シネマ・チュプキ・タバタで、映画『はりぼて』を観てきました。
"有権者に占める自民党員の割合が10年連続日本一"である保守王国、富山県の小さなテレビ局が地方政治の不正に挑み、市議14人がドミノ辞職。報道によって人間の狡猾さと滑稽さを浮き彫りにする様子を描いたドキュメンタリー。
(チュプキさんのチラシより)
笑いながらも、なんとも言えずいやぁな気持ちと、興奮に浸りながら、帰宅しました。
観る前は、唖然として苦笑して怒って、となるのは想定していて。さらに何かを思いそう。いずれにしても、きっと今一番見たいものを見るんだろうなァ……と思っていました。
見終わっての感想-------
これはチュプキさんで観てよかった。
なぜなら字幕のおかげで『はりぼて』の茶番さが増幅されるから。
「飲むことが好きなもんですから」「行間を読んでいただいて」「また議員にでもなって(引き笑い)」とかね。
いやしかし、どんどんどんどん出てくる滑稽、醜悪、滑稽。
なんだこれは。なんなんだこれは。
とにかく大量のおっさんが出てくる。ひたすら顔が映り続ける画面は、ツァイ・ミンリャンの『あなたの顔』を思い出す。まぁでも今回はこの記事に書いたようなすてきな体験ではなかったが。
女性があまり見当たらない。ただ画面に写っていないのか、ほんとうに議会に少ないのか。
とにかくもう、
何言うてんねん。
何をやっとんねん。
何のためにそこにおんねん。
としか出てこない。
こんな稚拙でアホみたいな手口が横行する。
追及しても恥もない態度。
品もない、誇りもない。話も通じない。見ていて悔しくなる。
議員を「先生」って呼ぶのやめたほうがいいんじゃないかね。。
などと思う一方で、これほんとに現実?本人?というくらい芝居じみていて、驚く。
誰も彼もが役者に見えてくる。
あーそうか、はりぼてってタイトルだったか。議会だけでなく、行政も、市民も、メディアもはりぼて。役所の前でシュプレヒコールをあげる人たちまでが、滑稽に見えてしまう。
放っておくと人間の集団って堕落してしまうんだな。
監視、牽制、批判、言論の大切さよ。
悪というのは見るからに悪というものと、一見して悪の顔をしていないがゆえに質(たち)が悪いものと、2種類ありそう。
前者が『アリ地獄天国』で、後者が『はりぼて』か?
「あーこういう奴おるおる」って思いながら観るわけだけど、それが自分とこの区政市政県政、そして国政に思い当たるというのが、なんともやりきれない。
そこらじゅうにある構図をただじっくり見てるだけ。観させられているだけ。
市民の声も、メディアの質問も、結局みんなでイネーブリングしてるなら、そら変わらんわと、ぢっと手を見る。
ドキュメンタリーのおそろしさも感じた。
写ってる人は何気なく撮られているのに、ずっと残り続けて、知らない人に観られ続けていくというのも。「公人やし悪いことしてたんやししゃーない」のか、どうなのか。TV用だからここまでの素材が揃ってる。
制作側にもその葛藤はあったようですね。編集されpublishされると、力を持ってしまう。その自覚を観る側としても持っていないとな、と思う。
先に観た友人たちとチャットスレッドで感想を交わし、一晩寝て落ち着きました。
富山出身者の話も聞けて、ありがたい。
新聞記者→ なぜ君は総理大臣になれないのか→ はりぼて、という流れがわたしの中にはあって、背景では現実世界が動いていて……。
いやはや、すごい時代を生きていますね。
ようやくここまで来たとも言えるし、ヤバさが極まってるな、とも言えるし。
生きているうちに、少しでもよりよい社会にしていきたい、と思う。
諦めないぞーーー!
関係ないけど、先日、書道博物館に行ったところなので、題字の書が気になった。
いつもよりじっくり見た。見え方が違うのがおもしろい。
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▼五百旗頭さんのツイッター
五百旗頭幸男 (@yukioiokibe) | Twitter
▼12月にオンライン配信があるようです。スペシャルトーク付き。