門松やしめ飾りが売り出される年の瀬に、しめ飾りの展示を観てきた。最終日ギリギリの駆け込み。
しめかざりを探して訪ね歩いている方がいるというのは、以前、この本で見て知っていた。
『しめかざり—新年の願いを結ぶかたち』森須磨子/著(工作舎)
しめかざりの種類が地域によってこれほど違い、こんなにも美しいことに驚いた。
当たり前に視界に入っているけれど、そういえばこれって何なのか、あまり深く考えたことがなかった。さらに民俗学の研究者ではない立場で、コツコツ収集されているのがユニークだと思っていた。
こちらの広報誌を以前からいろんなところで見ていて、生活工房という場所があるのは知っていた。今回初めての訪問。
今回の展示では、森さんが20年以上かけて収集された、しめかざりコレクションの中から、約100点のしめかざりの実物と、1000点以上の写真がお披露目とあって、楽しみにして行った。
いやはや、すごかった。すごくよかった。
とにかくしめかざりが美しい。
祈りや願いの象徴としてのしめかざり。独特の造形。
年末の忙しいときであっても、手を動かし、形にする作業には意味がある。
受け継がれるもの。魂。
いくつかの地域でのしめかざり作りについてのポスター展示やビデオ展示も興味深かった。上部の飾りが取っ払われた素の姿には、人が思いを込めた痕跡を感じる。
地域によって、田んぼの一区画に、しめかざりに使う専用のイネを育てているところもあると聞いた。
実家のあたりの地名を見つけたが、見たこともない造形をしていた。
自分のルーツだと思っている場所にも、まだまだ知らないことが多い。
豊かな時代も数十年はあったものの、今の時代はまた、五穀豊穣や家内安全、無病息災への願いが切実さを持ってきたように感じる。
帰り道はやはり自然と門松や玄関のしめ飾りが目につく。
わたしも今年はお飾りつくって、トシガミ様をお招きしようと自作してみた。いつもは買って済ませるのだけれど、自分で作ってみるとちょっと気分が違う。
会場に行けなかった方のために、森さんが丁寧な解説を書いてくださっている。
これは素晴らしい、必見です。
__________________________________
鑑賞対話イベントをひらいて、作品、施設、コミュニティのファンや仲間をふやしませんか?ファシリテーターのお仕事依頼,場づくり相談を承っております。
初の著書(共著)発売中!