わたしがフェミニズムにはじめて出会ったのがこの2冊だった。
『妊娠小説』(1997)
『紅一点論―アニメ・特撮・伝記のヒロイン像』 (2001)
どちらも高校生か大学生のときに、友人から勧められたものだ。
読んで仰天した。
言われてみれば。
自分が、考えたこともなかった、不思議にも思わなかった、当然のように受け取っていたことに驚いたし、そんな都合のよい世界の具現が、良きものや時に高尚なものとして流布し継承されてきたことに驚いた。
そしてその次に、ものすごく気持ち悪くなった。
わたしは、わたしたちはどうしてこういうものを見させられてきたんだろう。
飲み込まされてきたんだろう。
そして、なぜ誰もそれに唱えないんだろう、という怒りも湧いてきた。
それがわたしのフェミニズムとの出会いだった。
それと、「起こっていることの構造を見る」ということの初めての経験でもあった。
今はようやくそういう背景や視点も含めて鑑賞できるようになってきた。
きっかけをありがとう。友人にも著者にも。
思えば、友人は若くして博識な人だった。
とても同じ高校生とは思えないような。
流れ込んでくる知があまりにも壮大で深淵だったので、わたしは一人では何も発見できない、何も思考できない人間なんじゃないかと、一時期はほんとうに悩んでいた。
十代の頃、特に本を通じていろんな世界を見せてくれた。
今は離れていて、どうしているか知らないけれども。
思い出すほどに、ほんとうに感謝しかない。