『世紀をこえる煉瓦の棟』鑑賞記録。
訪れる度に建物を堪能してはいるけれど、こうして一つひとつ解説してもらいながら(展示、パンフレットに)見るのもよい。
展示会の小冊子はPDFで上記ページからダウンロード可能できます。
全体の計画は今よりももっと大きかったそう。
1899(明治32)年の当初の計画案では、地下1階、地上3階建、中庭を囲む口の字形。1906年(明治39年)の開館時と1929年(昭和4年)の増築工事とでようやく1期工事が完了。ここで予算不足のため施工も終了。
もし出来上がっていたらどんな姿だったんだろう。日本銀行みたいな感じ?
古い建築は復元と耐震を両立しなければならない。その工夫も展示されていた。
外から耐震装置をつけると美観を損なうので、土台に免震装置を入れている。レトロな建物からは想像がつかない。
1Fの「世界を知る部屋」のシャンデリアが下がっている天井中央部は、漆喰で装飾する鏝絵(こてえ)が施されていて、現代の左官職人が技術を発揮している。
最近、大分の鏝絵のことを調べている人から詳しい話を聞いたばかりで、こんな本も買ったところだった。タイムリー!
今回は帝国図書館を訪問したり、調べ物のために通ったり、作品に登場させたりしていた文学者の紹介もあった。
芥川龍之介、宮沢賢治、夏目漱石、田山花袋、菊池寛、和辻哲郎、樋口一葉、吉谷信子、宮本百合子など。
江戸川乱歩は、『吸血鬼』の中で、誘拐された子どもの身代金の受け渡し場所に帝国図書館の裏手を指定したり。幸田露伴と淡島寒月は顔見知りになったり。
100年以上前は、ここは女性は閲覧室が分かれていたり、そもそも利用にお金が要ったそう。学生や知識階級の利用が主で、庶民が来るところではなかったのだろうねぇ。まして子どもなんていなかったろう。
帝国図書館の歴史はぜひこちらで! 隣接している町、谷中・根津・千駄木のこともちょいちょい出てきます。
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共著書『きみがつくる きみがみつける 社会のトリセツ』(三恵社, 2020年)