東京国立博物館の夜間開館で、〈出雲と大和〉展に行ってきた。
行くことにした経緯
このチラシを見たときに、学生時代の友人が松江出身で、出雲の話をよくしていたのを思い出しました。「昔の出雲大社は巨大だった。神殿は雲をつくように高く建てられ、階段が長く伸びていたんだ」と。
彼女とは一緒に出雲大社に行きました。当時はあまり勉強していかなかったけれど、特別な土地だということは感じました。
一昨年末には伊勢神宮にも行ってみたり、短歌、和歌からの流れで古事記にもふれたり、日本の神話や仏教も勉強テーマとして常にあります。
ということで、こんな関心から行ってまいりました。
- ここで「出雲と大和」の関係を見ておくと、またつながること、わからないこと、知らないことが出てくるので、探求が深まるだろう。
- 古代が現代にどのような影響を与えているかの理解にもつながるはずだ。
- 昨年興味が深まった「正倉院展」の少し前の時代を訪ねられる!
おすすめ鑑賞スタイル
●公式サイトで展覧会の概要をざっとおさえる。なぜ今これを?何がテーマ?
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1971
●公式サイトのブログで見所をおさえる。会期がはじまったからこそ言える学芸員さんや研究員さんの推し品を読む。
https://www.tnm.jp/modules/rblog/index.php/1/category/108/
●平成館入って右の映像ガイダンス(約12分)を見る。これでだいたい体験の流れが掴める。そして何の実物を見に行くのかを予習できる。これを見ておいたから、実物を見てみて思ったより小さい、本物の美しさがすごい、などがわかる。
●荷物はコインロッカーに預けて軽装で。
●オーディオガイドは借りる。博物館では特に解説パネルのテキスト量が多いので、耳で聴いたほうが楽な人はぜったいオーディオガイドがおすすめ。
●日本語を読んでもスッと理解できないもの、単語や固有名詞の難しいものは、英語の解説を読んだほうがわかることがある。
●メモを取る。小さな!や?を自分だけにわかるようにメモ。会場はペン類不可のため、鉛筆を持っていく。バインダーもあると尚良。
●売店も楽しい。わたしはクリアファイルをコレクションしているので、今回はこちらを。
●体験を話し合う。行った人と感想を話す。
●体験を発信する。書く、話す場(機会)を予め決めておく。
感想
・巨大な神殿はあった。1/10スケールの模型があったけれど、1/10でこれか!!が体感できてよかった。やはり作ってみるってすごく意味がある。実物は高さ48m(16階建てのビルに相当)、階段の長さ約109m。
・巨大な神殿は鎌倉時代の造営だった。鎌倉。それまでも大きいのを作っていたのか、この時代だけ何かがあって?こうしたのか。
・日本史のメインの年表だけを辿っていると、なんだか戦ばかりしていたようなイメージがある。こういう支流や底流で動いていたもののことを知って、イメージが覆っていくのが楽しい。
・勾玉を英訳すると、Comma-shaped bead(magatama)になるらしい!ビーズ。そうだよね。beadsはもともと祈りという意味。
・ブログに書いてあった通り、後半の第二展示室には仏像がどっさり。奈良、飛鳥、平安時代のものばかりなので、素朴であったり、大陸からの伝来の影響が感じられて好み。これの前に東洋館や本館で開催中の特別展とのつながりも感じられる。
・伎楽面の展示もあり。前回の正倉院展で見たものとはまた少し違った趣。
浮かんだ疑問
◆そういえば日本書紀って何だっけ?
会場についてあれっ?!てなってしまった。
日本書紀が編纂されて1,300年記念の展示。
『古事記』とどう違うんだっけ。
対象にしている時代と目的と形式が違うのだったっけ?
これを端的に教えてくれる資料に会いたい!
→
...と思ったら、サックリ出てきましたよ!
さすが奈良!わかりやすい!聞かれ慣れてる感じがある!
◆出雲と伊勢の関係ってどうなんだっけ?
出雲と大和の関係はわかったけど、出雲と伊勢の関係って?
基本のきが知りたい。
この本を読めばわかるのかな??
◆銅器を使った祭祀って?
銅矛、銅剣、銅戈(どうか)、銅鐸、銅鏡を使った祭祀って実際にはどんな感じだったんだろう?
お墓に埋めたのはよくわかったけれど、儀式的なものの再現したものを見てみたい。
◆出雲は、墳丘墓のあとどうなった?
大和では、前方後円墳が作られるようになって、その後は百済からの仏教の伝来によって寺院が建てられて...という流れはわかったけども、出雲では銅器による祭祀(カミマツリ)から、四隅突出型墳丘墓の上でのマツリになって、その後は?
出雲でも前方後円墳や寺院が作られるようになったのか、やはり出雲大社を中心とした祭祀が続いていったのか。
考古展示室がすごい
多くの人が特別展を観て、けっこうエネルギー使って帰っちゃうかもしれない、または他の博物館や美術館にハシゴするかもしれないんですが、ぜひ平成館1階の考古展示室に行ってみてほしい!
少なくとも今回だけは!!
1階の考古展示室では、考古遺物で石器時代から近代まで日本の歴史をたどります。縄文時代の土偶や、弥生時代の銅鐸、古墳時代の埴輪など教科書でみたあの作品に出会えます。(東京国立博物館HPより)
そう、つまり、さっき上で観て知った展示を、
・そもそもの「基本的な流れ」として見せてくれて、
・間が空いているピースを埋めてくれたり、
・上ではサラッとしか触れられていなかったことを詳しくみせてくれたり、
しているので、より理解が深まります。
ここだけで一つの博物館になるぐらいの圧倒的な展示数と充実の内容があります。
写真も撮れるし(一部不可)、解説パネルもまとまっていて入ってきやすいです。
歴史の教科書が立体空間になってるみたいな感じかな。
特別展と常設の考古学、の2つ合わせて行って、わたしの場合は2時間半〜3時間ぐらいでした。(参考にならんか...)
▼はにわが目印
ふりかえり
特にものすごく古代史が好き!というわけではないけれど、古代を紐解いていくのは楽しい。今回思ったのは、
・今当たり前にあると思っているものが、実は千年、二千年前の人が意図的にやったことの結果だとわかると、見える景色が違って見える。
・古代の遺物から新しい発想がもらえる。
・おもしろいなー、なんでこういうふうにしようと思ったんだろう?きっとこんなことを考えたんじゃないか?と妄想しているだけでわくわくする。
・今の感覚で捉えると「遠い」と感じるような距離でも、同じものが形を変えながら海山超えて伝播していくことのすごさ。人間ってもっともっと「できる」んじゃないか?という希望が湧く。
今回もよき学びでした。
宿題になったことは、また必要なタイミングで出会えていくはず。
おまけ。
わたしが大好きなトーハクをもっとおすすめしたい。そのためにはこれです。
年間パスポートはほんとうにおすすめ。
以前持っていたカードが期限切れになっていたので、今回更新しました。
プレミアムメンバーズカードは、5000円で1年有効。
・国立博物館(東京・京都・奈良・九州)の常設展を見放題
・特別展無料観覧券が4枚もらえる
・特典の観覧券がなくなったあとも、団体料金で購入可。だいたい200〜300円引きになる。
東京国立博物館 - 東博について 会員制度、寄附・寄贈 メンバーズプレミアムパス
「特別展に年3回は行く、常設展も気軽に寄りたい」という方におすすめ。
2020年4月から常設展の入館料は値上げとのこともありますしね。
夜間開館で鑑賞するのにぴったり。
こちらの記事でも書いたけれど、やはり夜間開館はすごくいいです。わたしは大好き。
16時半からの上野公園 - ひととび〜人と美の表現活動研究室
ワヤン、人形劇、東洋館 - ひととび〜人と美の表現活動研究室
場づくりをはじめてから、時間帯や所要時間とロケーションの関係、それらが体験に与える影響はものすごく大きいと感じています。
展覧会によっては昼間に行くときもあります。
毎週金曜、土曜日は21:00まで開館しています。
他にも特別な夜間開館日などもあるので、公式HPの開館時間で確認してみてください。
noteでも話す、書く表現をしています。
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