ひととび〜人と美の表現活動研究室

他者の表現にふれることから、自分の中にある美の感覚にもふれてみる、自分の美を表現してみる。みんなで探究する鑑賞の場づくりを通して考えることなど。

本『祝祭と予感』読書記録

『祝祭と予感』恩田陸/著(幻冬社)を読んだ記録。

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蜜蜂と遠雷』のスピンオフ短編小説集。

本編が二段組500ページ超えだったけれど、こちらは会話メインの一段で186ページ。短編が6本。気楽に読めた。

ナサニエルと三枝子の出会い、ホフマンと塵との出会い、コンクール課題曲《春と修羅》誕生の過程などのサイドストーリー。『蜜蜂と遠雷』の世界が再び立ち上がってくる。

映画の公開が2019年10月か。このくらい時間が経っていると、熱も引いて落ち着いて読める。実際、本編でも、コンクールの緊張から解き放たれた登場人物たちがのびのびと生きている。国を越えて縦横無尽に行き来する姿も、コロナ下の暮らしには眩しい。

 


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蜜蜂と遠雷』の単行本は、映画公開時に図書館で借りて読んだ。その後リサイクルコーナーに置かれているのを見つけて、ついレスキューしてしまった。本を開けばいつでもあの世界に飛び込めるのはうれしい。夢中で一気読みした時間が蘇る。そういえば、これを行きつけのカフェで読んでいたとき、私の後ろに座っていたお客さんも読んでいて、思わず、「今、どのへん(を読んでるん)ですか?」と声をかけてしまった。分厚い本を読んでいると勝手に「同志」という感じがしてくる。

 

コミック版も最近古本屋で見つけて読んだ。漫画にしかできない形で、あの世界観を補完してくれる。これもまたよい。1巻が出ただけで止まっている。続き、待ってます。

 

私は小さい頃にピアノを習っていたが、辛くて小学校の5年生か6年生の頃にやめてしまった。母は自分が幼少期にピアノを習いたかったのだが、家計が許さなかった。そこで自分の子たちに夢を託したわけなのだが、残念ながら私はその願いに報いることはできなかった。ごめんなさい。戦中、戦後生まれの親を持つ人は当時はそういうことよくあったと思う。

それでも実家に帰るたびにピアノに触ったりはしていたが、まだ小さい頃の苦手意識が強くて、「好き」というまでにはいかなかった。

本格的に再会したのは、2014年公開のイーサン・ホークの『シーモアさんと、大人のための人生入門』だった。やっぱりピアノっていいなぁと思った。珍しくDVDも買った。その後の、この『蜜蜂と遠雷』は音に言葉を与えてもらえて、もっとぐっと近づいていけた。

結局私は映画だの本だのから影響を受けることが多い。(ありがたい)

 

そういえば最近、小学生の頃に習っていたピアノの先生の息子さんと電話で話した。ピアノではなくバイオリンの道に進まれて、ドイツで長く活動していた。たまたま20年前にフランクフルトの空港で会ったこともあった。今は日本に戻って大学で教鞭をとっているとのこと。

音楽と楽器と人間。自分のあれこれも思い出しながら読める物語でもある。

 

  

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 2020年12月著書(共著)を出版しました。

『きみがつくる きみがみつける 社会のトリセツ』(三恵社