東京藝術大学で開催されていた《再演―指示とその手順》を観に行った。
2021/8/31-9/26 https://taira.geidai.ac.jp/archives/projects/6
この方のツイートを見てふらっと行ってみました。
東京藝大美術館「再演─指示とその手順」展めっちゃくちゃ面白かったです!!!
— 黒あんず (@blackanzoec) 2021年9月11日
美術品であるモノを展示することはモノの劣化と向き合わざるを得ないわけだけど、〈指示書〉が展示の〈再現〉を可能にする。では作品の同一性とはどこにあるのか?非常に刺激的な展示でした。無料で9/26まで。おすすめ。 pic.twitter.com/MGo75T6Dvj
ツイートでも書かれていた、「ネズミの壺」の話にやっぱりギョッとなった。
Georg & Matthias Tremmelの《Resist/Refuse》のコンセプトの中にある、太平洋戦争中に陶芸家たちが日本軍にネズミが入る大きさの壺を作るよう指示されたという話がショックだった…。ペスト菌を持ったネズミ、つまり生物兵器を運ぶための壺。死と絶望をもたらす壺。それを現代から逆に再構成する。 pic.twitter.com/Dour9RDa6C
— 黒あんず (@blackanzoec) 2021年9月11日
〈指示書〉とは作者が自分の意図通りに展示するためのものだけではない。蒔絵の手板にせよ、山田鬼斎の楠公像にせよ、描かれた絵を立体に起こす…あるいは技術を継承するためにフィールドを横断する〈言語〉として近代以前から存在している。とても勉強になったし、面白かった。 pic.twitter.com/wSeno5M7sf
— 黒あんず (@blackanzoec) 2021年9月11日
生物系のインスタレーションはそもそも一回限りのパフォーマンスで同じ展示にはならないし、技術の刷新をどのレベルまで受け入れるかという話もある。数百年前の指示書通りに組み立てても、現代の思想から再構築すればまったく別のものに変容する。特にポストコロニアル的な発想の作品が多かった。 pic.twitter.com/ypgg8QrCdG
— 黒あんず (@blackanzoec) 2021年9月11日
展覧会の紹介と感想をこんなふうに的確に書けたらいいのに......!と思うツイートだった。黒あんずさん、面識はないですが、ご紹介ありがとうございました。
再演するための機器なども型式が古くなっていくとき、どう代替するかや、そもそも代替を作者が許可するか。
作者がどこまで同一性にこだわるかによって展示が変わる。
作者に確認が取れなくなったらどうするか?(「死亡したら同一性は放棄する」というアーティストもいた)
わたしの領域で言えば、ワークショップも手順書を作るときなどもある。これも一つの指示書/インストラクション。そこにコピーライトは発生するのか、どうなると発生するのか、発生させることは可能なのか?
講師養成講座みたいなものも、ある種再演、再現みたいなところもあるのか?
前々から謎に感じている、「寺にあるときは拝む対象なのに、ミュージアムに来たら美術工芸品になる件」と今回のテーマとは関係がありそう。
サグラダ・ファミリアはガウディ「作」とは言えないという話を思い出したり......。
いろいろインスピレーションが湧く展示だった。
これから美術館やギャラリーの展示に行ったら、「これも指示書に含まれているのかな?」と思うことが増えそうだ。その視点での発見も多そう。
ニコニコ美術館で解説動画が配信されていたらしいが、気づいたら公開期間が終了していた。おもしろいけれど、難解でもあったので、お話として聞きたかったな、残念。