2020年夏のMETライブビューイングのアンコール上映で、『トゥーランドット』も観た。
2019-2020シーズンの公演で、見逃していたのでありがたかった!
プッチーニ《トゥーランドット》 | 演目紹介 | METライブビューイング:オペラ | 松竹
とにかく豪華壮麗な舞台に圧倒されるし、プッチーニの魔法にかけられたような音楽と、一流の歌い手たちにぐいぐいと引っ張られて、最後まで1秒も見逃したくないぐらい夢中になって観た。
この作品、わたしは、女と男の和解の話と受け取った。
男に虐げられ続けてきた女の代表になって、恨みと呪いを一身に背負ってしまったお姫様がいる。
男は復讐の対象。どうせみんなわたしを傷つける。だから先に殺る。
ほんとうは理解されたい、受け容れたいけれど、怖い。
結婚が男性のものになる、支配されることだと思っているから、全力で抵抗する。
でも結婚てそうじゃないんだよ〜ぼくも男だけど、一人の人間だよ〜と、カラフ王子。(いや、言ってないけど)
駆け引きっぽくも見えたけれど、実はそうではなくて、死ぬかもしれない勇気をもって姫を救出に来たんだな。
泣ける。
ありがとう王子。
トゥーランドットの傷つきがほんと深い。
「こじらせ」なんて言われたくないくらいの深い深い傷つき。
有史以来の傷つきを一人で背負っている重さ。
映画「勝手にふるえてろ」と似たものを感じた。
深くて本質的な愛。
アナ雪っぽくもある。
本物の愛とは?
これがプッチーニの遺作というところも泣ける。
プッチーニの作品って美しいし好きだけど、女の人が犠牲になるところは受け容れがたいと思っていた。人生の最後に人類にでっかいプレゼントしたのでは。
舞台の絢爛豪華さ、キャストの多さも凄まじい。
ステージに載ってる物量がハンパない。「アイーダ」も凄まじかったけど、「トゥーランドット」はさらに上をいく。
文化や歴史への取材が徹底しているのか、信じられるものになっている。
ピン・ポン・パンの故郷を思うくだり、リューの弔い、トゥーランドットの葛藤など、優しくて切ない場面も、震えるような美しさで、引き込まれた。
歌唱、演技、音楽すべてが一体に。
合唱も素晴らしい。
褒めるところしかない!!
ガイドは、「ポーギーとベス」のエンジェル・ブルー。温かみのあるすてきなガイド&インタビュー。
アクナーテンの告知も、本編がみられなかったので、うれしい。コスタンツォはやっぱりチャーミングな人。
「今季アンコール上映は最後は『真珠採り』で〆る!」と決めて、早々にチケットを予約した。
メトでの上演が100年ぶりというところに、お能の復曲にも近い感じもあり、幕間の解説がとても楽しみ。