2020年8月。
METライブビューイングのアンコール上映で、ヴェルディの「仮面舞踏会」を観てきた。2012-13シーズンの公演から。
演劇の構成的にも音楽的にも、とても凝っていて盛りだくさんで、美しくて。
とても満足した。
悲喜劇。
可笑しみと、切なさと、勇猛さが同時にある。この複雑さが今の時代に合う。
人間ってこうだよね。
王様という立場にしても、ある人から見ればよい王様で、また別の人から見ればそうではない。
3人の間にある愛はそれぞれほんものなんだけど、掛け違いから悲劇が起きてしまう。何が起こるかはわかっているのに、そこに至るまでのドラマが深く重みがある。
人生経験を重ねた大人のためのオペラ。
占い師のウルリケが最高。
とにかく良い。
ヴェルディの作品の中で、たぶんあまり目立たない位置にいると思われるけれど、隠れた名作というか、今こそ観る時代なのかもと思う。
再演を期待。