

 

 

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