ひととび〜人と美の表現活動研究室

他者の表現にふれることから、自分の中にある美の感覚にもふれてみる、自分の美を表現してみる。みんなで探究する鑑賞の場づくりを通して考えることなど。

朗読劇『日の名残り』鑑賞記録

2020年10月。


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カズオ・イシグロの『日の名残り』の朗読劇。
なぜか本で読めなくて、5回ぐらいトライしたんだけど、だめだった。

他のイシグロ作品は全部読んだのに。

うーん、ここは演劇の力を借りるしかないなぁ……と前々から思っていたところに、あうるすぽっとからのお知らせで見かけて、最後の1席に運良くすべりこみ!
わたし偉かった!!よくやった!

 

生のお芝居。いやーよかった。

執事のスティーヴンス役の眞島秀和さんは、『おっさんずラブ』の人として認識していたけれど、生の声の美しいこと!
そして端正な佇まい。実直で品格あり冗談も言えない執事の役がピッタリ。

全編が主人公のモノローグでできてるので、眞島さんがひたすら語り続けているのを聴くという、よい波動を浴びた感。



おっさんずラブ』ファンの友だちとやり取りして、事前に楽しみをふくらませてもらえたのもよかった。ありがとう。

他の俳優さんたちは、セリフのみ演じられていて、その間合いも、声も、存在感もそれぞれによかった。小島聖さんの少しかすれたような声も魅力。

桂やまとさんが一番たくさんの人物を演じていた。

演じ分けられていてすごい。

マキノノゾミさんは、スティーヴンスが敬愛していた卿らしく、堂々たる風格。

以前観たことのある朗読劇がもっと動きが激しかったので、横一列に並んだ椅子に座っているスタイルに、最初は少し戸惑った。

あれはソーシャル・ディスタンス演出ということなのかしら。



そうか、こういう物語だったのか。

人生の落日にふりかえる、無数にあった岐路、葛藤、後悔。
信念、あるいは、そう生きざるを得ない宿命。時間の贈り物。

そして人生は続く。
この舞台を観て以来、夕方の美しさがいっそう沁みる。