1872年に大津県膳所中ノ庄村(現、滋賀県大津市)に生まれた山元春挙は、近代京都画壇を代表する画家のひとりです。円山四条派の伝統を踏まえながらも力強く壮大な画風を創始し、明治、大正、昭和の画壇で華々しく活躍しました。特に、当時としては珍しい、カメラを活用した取材から生み出された風景表現は、春挙芸術の真髄と言えるでしょう。生誕150年を記念する本展では、館蔵作品のほか各地の春挙の代表作を紹介し、その画業を一望します。(滋賀県立美術館ウェブサイトより)
滋賀県立美術館はリニューアル後に初めて訪問した。というか、前回は2008年の「アール・ブリュット〜abcdコレクション」だから……14年ぶり?なんと時間の経つのの早いことよ。
山元春挙、滋賀の大津にこんな画家がいたとは知らなかった。
写真や油彩なども採り入れて新しい技法を試している人なので、古典的な画題であっても今の時代にしっくりくるのかも。ロッキー山脈を日本画で描いているのはカッコよかった。吉田博もアメリカの山脈を思い出す。しかも意外と同年代。
今回知って驚いたのが、ポール・クローデルが1926年に膳所にある春挙の別荘を訪問していたこと。
ポール・クローデルは、カミーユ・クローデルの弟。詩人で劇作家で外交官。1921年〜1927年はフランス大使として日本にいた。外交官として最も昇進し、日本でキャリアの最後を過ごしていた。
それはちょうどカミーユを精神病院に入院させた直後の時期。男たちは歴史の表舞台で伸び伸びと活躍し、女たちは才能を生前は十分に(男によって!)認められることもなく葬られた。なんとも言えん。。
膳所の別荘「蘆花浅水荘」は見学可とのこと。琵琶湖畔の別荘なんて最高だな。今はごちゃごちゃしているのかもしれないけど。見てみたい。
河野沙也子さんの漫画冊子もいただいた。るんるん♪
河野沙也子の「漫画で紹介、先輩画家」 第6回 山元春挙
— 美術展ナビ (@art_ex_japan) 2022年4月23日
お待ちかね河野さん @aaoaao5 の連載です。滋賀県立美術館で回顧展の始まった京都画壇の巨匠。画風のとおり、進取の気性に富んだユニークな人だったようです。展覧会もぜひ! https://t.co/3uKg269Qju
屋外は新緑、屋内も新緑。
展示室内のベンチに座って、屏風に広がる海の青を眺めるのが最高だった。近づいたり、遠ざかったり、じっくり観ていて、時間の経つのを忘れた。
ここは常設展もとてもよい。安田靫彦の《額田女王》があるのよ。大津出身の小倉遊亀も開館時に22点も寄贈していたり。ロイ・リキテンスタイン、カンディンスキー、ジャクソン・ポロック、サム・フランシス、私にとって美術鑑賞の土台を作ってくれた大切な場所。
リニューアルはしたが、「らしさ」はちっとも変わっていなくてうれしい。
栖鳳とは京都画壇での付き合い、玉堂とは昭和天皇大嘗祭のための悠紀主基地方風俗歌屏風の相方。主基の福岡を春挙が担当、悠紀の滋賀を玉堂が担当。春挙は滋賀の人なのにね?
春挙の弟子、小早川秋聲展の鑑賞記録。ここ数年辿ってきた画家たちの関係がつぎつぎに繋がる。
*追記* 2022.7.16
_________________________________🖋
鑑賞対話の場づくり相談、ファシリテーション、ワークショップ企画等のお仕事を承っております。
WEB STORE
共著書『きみがつくる きみがみつける 社会のトリセツ』(三恵社, 2020年)