2021年11月、東京国立博物館で『最澄と天台宗のすべて』展を観た記録。
会期終了間際に滑り込み。
あれこれ締め切りに追われていて観に行っている場合ではなかったのだが、自分のルーツに関係する滋賀、比叡山、最澄だからもう行くしかない。
とはいえ、近すぎてちゃんとは知らなかった最澄のこと、天台宗の成り立ちと広がりのことが、ざっくりと理解できた。
鑑賞メモ
・最澄が開祖の天台宗は『法華経』に、最澄が中国で学んだ密教、禅、大乗戒を取り入れたもの。
・最澄に影響を与えたのは、中国・隋時代の智顗(ちぎ)の仏教理念「『法華経』こそが完全円満な究極の教え(円教:えんぎょう)」で、天台という宗派はもともとここが起源。
・釈迦の教え、数ある大乗仏教の経典の一つである『法華経』は、聖徳太子の時代に日本に伝来した。その特徴は、「悟りに向かう道はすべての人にひらかれており、すべての生き物に仏になる素質があり、それが理想的な社会」とされている点。悟りを得られる者は限られているとする、当時の奈良・平城京で栄えた南部仏教と大きな違いがある点を最澄が支持した。
・生まれ変わり説:智顗の師・慧思(えし)の生まれ変わりが聖徳太子という伝説があり、智顗も死の間際に「生まれ変わりが出る、それは海を隔てた国に起こる」と予言した。最澄は智顗の生まれ変わりという伝説も生まれた。
・伝教大師(でんぎょうだいし)の示す「教え」とは「正しい仏教」「総合的な仏教」のこと?
・延暦寺の宝物、「勅封唐櫃」。4年に一度、改められている。明治維新で一時期途絶えたものの、大隈重信の働きかけて復活。こうした儀式が今も連綿と続いていることに驚く。
・金剛界曼荼羅図。天台宗と真言宗の曼荼羅に違いはあるのだろうか?
・相応和尚像(延暦寺):千日回峰行の創始。この人があれを!お告げによってはじめてしまうの、ヤバいのと紙一重なのか、凡人にはわからないところがある。
現代も続く千日回峰行。過酷すぎる。。
・安然がまとめた「諸阿闍梨真言密教部類惣録」(京都 青蓮院):日本に伝わる密教関連の書物の目録。いつの世にもアーカイバーはいる!
・東京にも寛永寺、浅草寺(1949年まで)、深大寺など、天台宗にゆかりの大きなお寺がある。
・比叡山根本中堂で1,200年灯され続けていると言われる不滅の宝灯(ふめつのほうとう)。信長の焼き討ちにあったときに一度消えたときは、分灯していた山形の立石寺(閑けさや)から戻してもらったそう。ほんまかいなと思うけれども、いずれにしてもそういうこととして連綿と続いているところがスゴイ。
一昨年からこういう催しをやっていたらしい。
詳しいことはこのページにてんこ盛り。
じっくり観ていたので、第2会場の仏像群は駆け足になってしまった。2時間では足りなかった。やはり東京国立博物館は3時間は確保しないとな。双眼鏡も持っていくのを忘れてしまったし。
漫画『阿・吽』読み返したい & 続きを読みたい。
クリアーファイルコレクションに新規所蔵。うつくし。
後日談。この展示に行ったあと、トーハクの友の会の会員証を失くしたことに気づいた。7,000円もするんだけど(特別展のチケット3枚付ではあるが)、紛失しても再発行はしてくれないそう。
でも落とし物係の方はとても丁寧に探してくださって、申し訳なさそうであったので、それでちょっと救われた。
また、この展示を観た3日後に、比叡山延暦寺に行くことになった。
なんという幸運!
たまたま連れて行ってもらった山科の毘沙門堂も天台宗のお寺だった。
http://bishamon.or.jp/
琵琶湖疎水。観光用のボートも運行している。
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