ひととび〜人と美の表現活動研究室

他者の表現にふれることから、自分の中にある美の感覚にもふれてみる、自分の美を表現してみる。みんなで探究する鑑賞の場づくりを通して考えることなど。

サーリネンとフィンランドの美しい建築展 鑑賞記録

パナソニック留美術館で開催中の「サーリネンとフィンランドの美しい建築展」を観てきた。

panasonic.co.jp

 

概要は青い日記帳さんのブログが詳しい。

bluediary2.jugem.jp

 

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建築がテーマの展示だけれど、パナソニック留美術館の空間を考えると、たぶんテキストの多い展示なんだろうなー......と思って行ったらやっぱりそうだった。
近年珍しいほどテキスト解説パネルが多くて、あまり頭に入ってこなかった。

すぐにこれは無理だと諦めて、興味があるところだけ端折って読んだ。建築のお仕事の人や、研究者にはおもしろいのかもしれない。

もう少し展示方法や鑑賞への架け橋として工夫がほしかった。
せめて7月にライブ配信されていた学芸員さんによるオンラインギャラリートークを会期中だけはアクセス可能にしておくとか、企業運営の美術館なのだから柔軟にやってほしい。(いや、だから難しいのかな)


一つひとつは興味深かった。

室内の設計にまつわるドローイングやスケッチが特によかった。紙にインクと水彩で描いているもの。

 
 
 
 
 
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鑑賞メモ

・サーリネンが1923年に49歳で家族とアメリカへ移住するまでの、フィンランド時代の仕事を紹介する展覧会。

・入ってすぐのカレワラ(本)と挿絵の展示。画家アクセリ・ガレン=カレラの版画による挿絵が印象的。これをもっとたくさん見たい。

・1900年の第5回パリ万博。フィンランド館の設計に、ゲセリウス・リンドグレン・サーリネン建築設計事務所が携わっている。模型とCG映像の展示がある。ディズニーアニメーションに出てくるお城のよう。中欧の人たちにとってのフィンランドのこういった文化はどのように受け止められていたんだろう。近いけど、似ているけれどちょっと違うエキゾチックなものとして? 

・世界のいくつかの国々のパビリオンがパリの街中に点在しているようすが、地図の展示で示されている。実際に街中に建築されている。すごいな、国をあげての一大イベントだったんだな。今でいえばオリンピックみたいなものなのか。でもフランス以外の国のパビリオンはあれだけのものを建設して、半年展示したあとあっさりバラすから、ものすごく贅沢な祭典。

・パリ万博については美術史や人物伝や展覧会でしょっちゅう出てくるが断片的にしかまだ知らない。映画『ディリリとパリの時間旅行』の冒頭で、ニューカレドニアからやってきたディリリが、万博の「植民地村」で見世物に出演するシーンが出てくる。ああいう時代だ。そして、日本館も出展していたが、この植民地村に近いエリアでの出展で、独立国としての扱いを受けていたなかった模様。(ここはもう少し調べたい)

1906年に既に女性の参政権を認める国民議会が発足している。フィンランドはいつも先進的なのか。サーリネンの妻のロヤも、フィンランドで美術学校に通ったあとパリに留学して彫刻を学び、帰国後はテキスタイルデザインや室内装飾の面でサーリネンと仕事をしていたとある。

1906年普通選挙が実施されたのを機に国会議事堂も建設する計画があり、サーリネンも携わっていたが、当時のロシア皇帝が「豪華すぎる」と許可せず。1931年、独立して14年後に別のフィンランド人建築家の手でようやく実現する。

ダイニングルームの再現のコーナーよかった。子供部屋や寝室の写真の展示もあって、サーリネン邸の様子がわずかに伝わってくる。

ヘルシンキ中央駅もサーリネンの設計。旅行に行ったら必ず通るだろう。行ってみたい。



フィンランドの工芸や絵画、建築、ファッションは、どれも全体的に透明感があって、シックでモダンで居心地がいい。目にも優しい。

フィンランドへの興味がまた生まれてきたところなので、今回は図録ではなく、フィンランドをデザインの面で俯瞰できるこちらを購入。

『フィンランド・デザインの原点 くらしによりそう芸術』橋本優子/著(東京美術, 2017年)

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2017年のフィンランド独立100周年記念展示「Universal Nature」。鴻池朋子さんの作品を観たくて行ったのだけど、このときに初めてフィンランドが独立してまだ100年の新しい国だということを知った。

lifte.jp

 

この民族大叙事詩カレワラは、単なる昔話や伝承をまとめたものというだけでなく、「神話」の形で創造的に著すことで、民族(フィン人)のアイデンティティフィンランドロシア帝国からの独立に大きな影響を与えようとしたという背景がある、らしい。

1835年に本として出版(1849年に全般が出版)なので、比較的新しい動き。

 

『カレワラ物語 フィンランドの神々』小泉 保ほか/著 (岩波書店, 2008年)

国産み神話にも胎生と卵生があるらしいことを知った。



とにかく今回はあれだね、ポスタービジュアルがめちゃくちゃきれいだったね。一番の動機としては、この感じを浴びに来たかったんだな、わたしは。

チラシを広げたらそのままポスターとして飾れるよ。すてき。

 

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これをデザインした人誰なんだろう。調べたけどわからなかった。

明治のTHE chocolateのパッケージも思い出して調べたけど、そちらは明治のインハウスデザイナーさんの仕事だった。(名前はわからない)

 

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