自分では手に負えない問題がある、関係者と話していてもどうにも進まない・話し合いにならない・話し合いが持てない、、などのとき、カウンセリングを利用するということを覚えたのは、わたしの人生にとって大きなことでした。
それによって道がひらけて、今のわたしがあるといっても過言ではありません。
先日読んだカウンセラーの信田さよ子さんの「傷つく人、傷つける人」(ホーム社)という著書の序章「カウンセリングってどんなもの?」が、カウンセリングを利用したことがない人向けの説明になっていて、とてもわかりやすかったので、引用します。
読者のみなさんはカウンセリングにどんなイメージを持っていますか。精神科・診療内科などのクリニック受診とどこが違うかをご存知でしょうか。
本書では最初にそのことを説明しておきましょう。
寒気がして熱っぽいときは薬を飲む、検温して三八度以上あれば近所の内科医を受診する。このように体が不調のときは医療機関を利用します。
では職場で問題が起きている、同僚とうまくいかない、上司の叱責に深く傷つき仕事に行きたくない、といった状態になったときはどうしますか。
あるいは過程で、夫から暴言を吐かれ続け苦しくてたまらない、結婚しえtから実家の母親のことがうとましく思え会いたくなくなった、自分は人間としてどうなのだろうと考えると苦しくなってしまう......。
こんなとき、だれに、どこに、相談したらいいのでしょう。
自分のことばかりでなく、ときには家族の問題で苦しむこともあります。父親のアルコールの飲み方、弟が引きこもってゲームばかりしている、母親がカードで高額の買い物をし、消費者金融からの借金が発覚して父に暴力をふるわれている、こんなとき、どうしたらいいのでしょう。
そんな人たちに対して「カウンセリングに行く」という道があることは、意外に知られていません。
(このあとは医療機関とは異なる相談機関としてのカウンセリングについての説明が続きます)
信田さよ子さんの原宿カウンセリングセンターの場合、たとえばこんなテーマを扱っているそう。
- 夫婦関係、親子関係、その他の家族関係
- 職場の人間関係、学校人間関係、恋人関係、その他の人間関係
- ED(摂食障害)、AC(アダルト・チルドレン)、共依存
- DV加害者、DV被害者
- 親への暴力被害者、親への暴力加害者、虐待加害者、虐待被害者
- 子育ての悩み、不登校、引きこもり、うつ、自傷、アルコール問題、薬物依存、ギャンブル、借金・浪費、PTSD、性被害、性加害、生き方、、
(わたし自身は原宿カウンセリングセンターに行ったことがないので、推薦しているわけではありませんが、信田さんの著書は何冊も読んでいます)
それから、友人でカウンセラーの高橋ライチさんの扱うテーマの一部はこんな感じ。
人生全般
- 人生の目的
- ライフワーク人生設計
対人関係
- 親との関係
- 子どもとの関係
- 夫婦関係
- 家族の問題
- 対人全般
パートナーシップ
- 恋愛不全・恋愛依存
- セックスレス
- セックスが苦手
- 自分の女性性を受け入れる・楽しむ
- 不倫問題
- 離婚・離婚後の自己回復
生活
- 家事のストレス
- 食・睡眠・運動など
- 生活習慣の改善
仕事
- 仕事の悩み
- 仕事のブレストや企画、進行管理など頭の整理
- 仕事・趣味・勉強などの目標達成
- 仕事と家庭のバランス
内面
- 性格・欠点・陥りがちなパターンを変える
- 自己肯定感をあげたい
- 怖いもの・苦手の克服
- コンプレックスを手放す
- 過去のトラウマを癒す
「自分の悩みはそこまで名前がつくものではないけれども、何かモヤモヤが晴れない」「いつも同じパターンに陥ってしまって苦しい」「友人にも相談できない・してもどうにもならなかった・むしろ傷ついて悩みが深くなった」というようなときは、その話が、友情から親身に聴いてもらえる範囲を超えているのかもしれません。
聴くや課題解決のトレーニングを積んだり知識を持っていない人は、望まないアドバイスや励ましや願望の押し付けをしてしまう場合もあるし、「重い話」だと聴く方も話す方も心理的負担になることがある。いつも同じ話を聞かせて申し訳ない、という気分になることもあるかも。
仮にトレーニングしていて知識をもっている人でも、友人が相手だとどうしても「なんとかしてあげたい」と思ってしまうかもしれない。
もちろんカウンセラーも人間なので、相性の合う合わないがあります。
「よきカウンセラーに出会えることは人生の宝」と言ってもいいぐらいだと思っています。
感情的な安全性のある中で本当に思っていることを話せるって大切なことです。
ずれるかもしれないけれど、少し広げると、専門家とは、そのテーマで世界を見渡し、収集して経験して蓄積して、仮説と検証を日々繰り返して感性を磨いているので、見通しがつけられ助言ができる人である、とわたしは思っています。
そして相手の話だけを集中して聴く、全部の自分をつかって聴くというのは、会話とは違って不自然な状態です。その「不自然な」聴く器としての機能を一定時間、来談者のためだけに確保する約束ができ、実行できるというのは、やはり専門家やプロ、お仕事として聴く人なのではないかなぁと思います。
専門家に「それはよくあることです」とか「それにはこのような名前がついています」と言ってもらえることで、安堵するということはある。「わたしだけじゃないんだ、わたしが悪いんじゃないんだ」ということが救いになることも。
深い悩みを持っているけれども誰にも相談できず、孤立してしまい、本当は望まないほうへ足を踏み出してしまったり、そこから抜けられなくて苦しんでいる人の話を見聞きするにつけ、「カウンセリングがもっと身近になるといい」とつくづく思うので、書いてみました。
カウンセリング以外の人と人とのつながりの中で解決されていくのであれば、それはそれでよいし。でもそれがない場合にはカウンセリングがあるよ、と言いたいです。
なんとかつながって、そして生き延びてほしい。
あなたには力があるから。
生きることが祝福されているから。
★小学生以下のお子さんがいるお母さんの人には、20分オンラインで無料で聴いてもらえるリスニングママ・プロジェクトをどうぞ。わたしが個人的に応援しているプロジェクトです。
★原宿カウンセリングセンターは性別問わずです。