去年の8月ごろに、「1日1冊好きな本を投稿する7日間チャレンジ」のバトンが回ってきたときに7冊の本を投稿した。
今年も、似たようなチャレンジがSNSで流行っていて、複数の方からバトンをいただいた。
やるかどうか、やるとしたらどんなふうにやるか、今考えているところ。
「表紙だけを投稿して説明はなし」ということだったけれど、あれは取り組みやすくという意図だったのかしら。
はじめた人が誰だかわからなくて、ルールだけが回ってくるので、人それぞれに反応や解釈があるようだ。
これはじめてで楽しいな!という人もいれば、
うーん、なんだか抵抗があるな、苦手だな!もあるし、
ルール改変してやっちゃう!なども。
人間ってほんとうに一人ひとり違う。
読んでいる本も、本との出会い方も、読み方も、違うしね。
わたしは、どうせなら、本を読んでもらえるように、紹介していきたいなぁ......。
読書体験を欲してほしい。刺激したい。
ここに紹介した本でなくてもいいから。
とりあえず去年出した本たちに説明をつけてみるところからやってみます。
「AからZまで買えるサイト」のリンクを貼っているけれど、まちの本屋さんや図書館が開いていれば、ぜひそちらで購入してもらえたらうれしい。
2019年版・1日1冊好きな本を投稿する7日間
青空文庫でも読める。モニター、横書き、ふりがなつきでも抵抗なく読める!という方はぜひこちらで。https://www.aozora.gr.jp/cards/000050/files/3587_19541.html
2013年ごろ、自分でブッククラブ(読書コミュニティ)を立ち上げようとしていたときに、出会った本。
地元の図書館で毎月1回、読書会がひらかれていて、その課題本だった。
図書館の主催ではなく、そういう活動をしている有志の会があって、図書館側は無料で部屋を貸したり、複本を集めて貸し出す手配をしてくれているようだった。
そういう運営っていいですよね。どこでもやればいいのに、と思う。
泉鏡花は、高校生の頃に一度『高野聖』を読んで夢中になった覚えがある。でも『歌行燈』は読んでいなかった。
この本は、薄いし、会話部分が多くて読めそう、読書会にも参加できそう!と思って読んだ。
読みはじめたら、夢中で一気に読んでしまった。明暗、音楽、着物の動き。一つひとつが繊細で、すべてが映像的でダイナミック!!ゾクゾクした。
ちょうどその頃、お能を見始めたばかりだったので、この小説のクライマックスで描かれている『海人』の舞の場面では、鳥肌が立った。
「そんな心動かされた体験を皆さんと話せるのか!」と、当日わくわくしながら読書会に行った。
ドアを開けてみたら、メンバーは60代〜80代ぐらいの方々ばかり15人ほど。わたしと同じぐらいの年齢の人はいなかった。
一人ひと言ずつ感想を話して一周していくスタイルだったが、「難しくて読めなかった」「とりあえず読んだけど意味がわからなかった」という人が大半で、あとは桑名に行った思い出や、泉鏡花についての知識の披露の場になっていた。
わたしだけが物語の感想を熱く語っていて、完全に浮いてしまった。
「また来てね、若い人が来るとうれしいわ」を言われたけれど、やはり足を運ぶことはできなかった。
そのときに、「そうか、年配の方だからといって、昔の物語を読みこなせるとは限らないのだ。それは学習であり習慣なのだ」と知った。
このときの経験は、わたしの場づくりにとても大きな問題意識を投げかけた。
同じ話をあと100回できるぐらい、わたしにとって重要な転換点のひとつだ。
うーん、なかなかひと言で紹介が終わらない。
これを7冊分はなかなか大変だ!という感じがしてきた。でもがんばるぞ!
そのタイトルの通り、まるで旅に連れて行ってもらうような本。
異なる言語、異なる文化。
多言語を操る人、ルーツと言語が異なる人、先天的に持っている人と後天的に身につけた人。〇〇人と、〇〇語と、〇〇国。
母語ひとつに強烈に囚われているわたしにとっては、「母語の外に連れ出された」これは、味わったことのない感覚。ものによっては、この先生きていてもぜったいに味わうことのできない感覚。
多和田葉子さんのエッセイは言語の話が多いのだけれど、一番はじめに読んだこの本が一番印象に残っている。ドイツ語の勉強をしていたときに出会った。多くの人が多和田作品に小説から入るのかもしれないが、わたしはエッセイから。
多和田さんは詩人でもあるので、どんな文章も、音読したくなる。
世界中で朗読会も頻繁にひらかれていて、二回参加したことがある。一回は上智大学、一回はゲーテ・インスティチュートのライブ配信。
実際に自分で音読したものを録音して、自分で聴いてみることもある。楽しい。
『吉野朔実は本が大好き(吉野朔実劇場ALL IN ONE)』吉野朔実(本の雑誌社)
わたしの10代に吉野朔実さんがいてくれてほんとうによかった。
著作マンガはほとんど読んでいる。何回読んだかわからない。映画の本も持っている。
これは亡くなったあとに買った本。版元が「本の雑誌社」というところがまた良い。
亡くなったことが、いまだに悲しくてならない。
高校の国語の教科書で出会った『山月記』。
正確に言えば、書き出しの一文との出会い。
「こんな美しく完璧な文章があるのか!」としびれた。後にも先にもこれほどインパクトのある書き出しに出会ったことがない。
その後、読書会で『弟子』を取り上げたり、昨年は中島敦展にも行った。
これからも少しずつ、いろんな方面から出会っていくだろう作家の一人。
近所の書店には短歌と俳句と詩だけの棚があって、わたしが知っている書店のどこよりも充実している。そこでサイン入りのこれを買った。
東直子さんの短歌が好きだ。
なにげない言葉も、詩人が使うとこんなにも生き生きとする。
クールとユーモアと優しさのどれでもない、でも確かに自分の中にあるこの感覚。
何か足りなかったんだよな、と思ったときにこの詩集をひらくと、ああ、これこれ!ということが多い。
『夜明けの図書館』埜納タオ(ジュールコミックス)1〜5(続巻)
こちらに記事を買いたので割愛。
https://hitotobi.hatenadiary.jp/entry/2020/03/05/175339
絶版になっているかもしれない。
これも10代の頃に夢中になっていた、長野まゆみさんと鳩山郁子さんの黄金コンビ。
大切すぎて、そうそう感想は語れない。好きな人となら話せるかもしれない。
10代の頃の感性でたっぷりと受け取っていた美がぎゅっと詰まっている。
今後何度引っ越すことがあっても絶対に手放さない一冊。(正確に言うと、シリーズものなので全4冊)
全部書いてみるとけっこう時間がかかった。
でも今年は一箱古本市にも出られなかったから、こんなふうに本を愛でたり、本を通じて人と交流するのもよいかもな。
2020年版も投稿してみます。
テーマや軸、どうしようかなぁ。
単に「好きな本」「おもしろかった本」ならよく紹介はしているので、何か決めたい、という気持ちがあります。
展覧会のようにしてみたい。
まずはお散歩して、初夏の風に吹かれてみます。