ひととび〜人と美の表現活動研究室

他者の表現にふれることから、自分の中にある美の感覚にもふれてみる、自分の美を表現してみる。みんなで探究する場づくりを通して考えることなど。

オネアミスの翼展がやっぱり大きな幸と福だった話

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伝説の最高傑作SFアニメーション映画、「王立宇宙軍 オネアミスの翼」の展覧会を観てきた。八王子夢美術館にて。

 

開催概要はそのうち消えてしまうかもしれないので、八王子夢美術館のサイトからこちらに引用させていただきます。

八王子市夢美術館では、SFアニメ映画「王立宇宙軍 オネアミスの翼」を紹介する展覧会を開催します。

 

王立宇宙軍 オネアミスの翼」は1987年にSFアニメ映画として劇場公開され、その独創性とリアルに描かれた作品世界は今日に至るまで映像の分野で高い評価を得ています。当時、24歳だった山賀 博之監督をはじめ、無名だった若きクリエーター達が劇場向けアニメ映画に初挑戦したことも異例でしたが、これまでのアニメ映画とは一線を画すその緻密な設定や映像美は、当時のアニメ業界に驚きをもって受け止められました。

 

本作はスタッフたちと等身大の青春群像劇を描きつつ、その異世界の設定は美術、デザイン、建築、政治、思想、言語、宗教、風俗、食物、宇宙、工学、衣服、武器など多岐にわたり、その詳細な設定がSFでありながら、作品にリアルな実感をもたらしました。加えて、特に注目したいのが完成映像に使われた設定よりも、実際には使われることのなかった制作過程の素材資料が本作の背後に膨大な数として横たわり、この世界を形づくっていたことです。それらのつくり手の多くは、工業デザイン、建築、美術を学ぶ学生やまだ無名のアニメーター達でしたが、山賀監督は作品にリアルな実感を創出するためには多種多様なセンスが必要と考え、彼らの個性が見えてきたところで得意な分野の素材資料を山ほどつくらせます。

 

しかし、監督はそれらの素材資料を作品中の世界を統一する目的でつくらせたわけではなく、むしろ個々の才能が生かされたアイデアやデザインなどを集め、そこから作品をひとつの世界へと徐々に構築していったのです。このような部分から全体をつくる方法は本作特有の手法といえるでしょう。

 

本展では、主にこれらの制作過程の素材資料を国内で初めて紹介します。中でも山賀監督の制作メモは監督として本作をどのように構築していったかが赤裸々にわかる興味深い内容です。数多くの素材資料を通じ、映像の中で現れるリアルさとはまた違った本作独特のSFアニメのつくり方をリアルに感じていただければ幸いです。

 

 

 

わたしがこの映画を観たのは確か小学校6年生。

 

きっかけは、姉だったか、「アニメージュ」だったか、テレビ放映だったか忘れたけれども、すぐに夢中になった。

 

中学1年生の体育で創作ダンスの授業があり、選曲から振り付けまで自分たちで全部やるという課題が出たときに、オネアミスの翼のオープニングテーマがいい!と言い張り、映画のイメージで振り付けを主導した。けっこうオラオラだったな、わたし...。

 

 

この世界のために文字や言葉をオリジナルでつくったと知ったのも衝撃だった。

そんなことができるんだ!そこまでやる人がいるのか!という驚嘆。

 

 

この偉大さを超えるアニメーションは、わたしの人生で絶対にもう二度と現れないと断言できる!

子どもの頃にリアルタイムでこの作品に出会えてほんとうによかった!!

 

そしてこの展示を見ることができてほんとうによかった!!

 

一緒に行った友だちと熱く熱く語って、あの頃に受け取っていたもの、大人になった今だからこそ見えるものの深さや豊かさに感謝した。

 

当時はこの映画の話をできる友だちがいなかったもんね!これからもたくさん出会っていくんだろう、きっと。

 

ほんとうに生きててよかったと思った作品、展示。胸いっぱい。幸せ。

 

 

場内のモニターで流れている監督のインタビュー(今年の5月収録)がとてもよかった。

この映画のテーマを恐れずに、今、言うならば「いい」ということだ。「いい」とは「愛」といってももしかしていいのかもしれない。24歳の自分から見えていた世界の実感は「いい」だった。そしてこの映画について言いたかったのは「あなたの生きている世界も同じようにいい」ということだったと思う。

意訳するとそんな感じのことをおっしゃっていた。

 

 

大人が本気でつくってくれたものに触れられたことも、10代のわたしを確かに育んできたし、救ってくれたこともあったと思う。

 

感謝。

 

 

 

つらつらとツイッターにメモしたことを貼っておきます。

 

 

見て、たくさん語り合ってみて、今だからわかること、今だから受け取れること、わからなくて知りたいことがいっぱいあって幸せだった。時代とか歴史とか人生とか。時間。とにかく時間を感じている。それからつくるということ。技術。胸いっぱいでこのまま布団に倒れ込みたい。 

 

も一回観よ。 

 

だ、だめだ...空母の画見ちゃったからオープニングからもう胸がいっぱいで...T_T ...

 

坂本龍一の4曲入りの「イメージスケッチ」がお小遣いで買ったCDのかなり初期で。PROTOTYPEってどういう意味なんだろうと思ってた。「リイクニのテーマ」が坂本龍一のスコア集に入っていて、家のピアノで弾いてた覚えある。ほんと好きだったんだなーわたし。世界観!今も赤と青のペンケース使ってるし。 

 

坂本龍一にとっては黒歴史らしいけど、わたしにはとにかくありがたい出会いでした。 

 

おととし「さとにきたらええやん」を観に行ったときに、配給会社・ノンデライコって出て、うわってなって、それで思い出したりなー。いやはや。 

 

今見るとここまで宗教にハッキリ踏み込んで表現してたのがすごいと友だちと話した。暴力、性、人と人との理解し得なさについても誤魔化しなし。誰にも共感できないこと。誰とも友だちになれなそうなこと。説明がないこと(ないけれども背景や経緯や歴史を持っていること)。ゆえに没入できた世界。 

 

死への恐怖が描かれないところはまだよくわかっていないのだけど、人類を彼一人に背負わせてみる試みのほうが大きかったんだろうか。死への恐怖にふれると物語がだいぶ違ってしまうわなぁ。。 

 

人工衛星の説明をすごくよく覚えてたし、すごくよく理解できてたって話も友だちと共通してた。「地平線の向こうに果てしなく落下」っていう。あのシーン実は1分にも満たなかったなんて。。すごい。。。 

 

それから夢が叶う瞬間って、当初思っていたルートとは全然違う、まったく想定していない形で現れるっていうことを最近つらつら考えていたから、あのシーンは音楽も含めて美しくて涙出る。ほんとうになんだかいろんなことが含まれている。これを20代前半の人たちがつくるってなぁ...ほんとうに...。 

 

その、劇中に登場する若者たちとまったく同じように、つくる自分たちの青春の日々が綴じこめられているところは、「ちはやふる-結び-」にも感じた美しさ。もう二度とない若い日のきらめき。 

 

きょうの展覧会すばらしすぎて、思い出すからもう一気に見られなくて、あほかってぐらい休み休み見てる。 

 

なにこれ「王立宇宙軍制作記録集」ってあったの?ヤフオクで15,000円からかーうーわーー 

 

庵野秀明の「破片」、文字と外国語、音、詩...ぜんぶが美しいなぁああ

 

カニックのことはまったくわからないが、説明を読んでいるだけでその設計の奥深さを感じ取れる。詳細に設定された美術、デザイン、建築、言語、宗教、風俗、食物、宇宙、工学、衣服、武器等の各分野に精通した人たちの鑑賞体験を聞けば何度でも理解し味わえる。それに耐える強度を持つ作品。 

 

 

ちょうど目黒の庭園美術館アール・デコ展を開催中。もともと行く予定だったけれど、さらにオネアミスの世界と重ねて見るのもおもしろそうだなぁ。

www.teien-art-museum.ne.jp