新国立劇場の賛助会員向けの直前稽古見学会にお誘いいただき、観てきた記録。
稽古とはいえゲネプロなので、基本中断はなく、本公演の通りに進む。ただ、本公演ではないので、完全に仕上がっているわけではない、そこを念頭に置いて見てね、という事前通知がある。はい、了解です。
『不思議の国のアリス』ってあらすじはざっくりで、細部が荒唐無稽なのに(だから?)めちゃくちゃ怖いシーンの連続という印象がある。どんな舞台なんだろうと楽しみだった。
直前に送ってもらったインタビューを行きの電車の中で確認。
舞台は可愛さと皮肉とグロさが盛り盛りでとにかく観ていて楽しい、飽きない。映画『デリカテッセン』や『コックと泥棒、その妻と愛人』を思い出す。
あっちでもこっちでも小芝居が繰り広げられていて、目や耳にノイズが走る。物語世界のあの混乱した感じが五感に訴えかけつつ、スタイリッシュに表現されていて、たまらない。
踊りはバレエだけでなくタップダンスもある!衣装、映像、道具類も目が楽しい、興奮。
音楽がまたこんな音初めて聞いたな!という体験の連続で、特に打楽器が大活躍。さぞかし張り切っているんだろうと思ったら、打楽器だけで43種類使っているとか。この常ならぬ感じがもう異次元、異世界だった。
ハートの女王は、ドレス型のカートに乗っていて、下半身固定されて囚われている風なのがサンリオピューロランドのショウで見た夜の女王(だっけ?)に似ていたが、彼女のように弱さを見せることはなく、あっさりカートから出てきて、最後まで暴腕ふるいまくりなのが痛快だった。
トランプの群舞やキレがあって見ていて気持ちいいし、衣装!それはすごい発明!と思った。公式ページのバナービジュアルに設定されているので、ぜひご覧いただきたい。
アリスは三幕ガッツリ出ずっぱりでキツそうだけれど、もちろんそんなことはおくびにも出さず、悪夢のワンダーランドを軽やかに案内してくれる。
会員向けの見学会なので客席はずいぶん少なくキープされているのだけれど、本公演に負けずとも劣らぬ盛り上がりっぷりで、期待の高さを感じさせた。むしろ熱烈に新国バレエを応援している人に混ざれて、私は個人的によかった。ありがたし。
こんな展覧会もまもなく開催される。アリスってそういえばなんなんだろう? 当たり前にあるもの、でもよく知らない。灯台下暗し。ちょっと気になってきた。
不思議の国のアリスがなければ、こういうPVもなかったかもしれない。
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共著書『きみがつくる きみがみつける 社会のトリセツ』(三恵社, 2020年)