ご案内していた読書会、ひらきました。
大人になって、「いじめ」について真摯に対話した経験がない、という人が多い、という感触があります。
わたしもそうです。
「いじめ」事件の報道を見て胸をざわつかせても、そのことについて誰かと話をしたことはあまりなかったと思います。
話題にしても、「ひどいね」「つらい」を超えられない。かといって、あらたまって語るのも、怖れが大きい。
だからこそ場が必要。
本、小説、物語の存在が必要。安心、安全に語れる場です。
物語の世界を経由して、あのころのいじめとわたしに会いに行ってみませんか?
当日は、さまざまなきっかけや気持ちでご参加くださった4人と
タイトルどおり、会いに行けました。
あのころにのいじめとわたしに。
みんなで。
皆さんが今まさに、ある気持ちを感じて、言葉にして、出してくださっていました。
思い出して苦しいこともあれば、忘れられない喜びもある。
もう大人になったから、できることがたくさんある。
方法もいつの間にかたくさん知っている。
大事なことを忘れちゃっても、また思い出せばいいだけ。
不安になったら頼ればいいだけ。
ハードルを超える覚悟を持って、真剣に対話して、動かす。
それが楽しいし、生きる希望だと思う。
変化を怖れず、分かち合いながら、近くに遠くに、同じ時を生きていこう。
企画を持ち込み、一緒に場をつくってくださったUmiのいえの斎藤麻紀子さんが感想を綴ってくださっています。皆さんからのご感想の紹介も。
麻紀子さん、ご参加の皆さん、ありがとうございました。
(※作品の複写は会の終了後に回収し、廃棄しています。)
場づくり的には。
企画検討から、作品選び、作品の鑑賞と解釈、背景のリサーチ、ファシリテーション計画、資料の準備、心身のメンテナンス、当日の進行まで、
鑑賞対話の場を営むファシリテーターの務めが果たせられて、安堵しています。
今回は、単行本で40ページほどの短編小説を、会場に着いてから読んでもらうという方法にしました。
事前にタイトルはお知らせして、読んできたい方は読んできてもらってもよいというふうにする。選べるように。
自分で読むときの1.5倍ぐらいはとるようにしています。今回30分はちょうどよかったです。
選書理由
この小説にした理由はいくつかありますが、例えばこんなことに気をつけて選書しました。
・陰惨ないじめのシーンや心情描写が主になっていないもの。(特に身体的なものや言葉などで、読んでいて苦しくなりすぎると、その先に行きにくい)
・いじめの構造が見えやすいもの。
・こどものいじめ・大人のいじめ、リアルのいじめ・オンラインのいじめ、を扱い今の時代に沿った設定であるもの。
・第三者介入の手段を示しているもの。
・誰でも何かひと言感想が話せる、自分の体験と結びつきやすい。(あのころのいじめとわたしに会いに行ける)
・揺さぶられても、希望がある。
・20分〜30分で読める。
など。
素晴らしい作品でした。
作品を通した対話だからこそ
暴力、犯罪、宗教、性やジェンダー、病や障害、介護や看取り、生殖医療…など、生命や存在に関わるようなテーマ、扱いに細心の注意が必要なテーマも、作品や表現を通した対話によって、他者との分かち合いが可能になります。
どんな表現形式の、どの作品を取り上げるのかも、ファシリテーターの専門性になります。
場づくりのご用命をお待ちしています。
参考図書
誰もがもっているいじめの当事者体験(さまざまな立場があります)を、大人になった今、どのように変革に活かすことができるか。
また、人間や人間の集団の機能や構造として備わっているものだとして、どのようにそれをよいほうへ導いていけるか。
という観点から、参考になる本をご紹介しました。
進行スケジュールとグランドルールのメモ。
今回用につくった資料。