下半期もいろいろつくってきたので、またモノがもりもりと増えました。年末でもありますし、掃除・片付けをゆるゆるとやっているのですが、ここでモチベーションをさらにぐぐっと高めるには、やはり美しいものを見て、作り手の美学にふれるのが一番良かろうと、会期終了間際に滑り込んできました。
東京国立近代美術館工芸館で12/9までです。(あした!)
工芸館ってとこがいいよなぁ〜
建物にうっとりです。
インゲヤード・ローマンは、ガラス食器や陶磁器のデザイナーで、一点ものの作家ものを目指す人ではなく、量産品をデザインする人。スウェーデンの人。
黒一色のファッションに、シルバーグレーの長い髪を後ろで一つに束ね、いでたちもまたシンプル。でも、話すときの口調や仕草は穏やかで朗らかで、目がきらきらとしてエネルギッシュ。ほうぼうに置かれた映像展示にじっと見入ってしまいました。そして、自宅もアトリエもその作品そのままに、びっくりするほどシンプル…!
繊細なフォルムと精緻なライン。デザイナーと職人がきりきりと技を磨いで作り出したガラスや陶器が、窓から入ってくる夕方の光に包まれて、そしてそれを真剣な眼差しで見つめる鑑賞者の人びとがいて、その光景はもう、たとえようもないほど美しかったです。いいものを見た。
窓の向こうに立派な銀杏の木。
印象深い言葉をいくつか。
素材本来の美しさを生かす、普段の生活で使える、長期にわたって生産される、多目的に使える
わたしにはよくあることなのですが、嫌いなものから何か別のものが生まれてくるのです。問題の根本は技法や素材ではなく、挑戦しないわたしにある、とわかるようになりました。醜いものから美しいものを生み出そうとする挑戦です。
ガラスや陶芸だけでなく、どんな仕事も自分自身を起点に置きます。私自身のニーズがデザインのはじまりです。
光が水を一面に照らす光景は、どんな天気でも、どんな時間帯でも美しいものです。
多くの方から「何かお願いします」という依頼の連絡を受けます。でもコラボレーションをするには特別な理由が必要です。
「インゲヤード・ローマン」展、簡潔な器ににじむ感性
外に出ると世界が美しく見えて、玄関脇の傘立てに目が留まった。
工芸館に行くと、美術館のコレクション展のチケットももらえるので、久しぶりにのぞいてきました。愛が漏れ出ているキャプションと、どの部屋にも椅子がたくさん置いてある、この「まぁ座ってぼーっとゆっくり見ていけば?」と言いたげな設営が好きです。
相変わらず豪華な常設展で、切り取り方も新鮮で、また新しいことを教えてもらいました。
北の丸公園は銀杏がきれいでした。