ひととび 〜人と美の表現活動研究室

観ることの記録。作品が社会に与える影響、観ることが個人の人生に与える影響について考えています。

映画『タゴール・ソングス』鑑賞記録

タゴール・ソングス』を観てきた。

tagore-songs.com

 

こんなブログも書いて楽しみにしていた。

hitotobi.hatenadiary.jp

 

でも感染症流行で公開が伸びた。〈仮設の映画館〉での上映もはじまったけれど、どうしても映画館で観たくて、タイミングを待っていた。

その間、タゴールの詩集を買い、寝る前に読み、

 

 佐々木美佳監督のnoteを読んだりしていた。

note.com

 

 

実に3ヶ月ぶりに訪れる映画館。感無量......。


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なんだかもうひたすら幸せな時間だった。

 

100年前の詩人の言葉が人々の心に寄り添い、情熱を湧かせ、誇りを抱かせ、孤独を和らげている様。

はじめて聴くのに懐かしくて温かいのはなぜだろう。
共にするルーツがあるからだろうか。
わたしたちにも和歌という千年を超える歌(詩)があるからだろうか。

人間が生きるためには詩人が必要。
そして自分の内なる詩人を呼び覚ますことも必要。

 

 もし 君の呼び声に誰も答えなくても ひとりで進め
 もし 誰もが口を閉ざすなら
 もし 誰もが顔をそむけ 恐れるなら
 それでも君は心開いて 心からの言葉を ひとり語れ
 (タゴール「ひとりで進め」より)

 

この映画のテーマソングになっているタゴール・ソングが、今を生きるわたしたちへのエールに思えて、心強い。

 

 

ベンガルと言えば、わたしにとってはジュンパ・ラヒリの小説。

ベンガル出身の主人公や家族。人柄や振る舞い、コルカタでの暮らし。彼女の作品のルーツに触れる思い。「あの世界の中にタゴール・ソングもあったのかも?」

...とつぶやいたら、佐々木監督から、メンションいただきました。(3月上旬の話)

このあと図書館で見つけて、ほんとだ〜!とうれしかった覚えが。自分の温めていた世界が人を通してつながる瞬間。

 

 

つながるといえば。

映画って文化の架け橋でもあるんだよなぁ、としみじみ思った。外出自粛期間中のミニシアター・エイドの動きが起こったときに、「なぜわたしたちに映画や映画館が必要なのか」というところで考えた。

少なくともこれからわたしはインド、バングラデシュベンガルと聞けば必ずこの映画を思い出すだろうし、実際、帰宅してテレビをつけたら、ニュースで「インドが〜」と言っていたので思わず見たりした。

遠い国ではなくて、映画に出てきたあの人やあの人がいるところ、ルーツがあるところ、と思える。

 

人も世界も変化していくけれど、歌は継がれていく、残る。

 

 

佐々木監督、タゴールソングを紹介してくださって、ありがとうございます。

 

 


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