ひととび 〜人と美の表現活動研究室

観ることの記録。作品が社会に与える影響、観ることが個人の人生に与える影響について考えています。

自由ってなに?人間はみんな自由って、ほんとう?

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とってもフランスらしい、子ども向け哲学の本。

岩崎書店の哲学さんぽのシリーズ

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学校の道徳の時間やめて、哲学にしたらどうかな、と常々思っているのだけど、こういう本読むと、子どもの頃から哲学ができる場がつくりたいなぁとますます思う。

父方の祖母が「頭の中のことは誰にも盗めない。だから勉強して賢くなれ」と言い、父が「とにかく本を読め。本を読むことさえできれば、生きていける」と言っていたのは、たぶんこういうことが底にあったんだと思う。


著者のことば。

"考える自由があるときこそ、人は自由でいられる。それは人間のもつ自由の権利を守り、またじっさいに自由でいられるようにしてくれるのだ。"
"だが、心の自由は二重の意味でおびやかされている。まずは、ふとしたときに人が自分で考えるのをやめてしまう、もしくは考えるのをじゃまされる場合だ。そうなると、ほかのだれの意志や考えにのみこまれ、その奴隷になってしまう。さらにもうひとつ、しっかりと自分の頭で考えていても、奴隷でいることをうけ入れるような、まちがった考えにたどりついてしまう可能性もある。"
"希望からであれ、絶望からであれ、奴隷になることをうけ入れる人がいるからこそ、独裁者が生まれる。独裁者が奴隷を生むわけではないのである。"
"衝動や情熱をよい方向にむけ、満たしてやれるように、しっかりと考えたうえで行動しなくてはならない。それができたときはじめて、自由を正しく使えたことになる"


ここだけ切り取ると、辛いときに読んだらムチ打たれる気分にもなりそうだけど、全体として読むと、とても清々しく勇気のもらえる一冊だ。

真剣に考えていても、自分ではそうと気づかないうちに奴隷でいることを受け入れてしまっていること、ままにある。

状況、状態がとても苦しく、生きづらいときは、自分で自分を欺く「まちがった考え」に基づいて行動してしまっているからだろう。


「哲学で自由になれる!」

自分だけの哲学、美学をもつことはとても大事。

それはだれからも盗まれない。