ひととび 〜人と美の表現活動研究室

観ることの記録。作品が社会に与える影響、観ることが個人の人生に与える影響について考えています。

〈レポート〉トロールの森2023 アート鑑賞ツアー(2023/11/11)

11月11日(土)午後、杉並区立今川図書館主催、トロールの森 善福寺公園(野外アート展)のアートツアーを開催しました。

前日の雨、そして当日朝の強風にハラハラしましたが、なんとか最後までお天気も持ちました。しかし寒かった!

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曇天と寒さのせいか、公園には人もまばらで、ツアーの一行はのびのびと歩かせていただきました。前の週に下見に来たときは晴れていて暖かかったので、真逆のお天気です。天候が違うと受ける印象が違います。光による見え方、風による揺れ、自分の身体の動きやすさなど。

気づいたのは前回来たときから鑑賞者が少しずつ触ったり、アーティストが仕様変更したりして、作品の形状に変化があったこと。こういう展示はやはり日を変えてくるのがおもしろいです。それらの変化も今回のテーマ〈まことはまやかし、まやかしはまこと〉に沿っているように感じられます。

「アートツアー」と聞くと、アートの知識がないと難しいのかと思われるかもしれませんが、あれはなんだろう、これは不思議、あれに似ているなどなど、気がついたことをお散歩しながらどんどん話してもらうシンプルな内容です。屋内の美術館と違って、あれこれ普通のボリュームでしゃべりながら見られるのも屋外展示の良さです。

ちょうど飛んできたカモが着水するところも見られて、そのカッコよさに思わず歓声が上がりました。スズメバチに遭遇したり、どんぐりを拾ったり、枯れ葉をガサガサさせたり、自然にも親しみました。

1時間ちょっとかけて池の外周を歩き、スタート地点に戻り、最後にみなさんから感想をいただきました。
 ・身体を使って体験できる作品がインパクトがあった
 ・美術館に置いてあるのと全然違う感じがする
 ・いろんな作品があって、なんだかいろいろでいいんだなと思った
 ・晴れた日にまた来てみたい

トロールの森は今年で22年目を迎えるアートイベントなのですが、地元の方でも知らない人の多い不思議な存在。あまりにもまちや公園の日常の風景にしっくり馴染んでいるからかもしれません。

日常の延長で出会えるアート。西荻窪のまちなかの展示もあります。11/23(木祝)までにぜひお運びください。

trollsinthepark.com

 

ファシリテーターのふりかえり

・図書館のほうでチラシを作ってくださったのですが、お誘いの文言「お散歩+会話×アート鑑賞」が明るい感じでとてもよかったです。

「アートの知識不要」ともっとはっきり入れればよかったかも?「アート」と聞いて心理的なハードルの高さを感じた方もいたかもしれません。ただ、図書館のほうで工夫はたくさんしてくださっていて、表面に「わいわい話ながら歩いて回るツアーです」、チラシ裏面に「作品の解説を聞くのではなく、参加した人それぞれが作品を見て感じたことや思ったことを伝え合います」となっていたので、伝わっていたと思います。

・今回のコラボレーションを通して、あらためて図書館主催イベントの大切さに気づきました。ちょっと長いですが、考えたことを以下にメモしておきます。

図書館にとってイベントは、図書館スタッフが利用者さんを知る機会です。地域にある施設として、地域にいる人たち会って直接ニーズに触れられます。一見図書館と関係なさそうな活動も運営のアイディアにつながってくるのではないかと想像します。

イベントはまた利用者さん同士がゆるやかに交流する機会を作り出すことでもあります。むしろこちらが主眼ですね。お互いにどんなことに興味を持っていたり、どんなふうに違っているかを知る機会になります。一人ひとりの人と出会っている実感があります。「一つの設定された場で出会う」というのは、「ただ同じ場所を利用している」ということとはまた違う作用があります。それをさらに館外で実施するということで、発見がありそうです。

利用者の側からは、図書館イベントの多くが基本は無料で参加でき、初心者向けの場が多くてハードルが低いことがやはり魅力です。自分では企画できないことをやってもらえるのはありがたいです。

さらに図書館は地域にずっとあって、地域の歴史も知っている(アーカイブされている)から、答えてもらえることが多いし、地域の資源とつないだり、資料と接続しているからその先を知りたいと思ったら提案もしてもらえます。それもカウンターで差し向かいで話すのとはまた違って、一緒に何かをする行為を通じてだったり、おしゃべりの中から発展していくのがよいですよね。

こうしたことから、図書館主催イベントは図書館も地域も利用者も、お互いの新しい側面や可能性が掘り起こされる機会になります。こういったことは日々のレファレンスや、そこまでいかなくてもちょっとした質問の中でも小さく起きていると思いますが、「企画して行う」というのは能動的なアクションなので、お互いにいつもと違うことが起きているのだろうと思います。わたしのように外部から来る人とのコラボでもひらかれるところがあるでしょう。

打ち合わせにうかがったときに見学させていただいた、小学生の人たちに図書館の使い方をガイドするツアーのことも思い出しながら、イベント一つひとつは小さくても、このような営みをコツコツとやり続けることが大切であることや、「投資とリターン」のようなわかりやすい指標では測れない、しかし長い目で見たときに本当に利用者さんや市民にとって大切な体験になっていることを思いました。自分の人生を振り返っても本当にそうだと思います。

わたしも自分の仕事をコツコツ続けていこうと思ったツアーでした。

ご参加くださった方、オファーくださりサポートしてくださった図書館の皆さま、ありがとうございました!

今川図書館のインスタグラム @imagawalib

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下見のときの写真。


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