東京都庭園美術館で『奇想のモード -装うことの狂気、またはシュルレアリスム』展を観た記録。
庭園美術館の展覧会は、建物の空間や歴史、ここの地場ごとテーマを味わいに来ているところがある。今回もまさにそんな感じ。
奇抜だけでなく、怖い、キモい、もあり。
一人じゃなくてよかった。
これが例えば国立民族学博物館で部族の伝統的な装飾品として展示されていればなんの違和感もないのに、ジュエリーやファッションの文脈で配置されると気持ち悪さが生まれるのはなぜだろう。
なんでこれを身につけるものや飾るものにするのか……と首をかしげるものも多い。けれど時代が違えばこれが常識になるわけで。私達の今も、いつかの時代から見れば「奇想」。同時代でも「ところ」が変わればそうかも。
結局、人間あんまり変わっていない。
好奇心と呼んでもいいわけだもんね、これらを。
ここからはどうなっていくのか。
好奇心、探求心、創作意欲と倫理や持続可能性をどう抱えていくのか。現代作家の作品などを見てみても思う。
たまたま前日に見た日曜美術館「ピカソのゲルニカ」とも符合する部分がある。
ピカソの時代、伝統的価値観や社会の構造を壊すために、文脈を切断し、配置を変え、違和感から世界を再構築を目指したムーブメント。そのあとにやってきたのは、世界のほうの崩壊だった。戦争で世界は崩壊した。そこからピカソは《ゲルニカ》という方法で再構築を試みた。
気温は低いながらも、春の気配がしていた。
ここに来ると季節を感じやすい。
ああ、そうか、ここに観にくるのは、展覧会に関心があるのもそうだけど、季節の移り変わりも楽しみにしているのだな。
髪の毛のコーナーもなかなかの……。亡くなった人を偲んで髪をブローチに閉じ込めたり。自分が今髪を伸ばしているので、「髪にパワーが宿る」という信仰にはなにかリアリティがあった。
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2020年12月著書(共著)を出版しました。
『きみがつくる きみがみつける 社会のトリセツ』(三恵社)