ひととび〜人と美の表現活動研究室

他者の表現にふれることから、自分の中にある美の感覚にもふれてみる、自分の美を表現してみる。みんなで探究する鑑賞の場づくりを通して考えることなど。

『誰もボクを見ていない』読書記録

『誰もボクを見ていない』山寺香(ポプラ社, 2017年)


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なぜ17歳の少年は祖父母を殺害したのか。
2014年に埼玉県川口市で起きた事件を追った毎日新聞記者によるルポルタージュ

忘れられない事件。この本もずっと気になっていて、ようやく読めた。『プリズン・サークル』で2回目の対話の場を開いたおかげだと思う。

 

一気に読んだ。
事件の報道から知ったことより、もっと複雑で深刻な背景があった。

少年のことを気にかけている大人もいた。けれど様々な理由で少年には届かなかった。狭間へすべり落ちていってしまった。事件がなければどう状況を変えられたのかわからなかった、というほどに当人が追い詰められていたにもかかわらず。

養育者が課題を抱えているとき、親子関係が健全でないとき、他人がどう介入できるのか。答えは一つではないけれど、既に「あの時どうすればよかったのか」と迷い、「助けられなかった」と悔いる経験を幾つもしている身として、やはり第三者介入、バイスタンダーとしての具体的行動を学ばねばと思う。

まずは10月中に一つ予定を入れた。
「まずはここまで考えた」を少しずつ積み重ねる。具体的に起きたときに身体が動く準備をし続ける。シェアする。鑑賞対話を通して知る機会をつくる。

また、最終章での支援者による解決策の提起として、「データベース化」があったが、そういった公的支援の動きも注視していきたい。


元少年が出所する日、社会はどのような姿になって目の前に現れるのか、考えている。

 

それから、「償いとは」「反省とは」と、ピンときていない様子に、『プリズン・サークル』の人たちの語りが重なる。あのような語り直しの場にこの人もいる必要がある。